/ 鑑定理論

スケルトン貸しとは?不動産鑑定評価基準での意味を図でわかりやすく解説

店舗用ビルで、賃貸人が躯体及び一部の建物設備を施工するのみで賃貸し、内装、外装及び建物設備の一部は賃借人が施工する貸し方です。つまり、借り手が自分の費用で店の中身を作る貸し方なので、貸し手が用意した物の値打ち(基礎価格)の判定と、比べる事例の選び方に注意が要ります。

スケルトン貸しとは

駅前のビルに新しい飲食店が入るとき、床も壁もコンクリートのままの区画を借り、厨房もカウンターも店の看板も借り手が自分の費用で作り込むことがあります。貸し手が用意するのは建物の骨格(躯体)と、電気や給排水の引き込みなどの一部の設備だけです。これがスケルトン貸しで、店舗用ビルでよく使われます。同じ広さの区画でも、内装まで付いた区画とスケルトンの区画では、貸し手が出したお金も、借り手が払う家賃も違います。留意事項は、この違いが家賃の評価の二か所に効くと注意しています。

スケルトン貸しの図解:貸し手が作るのは骨格と一部の設備、内装と厨房は借り手が作る。

貸し手が作るのは骨格と一部の設備、内装と厨房は借り手が作る。

賃借人が施工した部分は、積算法の基礎価格に含めません

積算法は、物件の値打ち(基礎価格)に期待利回りを掛け、必要諸経費等を足して家賃を組み立てる手法です。家賃は貸し手が用意した物を使わせる対価なので、その元本になる基礎価格も、貸し手が用意した躯体と一部の建物設備の価格で判定します。借り手が自分の費用で作った内装や厨房設備まで含めると、借り手が自分の投資に家賃を払う計算になってしまいます。留意事項が「基礎価格の判定に留意すべき」と言うのは、この切り分けのことです。

スケルトン貸しの図解:借り手が自分の費用で作った部分は、貸し手の物件の値打ちに入れない。

借り手が自分の費用で作った部分は、貸し手の物件の値打ちに入れない。

比準賃料の事例は、同じ貸し方のものから選びます

賃貸事例比較法は、周りで実際に貸し借りされた賃料と比べて賃料を出す手法です。内装付きで貸している店とスケルトンで貸している店では、借り手が自分で負担する分が違うので、同じ立地・同じ広さでも成約する家賃の水準が違います。だから比べる事例は、できる限り対象と同じ貸し方のものから選び、無いときは内装分の賃料相当額を補正して比べます。総論第7章の賃貸事例比較法の留意事項が挙げる契約内容の類似性(修理及び現状変更に関する事項など)と同じ考え方です。

スケルトン貸しの図解:内装付きの店とスケルトンの店では家賃の水準が違うから、事例は同じ貸し方から選ぶ。

内装付きの店とスケルトンの店では家賃の水準が違うから、事例は同じ貸し方から選ぶ。

賃借人の費用で導入した設備は、建物の再調達原価にも加えません

再調達原価は、対象不動産を価格時点にもう一度手に入れると想定したときの適正な原価の総額で、対象不動産として確定した範囲について求めます(総論第7章)。基準は、賃借人の費用負担で導入した設備をどう扱うかを直接には書いていません。ただ、スケルトン貸しの留意事項が示すとおり、借り手が自分の費用で作った内装や設備は通常は借り手の物で、貸し手の建物の一部ではないと考えられます。だから、その費用を建物の再調達原価に足す理由はありません。家賃でも価格でも、借り手が作った部分は貸し手の物件から切り分けて考えます。

店舗用ビルの場合には、賃貸人は躯体及び一部の建物設備を施工するのみで賃貸し(スケルトン貸し)、内装、外装及び建物設備の一部は賃借人が施工することがあるので、積算賃料を求めるときの基礎価格の判定及び比準賃料を求めるときの事例の選択に当たっては、これに留意すべきである。

出典: 各論第2章 第2節

実務ではこう使う

商業ビルの家賃評価では、賃貸借契約書と内装区分表で、床・壁・天井・空調・厨房のどこまでが貸主の工事かを確認します。スケルトンで貸している区画なら、基礎価格は躯体と貸主が設置した設備だけで組み、比準の事例もスケルトン貸しの成約から選びます。内装付きの事例しか無いときは、内装分の賃料相当額を控除して比較し、その補正を評価書に書きます。

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