相当の期間市場に公開されていることとは?不動産鑑定評価基準での意味を図でわかりやすく解説
正常価格が成立する市場の条件の一つで、対象不動産の取得に必要な情報が公開され、需要者層に十分浸透するまでの期間、市場に公開されていることです。つまり、価格時点には既に売り情報が買い手になりうる人たちに行き渡っていた、という状況を想定します。
相当の期間市場に公開されていることとは
土地を売りに出した翌日に、たまたま通りかかった一人が付けた値段と、看板やネット広告で何か月も知れ渡り、買いたい人が一通り検討したうえで付いた値段は、同じ土地でも違います。正常価格は後者の、情報が行き渡った市場で形成される価格です。そのため基準は、正常価格が成立する市場の条件の三つ目として、対象不動産が相当の期間市場に公開されていることを求めます。相当の期間とは、取得に必要な情報が公開され、需要者層に十分浸透するまでの期間、つまり買い手になりうる人たちに売り情報が行き渡るまでの期間です。

売り情報が買い手になりうる人たちの手元に届いてから、値段が付く。
相当の期間は、情報が需要者層に浸透するまでの期間です
留意事項は、相当の期間を、対象不動産の取得に際し必要となる情報が公開され、需要者層に十分浸透するまでの期間と定めます。需要者層とは、その不動産を買う候補になる人たちの集まりです。何か月と一律には決まらず、価格時点における不動産市場の需給動向や、対象不動産の種類・性格によって変わります。買い手の多い住宅地の一区画なら短く、買い手の少ない大きな工場用地なら長くなる、と読めます。
公開は、価格時点に既に公開されていた状況を想定します
留意事項は、公開されていることとは、価格時点において既に市場で公開されていた状況を想定することをいう、と定めます。価格時点以降、売買が成立するまで公開されることではない、とも念を押しています。留意事項に理由までは書かれていませんが、正常価格は価格時点に成立する価格なので、情報が行き渡るための期間は価格時点より前に経過していなければならない、と考えられます。価格時点から売り出しを始める想定では、価格時点にはまだ誰も情報を知らないことになり、相当の期間の条件を満たさないからです。

公開の期間は、価格時点より前に済んでいる。
現実に売りに出さなくても、この条件は満たせます
公開されていることは、現実に売りに出すことではなく、公開されていた状況の想定です。財務諸表に載せる自社ビルの評価のように売却を伴わない鑑定評価でも、売りに出していたなら情報が行き渡っていたはず、という状況を想定して正常価格を求めます。売る予定がないから正常価格を求められない、ということにはなりません。

売る予定のないビルでも、公開されていた状況を想定して正常価格を求める。
公開期間を短くする前提は、正常価格の前提から外れます
相当の期間の条件は、正常価格の前提の一部です。民事再生法に基づく鑑定評価で、通常の市場公開期間より短い期間で売却されることを前提に価格を求めるときは、この前提から外れるので、早期売却による減価が生じないと判断される特段の事情がない限り特定価格になります。条件を一つ外すと価格の種類が変わる、という関係です。
対象不動産が相当の期間市場に公開されていること。
出典: 総論第5章 第3節
相当の期間とは、対象不動産の取得に際し必要となる情報が公開され、需要者層に十分浸透するまでの期間をいう。
出典: 総論第5章 第3節
実務ではこう使う
評価書の正常価格の定義を書く欄では、市場の三つの条件を挙げ、公開の期間が価格時点の前に経過している前提であることを示します。取引事例を集めるときは、売りに出てから成約までの期間が通常より極端に短い事例に売り急ぎの疑いがないかを確かめ、事情補正の要否を検討します。
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