収用委員会とは?土地収用法での意味を図でわかりやすく解説
収用や使用の裁決を行うため、都道府県知事の所轄の下に置かれ、独立してその職権を行う委員会です。委員7人で組織し、都道府県の議会の同意を得て知事が任命し、任期は3年です。
収用委員会とは
起業者と土地所有者が「いくらで」「どこまで」と争ったとき、どちらの味方でもない審判役が要ります。それが収用委員会で、都道府県ごとに知事の所轄の下に置かれますが、知事の指図は受けず独立して職権を行います(51条)。収用する土地の区域、補償金の額、権利が移る時期を、公開の審理で双方の意見を聞いた上で裁決します。必要なら鑑定人に価格を鑑定させ、審理の途中でいつでも和解を勧めることもできます。裁判所に似た働きをする、都道府県の行政委員会です。

どちらの味方でもない審判役。知事の所轄の下で独立して裁決する。
委員は7人で、議会の同意を得て知事が任命し、任期は3年です
収用委員会は委員7人で組織し(52条1項)、就任の順位を定めて2人以上の予備委員を置きます(52条2項)。委員と予備委員は、法律、経済または行政に関してすぐれた経験と知識を有し、公共の福祉に関し公正な判断ができる者のうちから、都道府県の議会の同意を得て知事が任命します(52条3項)。任期は3年で、再任できます(53条)。委員は非常勤が原則で、政令で定める都道府県の委員に限り常勤にできます(52条7項)。不動産鑑定士が委員にいなければならないという決まりはなく、鑑定士の要件は鑑定人の側にあります(65条2項)。
当事者とその配偶者・親族は、委員として審理に加われません
起業者、土地所有者および関係人は、委員として収用委員会の会議や審理に加わり、議決をすることができません(61条1項1号)。これらの者の配偶者、四親等内の親族、同居の親族、代理人、保佐人、補助人も同じです(61条1項2号)。当事者が法人なら、その取締役や理事なども除斥されます(61条1項3号)。審判役が当事者の身内では公正な裁決になりませんから、本人だけでなく身内まで外します。除斥で委員が足りなくなったときは、予備委員が順位に従って臨時に補充されます(61条2項)。

当事者の身内は席を外れ、予備委員が補充に入る。
審理は公開し、裁決の会議は公開せず、和解はいつでも勧められます
収用委員会の審理は公開しなければなりません。ただし、審理の公正が害されるおそれがあるときその他公益上必要があると認めるときは、公開しないことができます(62条)。裁決の会議は公開しません(66条1項)。収用委員会は、審理の途中においていつでも、起業者、土地所有者、関係人に和解を勧めることができます(50条1項)。全員の間で和解がととのい和解調書が作成されると、権利取得裁決または明渡裁決があったものとみなされます(50条5項)。
裁決への不服は大臣に審査請求し、補償の不服は相手方を訴えます
収用委員会の裁決に不服がある者は、国土交通大臣に審査請求をすることができます(129条)。ただし、損失の補償についての不服は、審査請求の理由にできません(132条2項)。補償の額を争うときは、裁決書の正本の送達を受けた日から6月以内に訴えを提起し、起業者が起こすなら土地所有者または関係人を、土地所有者や関係人が起こすなら起業者を被告にします(133条2項・3項)。補償の争いは起業者と権利者の間の金銭の争いなので、審判役の収用委員会ではなく相手方を訴える形になっています。

裁決の不服は大臣へ審査請求、補償の額の不服は相手方を被告に訴える。
この法律に基く権限を行うため、都道府県知事の所轄の下に、収用委員会を設置する。(2項)収用委員会は、独立してその職権を行う。
出典: 土地収用法 51条
実務ではこう使う
収用委員会の審理では、土地の価格をめぐって起業者側と所有者側の鑑定評価がぶつかることがあります。収用委員会が自ら鑑定人を選んで価格を鑑定させるときは、少なくとも1人が不動産鑑定士であることが法律で求められています。委員に鑑定士が入っているとは限らないので、鑑定士は当事者側の評価者か委員会の鑑定人として関わります。
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