土地調書・物件調書とは?土地収用法での意味を図でわかりやすく解説
事業の認定の告示の後に起業者が作成する、収用または使用する土地の所在・地番・地目・地積と所有者・関係人を書いた土地調書と、その土地にある物件の種類・数量と権利者を書いた物件調書のことです。つまり、どの土地と物を誰から取るのかを確定する台帳で、土地調書は裁決申請書に、物件調書は明渡裁決の申立ての書類に添え...
土地調書・物件調書とは
道路にかかる土地を取得するには、まず「どの土地の何㎡を誰から」と「その上の家や立木は誰のもので、どれだけあるか」を紙に確定させる必要があります。それが土地調書と物件調書で、認定の告示の後に起業者が作ります(36条1項)。土地調書には土地の所在、地番、地目、地積と所有者・関係人の氏名や権利の内容を書き、実測平面図を付けます(37条1項)。物件調書には物件の種類と数量、所有者と関係人を書き、建物なら種類、構造、床面積も記載します(37条2項・3項)。作った調書は収用委員会に出されて審理の土台になります。土地調書は裁決申請書に、物件調書は明渡裁決の申立ての書類に添えます(40条1項・47条の3第1項)。

どの土地と物を誰から取るかを確定する台帳。本人を立ち会わせて押してもらう。
所有者と関係人を立ち会わせ、異議があれば付記して押せます
起業者は、自ら調書に署名押印し、土地所有者と関係人を立ち会わせた上で、調書に署名押印させなければなりません(36条2項)。記載事項が真実でないという異議を持つ土地所有者や関係人は、その内容を調書に付記して署名押印することができます(36条3項)。押印は記載に同意した印ではなく、立ち会って確認した印なので、異議があっても押せる仕組みです。付記した異議は、後の審理でその内容を述べる道を残します(38条)。
署名押印を拒まれたら、市町村長の立会いと署名押印を求めます
土地所有者や関係人のうちに、署名押印を拒んだ者、相当の期間内に自らの責めで署名押印しない者、署名押印できない者があるときは、起業者は市町村長の立会いと署名押印を求めなければなりません(36条4項)。市町村長は、市町村の職員を立ち会わせて署名押印させることもできます。市町村長が署名押印を拒んだときは、起業者の申請により都道府県知事が都道府県の職員から立会人を指名して署名押印させます(36条5項)。立会人は、起業者や起業者の親族など除斥に当たる関係の者であってはなりません(36条6項)。当事者が押さないなら第三者の役所が確認して押す、という段取りで、起業者が拒まれたと書き添えるだけでは足りません。

本人が押さないなら、第三者の役所である市町村長が立ち会って押す。
調書のための立入りに許可は要らず、記載は真実と推定されます
告示があった後は、起業者またはその命を受けた者・委任を受けた者は、調書の作成のために土地や工作物に立ち入って測量・調査ができます(35条1項)。立ち入る日の3日前までに日時と場所を占有者に通知すれば足り、知事や市町村長の許可は要りません(35条2項)。告示前の準備のための立入りには知事の許可が要るのに対し、告示後は認定という公益の判断が済んでいるので、通知だけで済むと読めます。作成された調書の記載事項については、異議を付記した者などがその内容を述べる場合を除き、起業者、土地所有者、関係人は真否について異議を述べることができません(38条本文)。ただし、記載が真実に反していることを立証するときは、この限りではありません(38条ただし書)。

調書の記載は真実と推定されるが、反証を挙げれば覆る。
前項の規定により土地調書及び物件調書を作成する場合において、起業者は、自ら土地調書及び物件調書に署名押印し、土地所有者及び関係人(起業者が過失がなくて知ることができない者を除く。以下この節において同じ。)を立ち会わせた上、土地調書及び物件調書に署名押印させなければならない。(3項)前項の場合において、土地所有者及び関係人のうち、土地調書及び物件調書の記載事項が真実でない旨の異議を有する者は、その内容を当該調書に附記して署名押印することができる。
出典: 土地収用法 36条2項・3項
実務ではこう使う
物件調書に載る建物の種類、構造、床面積は、明渡裁決の移転料や建物の補償の算定の基礎になります。用地の評価では、土地調書の地積と実測平面図が対象地の範囲を確定する資料になり、鑑定士はこれと登記の地積のずれを確かめます。調書に異議が付記されていれば、その箇所は審理で争われる可能性があるので、評価の前提として押さえておきます。
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