/ 鑑定理論

普通商業地とは?不動産鑑定評価基準での意味を図でわかりやすく解説

狭い商業背後地を基礎に成り立つ商業地で、その同一需給圏は、商業収益に関して代替性の及ぶ地域の範囲に一致する傾向があります。つまり、近くに住む人や働く人を客にする商業地で、店の稼ぎが同じくらい見込める範囲が圏域になり、地縁的選好性でさらに狭まります。

普通商業地とは

地方都市の駅前商店街や、住宅街の中の店が並ぶ通りを思い浮かべてください。客は歩いたり自転車で来られる近所の人で、遠くの町からわざわざ来る人はいません。この、店の客が住んでいる範囲を商業背後地といい、それが狭い商業地が普通商業地です。店を出したい人は「この商店街でも隣の商店街でも、稼ぎは同じくらい」と考える範囲でしか物件を比べないので、同一需給圏もその狭い範囲に収まります。

普通商業地の図解:近所の客が歩いて来る狭い背後地が、普通商業地の圏域を決める。

近所の客が歩いて来る狭い背後地が、普通商業地の圏域を決める。

圏域は、商業収益に関して代替性の及ぶ範囲で決めます

同一需給圏は、対象不動産と代替関係が成立し、価格に影響し合う不動産のある範囲です。商業地では、その代替関係を商業収益で見ます。店を出す人は、同じくらいの売上と利益が見込める場所なら別の通りでもよいと考えるからです。普通商業地は客が近所の人に限られるので、同じ稼ぎが見込める範囲、つまり商業収益に関して代替性の及ぶ範囲も狭くなります。基準はこれを「狭い商業背後地を基礎に成り立つ商業収益に関して代替性の及ぶ地域の範囲に一致する傾向がある」と書いています。

普通商業地の図解:同じくらいの稼ぎが見込めるなら、隣の商店街の店舗でも代わりになる。

同じくらいの稼ぎが見込めるなら、隣の商店街の店舗でも代わりになる。

地縁的選好性で、圏域はさらに狭められます

基準はただし書きで、地縁的選好性により地域的範囲が狭められる傾向がある、と付け加えています。地縁的選好性とは、なじみの土地を選ぶ気持ちです。基準に理由は書いていませんが、店主は客の顔や町の事情を知っている場所で商売をしたがり、客もふだん通る道沿いの店を選ぶためと考えられます。同じただし書きは住宅地にも付いていますが、遠くから客を集める高度商業地には付いていません。

普通商業地の図解:なじみの町でしか店を出さないから、圏域は稼ぎで見た範囲よりさらに狭い。

なじみの町でしか店を出さないから、圏域は稼ぎで見た範囲よりさらに狭い。

高度商業地とは、商業背後地の広さが違います

高度商業地は、広域的な商業背後地を基礎に成り立つ商業収益に関して代替性の及ぶ範囲が圏域で、その性格に応じて広域的に形成されます。普通商業地は狭い商業背後地が基礎で、地縁的選好性でさらに狭まります。どちらも「商業収益に関して代替性の及ぶ地域の範囲」で決める点は同じで、違いは背後地の広さと、ただし書きの有無です。駅前の商店街も都心の繁華街も同じ商業地ですが、客の来る範囲が違えば、比べる相手の範囲も違うということです。

また、普通商業地については、一般に狭い商業背後地を基礎に成り立つ商業収益に関して代替性の及ぶ地域の範囲に一致する傾向がある。ただし、地縁的選好性により地域的範囲が狭められる傾向がある。

出典: 総論第6章 第1節

実務ではこう使う

住宅街の商店街にある店舗を評価するときは、同一需給圏を、その商店街と客が歩いて来られる周辺の生活道路沿いに狭く取り、同じ商店街や隣接する商業地の店舗の取引事例や賃貸事例を使います。買い手は地元で商売をする個人や小さな会社が中心なので、離れた繁華街の事例は参考にとどめます。評価書には、背後地の広さと地縁的選好性を圏域の根拠として書きます。

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