/ 行政法規

特別保護地区とは?自然公園法での意味を図でわかりやすく解説

国立公園・国定公園の景観を維持するため特に必要があるとき、公園計画に基づいて特別地域内に指定される地区です。つまり、公園の中で最も厳しく、落ち葉を拾うことやたき火にまで許可が要る場所です。

特別保護地区とは

尾瀬の湿原や屋久島の原生林のように、人の手をほとんど入れずに守っている場所があります。木道の外に一歩も出られず、落ちている枝を拾って持ち帰ることもできません。そこが特別保護地区で、特別地域の中でも景観を維持するために特に必要な場所を、環境大臣(国立公園)又は都道府県知事(国定公園)が公園計画に基づいて指定します(21条1項)。特別地域で許可が要る行為に加えて、木を植えること、動物を放つこと、たき火、落ち葉の採取まで許可の対象になります。自然公園法の中で一番厳しい地区です。

特別保護地区の図解:落ち葉一枚も景観の一部。特別保護地区では採るにも許可が要る。

落ち葉一枚も景観の一部。特別保護地区では採るにも許可が要る。

特別地域の中に、特に必要な場所だけを選んで指定します

21条1項は、環境大臣は国立公園について、都道府県知事は国定公園について、公園の景観を維持するため特に必要があるときは、公園計画に基づいて特別地域内に特別保護地区を指定できると定めています。特別地域が「風致の維持」のためであるのに対し、特別保護地区は「景観の維持」のため「特に必要があるとき」に限られ、置ける場所も特別地域の中だけです。普通地域や海域に直接置くことはできません。指定と区域の変更は、官報又は都道府県の公報で公示して効力を生じます(21条2項)。

特別地域なら届出で足りる植栽や放牧も、許可になります

21条3項は、特別地域で許可が要る行為のうち工作物の新築や木竹の伐採、土石の採取、広告物、色彩の変更などをそのまま引き継いだうえで、木竹の損傷、木竹の植栽、動物を放つこと(家畜の放牧を含む)、屋外での物の集積・貯蔵、火入れやたき火、木竹以外の植物や落葉・落枝の採取、植物の植栽や種まき、動物の捕獲、道路・広場以外での車馬の使用を加えています。特別地域では届出で足りる植栽と放牧が(20条8項)、ここでは許可に変わります。条文に理由は書いていませんが、その土地にもともとない木や動物を持ち込むこと自体が、守りたい景観を変えてしまうからだと考えられます。許可するのは国立公園なら環境大臣、国定公園なら都道府県知事です。

特別保護地区の図解:同じ苗木でも、特別地域なら届出、特別保護地区なら許可。

同じ苗木でも、特別地域なら届出、特別保護地区なら許可。

非常災害の応急措置だけは許可が要らず、14日以内に届け出ます

特別地域では、非常災害の応急措置のほか、森林の整備・保全のための木竹の損傷もただし書で許可の対象から外れていますが、特別保護地区のただし書は非常災害の応急措置だけです(21条3項ただし書)。応急措置として行為をした者は、行為の日から起算して14日以内に届け出ます(21条7項)。規制が始まった時に既に着手していた行為は続けられ、その日から3月以内に届け出ます(21条6項)。公園事業の執行や通常の管理行為・軽易な行為には、許可の規定が適用されません(21条8項)。

環境大臣は国立公園について、都道府県知事は国定公園について、当該公園の景観を維持するため、特に必要があるときは、公園計画に基づいて、特別地域内に特別保護地区を指定することができる。

出典: 自然公園法 21条1項

実務ではこう使う

特別保護地区内の土地は利用がほぼ禁じられるので市場性が乏しく、山林として評価するときも伐採ができない点を減価要因に見ます。隣接する土地の評価では、景観が長く保たれることが地域要因として有利に働くこともあります。評価書の行政的条件に、特別保護地区である旨と許可制の内容を書きます。

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