/ 行政法規

土地の使用とは?土地収用法での意味を図でわかりやすく解説

所有権を取得せずに、他人の土地を一定の期間、定められた方法で事業のために使う権利を、収用と同じ手続で強制的に取得することです。つまり、土地を買い取るのではなく借り上げる形の取得で、収用委員会の裁決で使用の方法と期間が定められます。

土地の使用とは

送電線を通す土地や、工事のあいだだけ資材を置く土地は、事業に要るけれども買い取るまでの必要はありません。こういうとき起業者は、所有権を取り上げずに、期間と方法を定めてその土地を使う権利を取得します(2条)。これが土地の使用で、手続は収用と同じく事業の認定を受け、収用委員会の裁決で使用の方法と期間が定められます(48条1項)。使用の対価も損失の補償として起業者が支払い、期間が終われば土地は所有者に戻ります。収用が「買い取る」なら、使用は「一定の期間借り上げる」に当たります。

土地の使用の図解:買い取るまでの必要はないから、期間と方法を決めて使う権利だけを取る。

買い取るまでの必要はないから、期間と方法を決めて使う権利だけを取る。

使用が3年以上なら、所有者は収用に切り替えるよう請求できます

土地の使用が3年以上にわたるとき、使用によって土地の形質が変更されるとき、または使用する土地に所有者の建物があるときは、土地所有者はその土地の収用を請求できます(81条1項)。何年も使われ形も変わる土地なら、いっそ買い取ってもらう方が所有者の損失が少ないと読めます。ただし、空間や地下を使う場合で土地の通常の用法を妨げないときは請求できません(81条1項ただし書)。送電線の空間だけを使い、地面は今までどおり畑にできるなら、収用まで求める必要はないということです。

土地の使用の図解:長く使われ形も変わるなら収用に切り替えられる。空間だけなら請求できない。

長く使われ形も変わるなら収用に切り替えられる。空間だけなら請求できない。

使用の補償は、地代や借賃を基準に告示の時の価格で決めます

使用する土地の補償金の額は、収用の場合の71条を準用し、その土地と近傍類地の地代や借賃を考慮して算定した事業の認定の告示の時の相当な価格に、権利取得裁決の時までの物価変動の修正率を乗じた額です(72条)。収用なら取引価格、使用なら地代や借賃を見る、という違いです。使用の方法が土地の形質を変えて原状回復を困難にするときは、その損失も補償します(80条の2)。一団の土地の一部を使用して残地に利益が出ても、その利益を使用による損失と相殺してはなりません(90条)。

期間が終われば遅滞なく返し、原状回復は所有者の請求で行います

起業者は、使用の期間が満了したとき、または事業の廃止や変更で使用する必要がなくなったときは、遅滞なく土地を所有者かその承継人に返還しなければなりません(105条1項)。土地を原状に復す義務は、所有者の請求があったときに生じます(105条2項)。返すことは常に義務、元の形に戻すことは所有者が求めたときの義務、という二段です。原状回復が困難な使用として80条の2で補償されている土地は、請求があっても原状回復の義務はありません(105条2項ただし書)。

土地の使用の図解:返すのは常に義務、元に戻すのは所有者が求めたとき。

返すのは常に義務、元に戻すのは所有者が求めたとき。

土地を使用する場合において、土地の使用が三年以上にわたるとき、土地の使用に因つて土地の形質を変更するとき、又は使用しようとする土地に土地所有者の所有する建物があるときは、土地所有者は、その土地の収用を請求することができる。但し、空間又は地下を使用する場合で、土地の通常の用法を妨げないときは、この限りでない。

出典: 土地収用法 81条1項

実務ではこう使う

送電線の線下地や地下鉄のトンネルの上の土地は、使用に近い権利が設定されたまま取引されます。鑑定評価では区分地上権や線下補償の内容を個別的要因として調べ、更地価格からの減価を判断します。使用の補償金を見積もるときは、取引価格ではなくその土地と近傍類地の地代や借賃を集めるところから始めます。

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