/ 鑑定理論

近隣商業地域とは?不動産鑑定評価基準での意味を図でわかりやすく解説

主として近隣の居住者に対する日用品等の販売を行う店舗等が連たんしている商業地域です。つまり近所の人が歩いて毎日の買い物に来る商店街のことで、都市計画法の用途地域である近隣商業地域とは別に、現実の土地の使われ方から判定します。

近隣商業地域とは

夕方の住宅街の中の通りに、八百屋、パン屋、薬局、クリーニング店が並び、近所の人が徒歩や自転車で買い物に来る商店街を思い浮かべてください。客は近くに住む人(近隣の居住者)、売っているのは毎日の暮らしの品(日用品等)、店が途切れずに並んでいる(連たん)、これが留意事項のいう近隣商業地域です。商業地域の五つの細分の一つで、客の範囲が近所の住民に限られる点に特徴があります。都心のデパート街のように遠くから客を集める高度商業地域とは、同じ商業地域でも相手にする客の範囲がまるで違います。

近隣商業地域の図解:近所の人が毎日の買い物に来る店が並ぶ通りが、近隣商業地域。

近所の人が毎日の買い物に来る店が並ぶ通りが、近隣商業地域。

客の範囲と売る物で、他の商業地域と分かれます

高度商業地域と準高度商業地域は広域的商圏を持ち、遠くから人を集めます。普通商業地域は都市の中心商業地域やこれに準ずる地域で、多様な用途に供されています。郊外路線商業地域は幹線道路沿いという立地で切り出されます。近隣商業地域だけが、近隣の居住者という客の範囲と、日用品等という売る物で定義されています。店の売上が近所の人口と暮らし向きで決まる地域なので、賃料や地価の見方も、遠方から客を集める商業地域とは分けて考える必要があります。

都市計画法の近隣商業地域とは、名前が同じでも別のものです

都市計画法の近隣商業地域は、市町村が都市計画で指定する用途地域の一つで、その中に建てられる建物の用途や大きさを規制するための線です。基準の近隣商業地域は、鑑定士が現実の土地の使われ方を見て判定する種別の分類です。基準は種別を「用途に関して区分される分類」と定めるだけで、用途地域との関係までは書いていませんが、目的が違うので二つの線の範囲が一致するとは限らないと読めます。種別は用途で決まるので、用途地域図で近隣商業地域と塗られていても、実際に家ばかりが並んでいれば、種別は住宅地域になります。用途地域は行政的要因の一つとして確かめ、種別は現地の実情から判定するという二段構えです。

近隣商業地域の図解:役所の線は建物を規制するため、基準の線は使われ方から。重ならないこともある。

役所の線は建物を規制するため、基準の線は使われ方から。重ならないこともある。

店が住宅に変わり始めれば、住宅地域へ移行しつつある地域です

近隣商業地域は住宅地域と隣り合い、客も近所の住民なので、周りの暮らしの変化を受けやすい地域です。郊外に大型店ができて店が次々に閉まり、跡地に住宅が建ち始めると、商業地域から住宅地域へ移行しつつある地域になります。基準は、宅地地域の中で細分されたある種別の地域から他の細分の地域へ移行しつつある地域があることに留意すべきだとし、そのうちにある土地を移行地と呼びます。種別は今の街並みで決めるので、移り変わりの途中かどうかまで見て判定します。

近隣商業地域の図解:店が閉まり住宅が建ち始めた商店街は、住宅地域へ移行しつつある地域。

店が閉まり住宅が建ち始めた商店街は、住宅地域へ移行しつつある地域。

主として近隣の居住者に対する日用品等の販売を行う店舗等が連たんしている地域

出典: 総論第2章 第1節

実務ではこう使う

現地で商店街を歩き、客が徒歩圏の住民か、それとも遠方から車で来るかを見て近隣商業地かどうかを判断します。用途地域図で近隣商業地域と塗られていても、実態が住宅地なら評価書では住宅地域と書き、その理由を地域分析で説明します。

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