高度商業地とは?不動産鑑定評価基準での意味を図でわかりやすく解説
高度商業地域(大都市の都心・副都心などで広域的な商圏を持ち、中高層の店舗や事務所が高密度に集積する地域)のうちにある土地で、総論第6章では同一需給圏の判定の目安として登場します。つまり、その同一需給圏は広域的な商業背後地を基礎に成り立つ商業収益に関して代替性の及ぶ範囲に一致し、高度商業地の性格に応じて広...
高度商業地とは
都心の駅前にある店舗ビルを売りに出すと、買い手は近所の人ではなく、全国の繁華街を見比べている不動産会社や投資家です。買い手にとって大事なのは、そのビルがどれだけ商売の収益を生むかで、同じくらい稼げるなら別の街のビルでもかまいません。だから、このビルと競い合う不動産が存する圏域(同一需給圏)は、近所ではなく、他の繁華街まで含む広い範囲になります。基準はこれを、高度商業地の同一需給圏は広域的な商業背後地を基礎に成り立つ商業収益に関して代替性の及ぶ地域の範囲に一致する傾向があり、その範囲は高度商業地の性格に応じて広域的に形成される傾向がある、と定めています。総論第2章の高度商業地域が「どんな地域か」を定めるのに対し、ここではその地域のうちにある土地を高度商業地と呼び、競い合う相手の範囲をどう取るかを扱います。

同じくらい稼げるなら別の繁華街でもよいから、比べる範囲は広い。
同一需給圏は、商業収益の代替性で決まり、広域に広がります
高度商業地の買い手は、店や事務所を構えたい事業者と、そこから上がる賃料を求める投資家です。どちらも見ているのは商業収益なので、同じくらいの収益が見込めるなら、別の繁華街の土地とも代替が成り立ちます。その収益を支える商業背後地(客が集まってくる範囲)が広域的なので、代替性の及ぶ範囲も広域になり、同一需給圏は高度商業地の性格に応じて広域的に形成されます。基準の定めは「広域的な商業背後地」「商業収益に関して代替性」「広域的に形成」の三つの語で組み立てられています。
普通商業地とは、背後地の広さで分かれます
普通商業地の同一需給圏は、一般に狭い商業背後地を基礎に成り立つ商業収益に関して代替性の及ぶ範囲に一致する傾向があります。商業収益の代替性で圏域を決める点は高度商業地と同じで、違いは背後地が広域的か狭いかです。地方都市の駅前商店街の店は、その町の人を相手に商売をするので、圏域もその町の範囲に収まります。同じ商業地でも、どこから客が来る土地なのかで、競い合う相手の範囲が変わるという整理です。

客の来る範囲が広いか狭いかで、同一需給圏の広さが変わる。
地縁的選好性で狭められる、というただし書きは付きません
住宅地と普通商業地の同一需給圏には、地縁的選好性により地域的範囲が狭められる傾向がある、というただし書きが付きます。高度商業地にはこのただし書きがありません。都心の繁華街に来る客は観光客や出張者を含めて広い範囲から集まり、出店する事業者も全国から来るので、なじみの土地を選ぶ気持ちが圏域を縮める働きをしない、と読めます。基準の文は「広域的に形成される傾向がある」で終わり、狭める要素を挙げていません。

客も事業者も縁のない遠くから来るから、地縁で狭まらない。
同一需給圏は、高度商業地については、一般に広域的な商業背後地を基礎に成り立つ商業収益に関して代替性の及ぶ地域の範囲に一致する傾向があり、したがって、その範囲は高度商業地の性格に応じて広域的に形成される傾向がある。
出典: 総論第6章 第1節
実務ではこう使う
都心の駅前ビルを評価するときは、同一需給圏を都内の主要な商業集積地のように広く取り、他の繁華街の店舗ビルの取引や賃貸事例も比較の対象にします。買い手は全国規模の不動産会社や投資家で、テナントも広域から出店してくるため、事例を近隣に限る理由がないからです。評価書では、同一需給圏をそのように広く取った理由として、この商業収益の代替性を書きます。
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