起業者とは?土地収用法での意味を図でわかりやすく解説
土地や土地に関する権利、建物などの物件を収用し、または使用することを必要とする、道路や河川などの3条各号の事業を行う者です。つまり、土地を強制的に取得する側の当事者で、国や市町村だけでなく鉄道会社や電力会社もなります。
起業者とは
新しい道路を通す計画で、ルート上に自分の畑がかかったとしましょう。畑を買いたいと交渉に来るのは道路を造る県や市で、話がまとまらなければ法律の手続で取得しにきます。この「土地を必要とする事業を行う者」が起業者で、国や地方公共団体のほか、鉄道会社や電力会社のような民間の会社も含まれます。起業者は、事業の認定を申請し、土地調書と物件調書を作り、収用委員会に裁決を申請し、最後に補償金を払って土地を取得します。土地所有者と関係人の相手方として、手続の最初から最後まで登場する当事者です。

畑に道路を通す事業を行う県が起業者。土地を取得する側の当事者。
認定を受ける前に、説明会を開いて事業を説明します
起業者は、事業の認定を受けようとするときは、あらかじめ、説明会の開催その他の措置を講じて、事業の目的と内容を、その認定について利害関係を有する者に説明しなければなりません(15条の14)。説明するのは起業者で、相手は土地を取られる側の人たちです。これとは別に、認定をする国土交通大臣や都道府県知事が一般の意見を求める場として公聴会があります(23条)。説明会は起業者が開き、公聴会は認定庁が開くという分担です。
準備の立入りは知事の許可、国や市町村は通知で足ります
事業の準備のために他人の占有する土地に立ち入って測量や調査をするときは、起業者は事業の種類と立ち入る土地の区域・期間を書いた申請書を都道府県知事に出し、立入りの許可を受けます(11条1項)。起業者が国または地方公共団体のときは、同じ事項を知事にあらかじめ通知すれば足り、許可は要りません(11条1項ただし書)。市町村も地方公共団体なので、通知で足りる側です。立ち入る日の5日前までに日時と場所を市町村長に通知し、宅地や垣で囲まれた土地には日の出前・日没後は立ち入れません(12条)。条文に理由は書いていませんが、公の主体は勝手な立入りをしないと見込めるので、許可の審査を省いていると考えられます。

民間の起業者は知事の許可、国や市町村は通知で足りる。
損失は起業者が補償し、起業者が代わっても手続は引き継がれます
土地を収用し、または使用することによって土地所有者と関係人が受ける損失は、起業者が補償しなければなりません(68条)。補償は金銭で、各人別に行うのが原則です(69条・70条)。合併などで事業が承継されたときは、従前の起業者の権利義務は事業を承継した者に移ります(9条)。起業者、土地所有者、関係人に変更があっても、従前の者がした手続や行為は、新たにその地位についた者に対しても効力を持ちます(10条)。会社が合併したから調書や申請をやり直す、ということにはなりません。

会社が合併しても、済んだ手続はそのまま新しい起業者に引き継がれる。
この法律において「起業者」とは、土地、第五条に掲げる権利若しくは第六条に掲げる立木、建物その他土地に定着する物件を収用し、若しくは使用し、又は前条に規定する土石砂れきを収用することを必要とする第三条各号の一に規定する事業を行う者をいう。
出典: 土地収用法 8条1項
実務ではこう使う
公共事業の用地取得では、起業者が鑑定士に用地の評価を依頼し、その評価をもとに任意買収の価格や補償金の見積りを立てます。裁決申請書に添える補償の見積りの根拠も、この評価書です。裁決に進めば、収用委員会側の鑑定人としても鑑定士が関わります。
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