/ 行政法規

事業の認定とは?土地収用法での意味を図でわかりやすく解説

起業者が申請した事業について、土地を収用し、または使用する公益上の必要があることを、国土交通大臣または都道府県知事が認める処分です。つまり、この事業のためなら私有地を強制的に取得してよいという、収用の手続の入口の判断です。

事業の認定とは

県が道路を通したいのに、地主が売ってくれないとします。そのとき県がいきなり土地を取り上げることはできず、まず「この道路事業は本当に人の土地を取るだけの公益があるか」を別の役所に判断してもらいます。その判断が事業の認定で、国土交通大臣か都道府県知事が行い、告示の日から効力を生じます(26条4項)。認定があって初めて、起業者は収用委員会に裁決を申請でき、土地の権利を取得する道が開けます。認定を行う大臣や知事を認定庁と呼びます。

事業の認定の図解:公益の判断が先。認定がなければ収用委員会の扉は開かない。

公益の判断が先。認定がなければ収用委員会の扉は開かない。

認定庁は国土交通大臣か都道府県知事の二つです

国または都道府県が起業者である事業、起業地が二以上の都道府県にわたる事業、一の都道府県の区域を超えて利害の影響を及ぼす事業などは、国土交通大臣が認定に関する処分を行います(17条1項)。それ以外の事業は、起業地を管轄する都道府県知事です(17条2項)。県の事業を県知事が自分で認定したのでは公益の判断に身内の目が入るので、大臣に上げていると読めます。市町村長は認定を行いません。大臣も知事も、申請書を受理した日から3月以内に処分を行うよう努めなければなりません(17条3項)。

事業の認定の図解:国や県の事業、二つ以上の県にまたがる事業は大臣、それ以外は知事。

国や県の事業、二つ以上の県にまたがる事業は大臣、それ以外は知事。

知事が拒否したり3月動かないときは、大臣に申請できます

都道府県知事が認定を拒否したとき、または申請書を受理した日から3月を経過しても処分を行わないときは、起業者は国土交通大臣に事業の認定を申請できます(27条1項)。拒否された場合の申請では、大臣は公害等調整委員会の意見を聞いた上で、自ら処分を行わなければなりません(27条2項)。3月経過の場合の申請では、大臣はまず知事の意見を聞き、知事に期間を定めて処分を行うよう指示することができます(27条3項)。知事が指示された期間内に処分しないときなどに、大臣が自ら処分を行います(27条4項)。拒否なら大臣が直ちに引き取り、放置なら知事にもう一度促す、という二段の違いです。

要件は四つで、そのすべてに当てはまるときに認定できます

20条は四つの要件を並べます。事業が3条各号のいずれかに掲げるものに関するものであること、起業者が事業を遂行する充分な意思と能力を有すること、事業計画が土地の適正かつ合理的な利用に寄与すること、土地を収用し、または使用する公益上の必要があることです。認定庁は、申請に係る事業がこの各号のすべてに該当するときに、事業の認定をすることができます。収用できる事業は3条に列挙されたものに限られ、政令で足すことはできません。四つのうち一つでも欠ければ、私有地を強制的に取る理由が足りないということです。

事業の認定の図解:四つの要件のすべてにそろって初めて認定できる。

四つの要件のすべてにそろって初めて認定できる。

専門家の意見は任意で、公聴会は請求があれば開きます

認定庁は、処分を行おうとする場合に必要があると認めるときは、事業計画について専門的学識または経験を有する者の意見を求めることができます(22条)。求めるかどうかは認定庁の判断で、利害関係者からの請求で始まる仕組みではありません。一方、利害関係者から縦覧期間内に公聴会の開催を請求されたとき、その他必要があると認めるときは、認定庁は公聴会を開いて一般の意見を求めなければなりません(23条1項)。認定を拒否したときは、遅滞なく起業者に文書で通知します(28条)。

国土交通大臣又は都道府県知事は、申請に係る事業が左の各号のすべてに該当するときは、事業の認定をすることができる。一 事業が第三条各号の一に掲げるものに関するものであること。二 起業者が当該事業を遂行する充分な意思と能力を有する者であること。三 事業計画が土地の適正且つ合理的な利用に寄与するものであること。四 土地を収用し、又は使用する公益上の必要があるものであること。

出典: 土地収用法 20条

実務ではこう使う

事業の認定の告示があると、その日の価格が補償金の基準になります。公共事業の用地評価では、認定の告示日と裁決の見込み時期を確かめ、告示の時点の正常な価格を求めるのが鑑定士の仕事です。認定庁が大臣か知事かで、告示が官報に載るか、知事が定める方法(県の公報など)で行われるかが変わるので、告示日を確かめる先も変わります(26条1項)。

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