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残地補償とは?土地収用法での意味を図でわかりやすく解説

同一の土地所有者に属する一団の土地の一部を収用または使用したことによって、残地の価格が減じ、その他残地に関して損失が生ずるときに、起業者がその損失を補償することです。つまり、取られた土地の代金だけでなく残った土地の値下がり分まで補償する仕組みで、残地に利益が出ても損失と相殺してはなりません。

残地補償とは

道路が畑を斜めに横切ると、取られた部分だけでなく、残った畑も三角形の使いにくい形になり、間口が狭くなって建物も建てにくくなります。取られた土地の代金をもらっても、残った土地の値下がり分は埋まりません。そこで法律は、一団の土地の一部を収用または使用したことで残地の価格が減るなど損失が生ずるときは、その損失も起業者が補償すると定めています(74条1項)。残地に工事が要る場合の費用の補償や、残地そのものを収用してもらう請求権も、同じ発想で用意されています。条文は「同一の土地所有者に属する一団の土地」と書くだけで一団の土地の定義は置いていませんが、同じ所有者が一体として使っている土地と読まれています。

残地補償の図解:三角に残った土地は使いにくくなるから、値下がり分まで補償する。

三角に残った土地は使いにくくなるから、値下がり分まで補償する。

残地の値下がりを補償し、工事が要ればその費用も補償します

一団の土地の一部を収用または使用することによって、残地の価格が減じ、その他残地に関して損失が生ずるときは、その損失を補償しなければなりません(74条1項)。残地の補償金の額は、収用する土地と同じく告示の時の価格に修正率を乗じて求めます(74条2項・71条)。残地に通路、みぞ、かき、さくなどの工作物の新築や修繕、盛土や切土が必要になるときは、それに要する費用も補償します(75条)。収用地でも残地でもない隣の土地に同じような工事が必要になるときも、工事を必要とする者の請求により起業者が費用を補償しますが、こちらは事業の工事の完了の日から1年で請求できなくなります(93条)。

残地に利益が出ても、損失と相殺してはなりません

一団の土地の一部を収用または使用する場合に、その事業の施行によって残地の価格が増加するなど残地に利益が生ずることがあっても、その利益を収用または使用によって生ずる損失と相殺してはなりません(90条)。道路ができて残地が道路沿いの土地になり値上がりしても、その値上がり分を補償金から引くことはできないということです。条文に理由は書いていませんが、事業による値上がりは周りの土地の所有者も等しく受ける利益なので、土地を取られた人だけが補償から引かれるのは公平でないためと考えられます。使用の場合も同じです。

残地補償の図解:値上がりは隣の人も等しく受けるから、取られた人の補償から引かない。

値上がりは隣の人も等しく受けるから、取られた人の補償から引かない。

残地が従来の目的に使えないなら、所有者は全部の収用を請求できます

一部を収用することによって、残地を従来利用していた目的に供することが著しく困難となるときは、土地所有者はその全部の収用を請求することができます(76条1項)。請求できるのは所有者で、起業者の側から残地まで収用することはできません。残地に権利を持つ関係人は、起業者の業務に特別の支障がなく他の関係人の権利を害しない限り、従前の権利の存続を収用委員会に請求できます(76条2項)。残地収用の請求がされた土地の所有権以外の権利に対する補償は、71条の例外として、権利取得裁決の時の相当な価格で行います(76条3項)。

残地補償の図解:残地を抱えて困るのは所有者だから、全部の収用を請求できるのも所有者。

残地を抱えて困るのは所有者だから、全部の収用を請求できるのも所有者。

同一の土地所有者に属する一団の土地の一部を収用し、又は使用することに因つて、残地の価格が減じ、その他残地に関して損失が生ずるときは、その損失を補償しなければならない。

出典: 土地収用法 74条1項

実務ではこう使う

一部収用の評価では、鑑定士は収用前の一団の土地の価格と収用後の残地の価格をそれぞれ求め、その差から取得部分の価格を引いたものを残地の損失として算定します。間口、奥行、形状の変化を個別的要因として丁寧に見る場面です。事業によって残地が値上がりしていても、その分を残地の損失から差し引くことはしません。

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