事業の認定の告示とは?土地収用法での意味を図でわかりやすく解説
国土交通大臣または都道府県知事が事業の認定をしたときに、起業者の名称、事業の種類、起業地、認定の理由などを、大臣なら官報で、知事なら知事が定める方法で公示することです。つまり、認定を世の中に知らせる手続で、認定はこの告示の日から効力を生じます。
事業の認定の告示とは
道路事業が認定されたことは、起業者への通知だけでなく、官報や県の公報などに載せて誰でも見られるようにします。これが事業の認定の告示で、認定の効力はこの日から生じます(26条4項)。この日を境に、起業者は補償の周知や調書の作成に動き出し、土地所有者は勝手に土地の形を変えられなくなり、関係人の範囲も固定されます。裁決を申請できる1年の期限も、補償金の額の基準となる価格も、すべてこの日を起点に数えます。収用の手続の時計は、告示の日に動き始めると考えると整理しやすいです。

告示の日から認定は効力を生じ、収用の手続の時計が動き出す。
告示の日から1年以内に裁決を申請しないと認定は失効します
起業者は、告示があった日から1年以内に限り、収用委員会に収用または使用の裁決を申請できます(39条1項)。1年以内に申請しないと、事業の認定は期間満了の日の翌日から将来に向かって効力を失います(29条1項)。起業地の一部について手続を保留した土地は、告示の日から3年以内に都道府県知事に手続を開始する旨を申し立てます(34条)。申し立てた土地は、手続開始の告示の時を認定の告示の時とみなして、そこから1年を数えます(34条の5)。
補償金の額は、告示の時の価格を基準に決めます
収用する土地とその土地の所有権以外の権利に対する補償金の額は、近傍類地の取引価格等を考慮して算定した事業の認定の告示の時における相当な価格に、権利取得裁決の時までの物価の変動に応ずる修正率を乗じて得た額です(71条)。価格を見る時点は告示の時で、そこから裁決の時までの物価の動きだけを修正率で足します。条文に理由は書いていませんが、事業が公になった後の地価の上がり下がりを補償に持ち込まないための決まりと考えられます。使用の場合は、取引価格の代わりに地代や借賃を見ます(72条)。

補償金は告示の時の価格に、裁決の時までの物価の修正率を掛ける。
告示の後は、起業者にも土地所有者にも新しい決まりがかかります
起業者は、告示があったときは、直ちに、土地所有者と関係人が受けることができる補償などを周知させるため必要な措置を講じなければなりません(28条の2)。告示の後は、起業者は土地や工作物に立ち入って測量・調査ができ(35条1項)、土地調書と物件調書を作成します(36条1項)。土地所有者の側は、告示の後は都道府県知事の許可を受けなければ、起業地について明らかに事業に支障を及ぼすような形質の変更をしてはなりません(28条の3第1項)。知事の承認なく形質を変えたり工作物を建てたりしても、その分の損失の補償は請求できません(89条1項)。告示の後に新たに権利を取得した者は、既存の権利を承継した者を除いて関係人に含まれません(8条3項ただし書)。

起業者は直ちに補償を周知し、土地所有者の形質変更は知事の許可制になる。
国土交通大臣又は都道府県知事は、第二十条の規定によつて事業の認定をしたときは、遅滞なく、その旨を起業者に文書で通知するとともに、起業者の名称、事業の種類、起業地、事業の認定をした理由及び次条の規定による図面の縦覧場所を国土交通大臣にあつては官報で、都道府県知事にあつては都道府県知事が定める方法で告示しなければならない。(4項)事業の認定は、第一項の規定による告示があつた日から、その効力を生ずる。
出典: 土地収用法 26条1項・4項
実務ではこう使う
用地評価の価格時点は事業の認定の告示の日です。評価書には告示日を明記し、告示の時点の近傍類地の取引事例を集めて相当な価格を求めます。裁決までの物価の変動は修正率で扱われるので、鑑定士が裁決時点の価格を求め直すわけではありません。
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