/ 鑑定理論

市場の需給動向とは?不動産鑑定評価基準での意味を図でわかりやすく解説

同一需給圏内にあって用途、規模、品等等が対象不動産と類似する不動産の需給の推移及び動向と、それが対象不動産の価格形成に与える影響の内容及びその程度のことで、市場の特性を把握する二つ目の観点です。つまり、似た不動産の売り物と買い手がこれまでどう動き、これからどう動いて、対象不動産の値段をどれだけ動かすかです。

市場の需給動向とは

同じ規模のオフィスビルで空室が増え、成約する賃料がここ数年下がり続けているなら、対象のビルの賃料もその流れに引きずられます。逆に、似た規模の売り物が枯れていて買い手が待っているなら、強気の値段でも決まります。この、似た不動産の売り物と買い手の流れを追い、それが対象不動産の値段にどう効くかまで見るのが市場の需給動向です。市場の特性の把握では、市場参加者の属性及び行動とあわせて、この需給動向を的確に把握することが求められます。

市場の需給動向の図解:似た不動産の空室や売り物の流れが、対象不動産の値段を動かす。

似た不動産の空室や売り物の流れが、対象不動産の値段を動かす。

見るのは、対象不動産と類似する不動産の需給です

留意事項が一つ目に挙げる項目は、同一需給圏内に存し、用途、規模、品等等が対象不動産と類似する不動産に係る需給の推移及び動向です。同一需給圏全体の不動産や近隣地域の不動産一般ではなく、対象不動産と競争する相手に絞って見ます。隣に建つ戸建て住宅がいくら売れ残っていても、対象のオフィスビルの賃料にはほとんど効かないからです。「用途、規模、品等等」という絞り方は、同一需給圏内の代替競争不動産を説明する語と同じで、買い手から見て取り替えがきく不動産だけを数えます。

市場の需給動向の図解:数えるのは、買い手から見て取り替えがきく不動産だけ。

数えるのは、買い手から見て取り替えがきく不動産だけ。

推移と動向をつかみ、価格への影響の内容と程度まで判断します

二つ目の項目は、一つ目で把握した需給の推移及び動向が、対象不動産の価格形成に与える影響の内容及びその程度です。留意事項に語の説明はありませんが、推移はこれまでの流れ、動向はいまどちらへ向かっているかを指すと読め、どちらか一方では市場の姿が半分になります。そのうえで、需給が緩んでいるという観察で止めず、それが対象不動産の値段を上げるのか下げるのか、どれほどの幅で動かすのかまで判断します。影響の内容だけでなく程度まで求めるのは、留意事項に理由は書かれていませんが、把握した結果を手法の適用や試算価格の調整に数字として反映するため、と考えられます。

市場の需給動向の図解:流れをつかんだら、対象不動産の値段をどれだけ動かすかまで判断する。

流れをつかんだら、対象不動産の値段をどれだけ動かすかまで判断する。

資料は聴聞と公表資料、結果は標準的使用の判定や手法に使います

需給動向を知るための資料は、平素からの不動産業者、建設業者及び金融機関等からの聴聞と、公的機関や商工団体等が出す地域経済や不動産市場の推移及び動向に関する公表資料です。把握した結果は、近隣地域の標準的使用の判定に反映させ、手法の適用や試算価格又は試算賃料の調整の判断にも反映します。鑑定評価報告書にも、同一需給圏の市場動向と、同一需給圏における典型的な市場参加者の行動を記載しなければなりません。

同一需給圏内に存し、用途、規模、品等等が対象不動産と類似する不動産に係る需給の推移及び動向。

出典: 総論第6章 第1節

実務ではこう使う

賃貸オフィスの評価では、同じ規模・グレードのビルの空室率と成約賃料がここ数年どう動いたかを、仲介業者への聴き取りと公表データで押さえます。そのうえで、対象ビルの賃料と利回りにどう効くかを、幅まで含めて評価書に書きます。住宅地なら、同じ価格帯の戸建てや区画の在庫と、成約までの期間の推移を見ます。

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