/ 鑑定理論

消費地指向型工業地とは?不動産鑑定評価基準での意味を図でわかりやすく解説

製品の消費地への距離、消費規模等の市場接近性を指向する工業地で、中小工場地の代表です。つまり、売り先の近くに立地したい工場の土地で、その同一需給圏は製品の生産及び販売に関する費用の経済性に関して代替性を有する範囲に一致する傾向があります。

消費地指向型工業地とは

パンや弁当、豆腐を作る工場、印刷所、部品の加工場を思い浮かべてください。多くは都市の郊外にあり、朝作った品を昼までにスーパーやコンビニへ届けます。こうした工場が場所を選ぶ決め手は、売り先までの距離と、そこにどれだけの客がいるかです。基準はこれを「製品の消費地への距離、消費規模等の市場接近性」と呼び、それを指向する工業地を消費地指向型工業地としています。

消費地指向型工業地の図解:売り先の近くに立地するから、圏域は消費地の周りにとどまる。

売り先の近くに立地するから、圏域は消費地の周りにとどまる。

圏域は、生産及び販売に関する費用の経済性で決まります

中小工場を建てる会社は、土地代、人件費、原料の仕入れ、消費地までの運賃を合わせた「作って売るまでの費用」で場所を比べます。同じ消費地へ同じくらいの費用で製品を届けられる場所なら、別の町でも代わりになります。基準はこの範囲を「製品の生産及び販売に関する費用の経済性に関して代替性を有する地域の範囲」と書いています。大工場地の決め手が輸送機関そのものであるのに対し、中小工場地の決め手は費用の合計です。

消費地指向型工業地の図解:作って売るまでの費用が同じくらいなら、別の町の工場用地でも代わりになる。

作って売るまでの費用が同じくらいなら、別の町の工場用地でも代わりになる。

全国的な規模となるのは、大工場地の側だけです

基準が「その地域的範囲は、全国的な規模となる傾向がある」と書いているのは、産業基盤指向型工業地等の大工場地についてだけで、中小工場地には付いていません。基準に理由は書いていませんが、消費地から遠ざかるほど運賃と時間がかさんで費用の経済性が崩れるため、代わりになる土地が消費地の周りに限られると考えられます。圏域の広さは、その工場地が何を指向して立地しているかから決まるということです。

市場接近性が、産業基盤指向型との分かれ目です

産業基盤指向型工業地は港湾、高速交通網等の利便性を指向し、消費地指向型工業地は市場接近性を指向します。同じ工業地でも、原材料を大量に運び込む工場と、できた製品を近くの客に届ける工場では、土地に求めるものが違います。総論第3章の工業地域の地域要因でも、幹線道路、鉄道、港湾、空港等の輸送施設の整備の状況と並んで、製品販売市場及び原材料仕入市場との位置関係が挙げられています。

また、製品の消費地への距離、消費規模等の市場接近性を指向する消費地指向型工業地等の中小工場地については、一般に製品の生産及び販売に関する費用の経済性に関して代替性を有する地域の範囲に一致する傾向がある。

出典: 総論第6章 第1節

実務ではこう使う

都市近郊の食品工場の用地を評価するときは、同一需給圏を、配送先の都市圏へその日のうちに届けられる範囲として取り、その中の工業団地や準工業地域の取引事例を使います。買い手は地元や近県に販路を持つ中小メーカーで、遠くの大規模工業地帯の事例は使いません。評価書には、消費地への距離と配送の費用から圏域を決めたことを書きます。

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