市場参加者の属性とは?不動産鑑定評価基準での意味を図でわかりやすく解説
同一需給圏で対象不動産を売り買いする主たる需要者層及び供給者層が、どのような人かという中身です。業務用不動産なら業種、業態、法人か個人かの別、居住用不動産なら年齢、家族構成、所得水準を見て、どちらも需要者の存する地域的な範囲まで含めて把握します。
市場参加者の属性とは
賃貸マンション一棟を評価するとき、買い手が首都圏じゅうから来る投資会社なのか、地元の資産家なのかで、いくらまで出すか、何を見るかが変わります。売る側も同じで、相手が誰かを見て値付けします。だから鑑定士は、その市場に「どんな人がいるか」を先につかみ、その人たちが何を重視して決めるか(行動)と組にして把握します。この「どんな人か」が市場参加者の属性で、留意事項は業務用不動産と居住用不動産に分けて、見る項目を挙げています。

業務用は業種・業態・法人か個人か、居住用は年齢・家族構成・所得水準を見る。
業務用と居住用では、見る項目が入れ替わります
留意事項は、業務用不動産の場合は主たる需要者層及び供給者層の業種、業態、法人か個人かの別を、居住用不動産の場合は主たる需要者層及び供給者層の年齢、家族構成、所得水準を挙げています。事務所や店舗を買う人は事業の採算で決めるので、どんな商売か(業種・業態)が値付けを左右し、住まいを買う人は暮らしで決めるので、年齢や家族の人数や収入が左右するからです。業務用に「法人か個人かの別」があるのは、留意事項に理由は書かれていませんが、事業用の不動産でも個人が買い手や売り手になることがあるためと考えられ、法人だけと決めてかからずに確かめます。年齢や家族構成は個人情報として集めにくい面がありますが、留意事項は把握すべき項目として明示しています。
地域的な範囲は、需要者について把握します
業務用でも居住用でも、最後の項目は「需要者の存する地域的な範囲」で、需要者、つまり買い手がどこから来るかを把握します。年齢や業種は需要者層と供給者層の両方について見ますが、地域的な範囲を問うのは需要者だけです。留意事項に理由は書かれていませんが、売り手の不動産は対象不動産と同じ市場の中にあるのに対し、買い手は市外や県外からも来るので、買い手の来る範囲がそのまま同一需給圏の広がりと競争相手の範囲を決めるため、と考えられます。

買い手がどこから来るかで、市場の広がりが決まる。
属性は、行動と組にして把握します
留意事項は、属性を把握したうえで、その属性を持つ市場参加者が取引の可否、取引価格、取引条件等について意思決定する際に重視する価格形成要因の内容を把握するよう定めています。これが市場参加者の行動です。どんな人かが分かれば、その人が何を見て買うかも決まり、価格はその要因を反映して形成されると考えるのが筋道です。居住用不動産で主たる需要者層が通勤・通学の利便性や居住環境に着目していると把握されたなら、価格もそれらの要因で形成されると考え、収益性で形成されるとは考えません。

投資会社が買う一棟マンションだから、価格は利回りで決まる。
市場参加者の属性については、業務用不動産の場合、主たる需要者層及び供給者層の業種、業態、法人か個人かの別並びに需要者の存する地域的な範囲。
出典: 総論第6章 第1節
実務ではこう使う
賃貸マンション一棟の評価なら「買い手は投資用に一棟買いする不動産会社や個人投資家で、首都圏全域から来る」、戸建て用地なら「買い手は三十代から四十代の子育て世帯で、この沿線に勤め先か実家がある」というように、評価書の市場分析の欄に需要者の姿を書きます。売り手についても、業種や年齢層を同じように押さえます。その人たちが利回りを見るのか、学区や駅までの距離を見るのかで、重視する要因の書き方も変わります。
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