地縁的選好性とは?不動産鑑定評価基準での意味を図でわかりやすく解説
その土地になじみのある人がそこを選びたがる選好性で、住宅地と普通商業地の同一需給圏の地域的範囲を狭める傾向があると基準が定めるものです。つまり、通勤圏や商圏という理屈の上では広い範囲が、土地との縁で内側に縮みます。
地縁的選好性とは
家を買う人に「どこで探していますか」と聞くと、「今の市内で」「実家の近くで」「子どもの学区を変えずに」という答えが返ってきます。通勤できる範囲なら理屈の上ではどこでもよいはずなのに、人は住み慣れた土地や縁のある土地を選びたがります。この気持ちが地縁的選好性で、対象不動産と競い合う不動産が存する圏域、つまり同一需給圏を、通勤圏より内側に縮めます。基準は住宅地と普通商業地について、同一需給圏の地域的範囲が地縁的選好性により狭められる傾向があると定めています。

通える範囲は広くても、縁のある範囲で探すから圏域は縮む。
狭められるのは、住宅地と普通商業地の同一需給圏です
住宅地の同一需給圏は、一般に都心への通勤可能な地域の範囲に一致する傾向があります。普通商業地の同一需給圏は、狭い商業背後地(店の客が住む範囲)を基礎に成り立つ商業収益に関して代替性の及ぶ範囲に一致する傾向があります。基準はこの二つに「ただし、地縁的選好性により地域的範囲が狭められる傾向がある」と付けています。基準に理由は書いていませんが、家も通い慣れた商店街の店もその土地の人が選ぶものなので、縁で圏域が縮むという性質を二つが共有していると考えられます。

商店街の店も、常連客の住む範囲で競い合う。
高度商業地には、このただし書きが付きません
高度商業地の同一需給圏は、広域的な商業背後地を基礎に成り立つ商業収益に関して代替性の及ぶ範囲に一致し、高度商業地の性格に応じて広域的に形成される傾向があります。基準はここに地縁的選好性のただし書きを置いていません。都心の繁華街に来る客も出店する事業者も広い範囲から集まるので、なじみの土地を選ぶ気持ちが圏域を縮める働きをしない、と読めます。同じ商業地でも、背後地が広域的か狭いかで、地縁的選好性の付き方が分かれます。
地域の名声、品位等による選好性とは、書き分けられています
住宅地の同一需給圏には、なお書きで、地域の名声、品位等による選好性の強さが同一需給圏の地域的範囲に特に影響を与える場合があることに留意すべきだ、とも書かれています。地縁的選好性が「狭められる傾向がある」と縮む側まで定めているのに対し、名声、品位等については「特に影響を与える場合がある」とだけ書き、縮めるとも広げるとも定めていません。名の通った住宅地には、縁のない遠くの人まで「あの街に住みたい」と集まってくるので、圏域が通勤圏を越えて広がることもあれば、その街の中だけに閉じることもあると考えられます。二つは似た語ですが、基準の書き方が違うので、そのまま分けて押さえます。

名声や品位は縁のない人まで呼ぶので、縮めるとは書いていない。
同一需給圏は、一般に都心への通勤可能な地域の範囲に一致する傾向がある。ただし、地縁的選好性により地域的範囲が狭められる傾向がある。
出典: 総論第6章 第1節
実務ではこう使う
住宅地の評価で買い手の動きを不動産業者に聞くと、「この市内で探している」「子どもの学区を変えたくない」という声が多く、通勤圏という広い範囲より狭い圏域で競合が決まっていることが分かります。商店街の店舗も、常連客の住む範囲が商圏になるため、同一需給圏はそこに絞られます。評価書では、その事情を同一需給圏の範囲を通勤圏や商圏より狭めた理由として書きます。
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