産業基盤指向型工業地とは?不動産鑑定評価基準での意味を図でわかりやすく解説
港湾、高速交通網等の利便性を指向する工業地で、大工場地の代表です。つまり、原材料や製品を大量に運べる輸送手段のそばに立地したい工場の土地で、その同一需給圏は高度の輸送機関に関して代替性を有する範囲に一致し、全国的な規模になる傾向があります。
産業基盤指向型工業地とは
製鉄所や石油化学工場、自動車の組立工場を思い浮かべてください。海沿いの埋立地に並び、港には原料を運ぶ大きな船が着き、背後には高速道路のインターがあります。こうした工場は毎日、原材料と製品を何千トンも動かすので、場所を選ぶときの決め手は「どんな輸送手段が使えるか」です。港湾や高速交通網といった産業の基盤に近いことを指向して立地する工業地なので、産業基盤指向型工業地と呼びます。

港と高速道路のそばに立地する、大工場地の代表。
圏域は、高度の輸送機関に関して代替性を有する範囲です
高度の輸送機関とは、原材料、製品等の大規模な移動を可能にする港湾や高速道路、幹線鉄道のことです。大工場を建てる会社は、同じ規模の港と高速道路が使えるなら、九州でも東北でもよいと考えます。だから代わりになる土地は、同じ水準の輸送機関を持つ工業地すべてで、基準はこの範囲を「高度の輸送機関に関して代替性を有する地域の範囲」と書いています。そうした港湾や高速道路は全国に点在するので、圏域は全国的な規模になる傾向があります。

同じ規模の港が使えるなら別の地方でもよいから、圏域は全国に広がる。
消費地指向型工業地とは、立地の決め手が違います
工業地には、もう一つの代表として消費地指向型工業地等の中小工場地があります。こちらは製品の消費地への距離や消費規模といった市場接近性を指向し、その圏域は製品の生産及び販売に関する費用の経済性に関して代替性を有する範囲です。基準が「全国的な規模となる傾向がある」と書いているのは、産業基盤指向型工業地等の大工場地についてだけで、中小工場地の圏域は消費地の周りにとどまると読めます。運ぶ物の量と距離が違えば、買い手が候補にする範囲も違うということです。

運ぶ量と距離が違うから、大工場地は全国、中小工場地は消費地の周り。
価格の水準が同じでも、それだけでは圏域は決まりません
基準が圏域の決め手として挙げているのは、高度の輸送機関に関して代替性を有するかどうかであって、土地の価格が同じ水準かどうかではありません。同一需給圏は、対象不動産と代替関係が成立して価格が影響し合う不動産の範囲なので、代替関係が先にあって価格の関係が生まれます。内陸の工場地と臨海の工場地の価格がたまたま同じでも、使える輸送機関が違えば買い手にとって代わりにならないので、価格が同じ水準というだけでは一つの圏域とは決められません。
同一需給圏は、港湾、高速交通網等の利便性を指向する産業基盤指向型工業地等の大工場地については、一般に原材料、製品等の大規模な移動を可能にする高度の輸送機関に関して代替性を有する地域の範囲に一致する傾向があり、したがって、その地域的範囲は、全国的な規模となる傾向がある。
出典: 総論第6章 第1節
実務ではこう使う
臨海部の大規模な工場用地を評価するときは、同一需給圏を、同じ規模の港湾と高速道路が使える全国の臨海工業地帯として取り、他県の工業団地の取引事例も比較の対象にします。買い手は全国に拠点を持つ製造業や物流会社で、地元かどうかは問わないからです。評価書には、どの輸送機関に関して代替性があると見たかを圏域の根拠として書きます。
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