土地の形質の変更とは?土壌汚染対策法での意味を図でわかりやすく解説
土地の掘削その他の土地の形質の変更です(3条7項)。つまり、掘る・盛る・削るといった土地の形や土の状態を動かす行為で、区域の外では3,000㎡以上なら30日前の届出、要措置区域では禁止、形質変更時要届出区域では14日前の届出の対象になります。
土地の形質の変更とは
家の基礎を掘る、駐車場を造成する、地下の配管を埋める、といった工事は、どれも土を動かします。土の中に汚れがあれば、動かした土と一緒に汚れも外へ出て、運んだ先や隣の土地に広がります。土壌汚染対策法が「土地の形質の変更」を捉えるのはそのためで、土を動かす場面を三つに分けて扱います。区域の指定がまだない土地では、大きな工事を届け出させて調べるきっかけにし、要措置区域では禁止し、形質変更時要届出区域では事前に届け出させます。土地の売買は土を動かさないので、どの場面でも届出の対象ではありません。

同じ掘削でも、場所によって届出・禁止・届出と扱いが分かれる。
区域の外では3,000㎡以上を30日前までに届け出ます
4条1項は、土地の形質の変更であって対象となる土地の面積が環境省令で定める規模以上のものをしようとする者は、着手する日の30日前までに、場所と着手予定日などを都道府県知事に届け出なければならない、と定めています。規模は施行規則22条が定め、原則3,000㎡で、現に有害物質使用特定施設が設置されている工場等の敷地と、使用が廃止された施設の敷地であった土地(調査の報告や知事の確認を済ませたものを除く)では900㎡です。有害物質を扱っていた土地ほど汚れているおそれが高いので、小さな工事から網に掛けています。届出先は環境大臣ではなく都道府県知事です。

一般の土地は3,000㎡、有害物質を扱う工場の敷地は900㎡から届出。
届出を受けた知事は、汚染のおそれがあれば調査を命じます
4条3項は、届出を受けた知事は、その土地が特定有害物質によって汚染されているおそれがあるものとして環境省令で定める基準に該当すると認めるときは、所有者等に対し、指定調査機関に調査させて結果を報告すべきことを命ずることができる、と定めています。おそれの基準は施行規則26条にあり、有害物質を扱う施設の敷地であった土地などが挙がっています。届け出た全員が調査するのではなく、おそれのある土地だけが調査に進みます。届出をする者は、所有者等の全員の同意を得て自ら調査させ、届出と併せて結果を提出することもでき、その場合は命令されません(4条2項、3項ただし書)。
例外は軽易な行為と非常災害の応急措置です
4条1項ただし書は、3条1項ただし書の確認を受けた土地での形質の変更、軽易な行為その他環境省令で定める行為、非常災害のために必要な応急措置として行う行為を届出の対象から外しています。軽易な行為は施行規則25条が定め、土を区域外へ持ち出さず、飛散や流出もなく、深さ50センチメートル未満にとどまる行為などです。要措置区域では、実施措置・通常の管理行為や軽易な行為・応急措置を除いて形質の変更が禁止され(9条)、形質変更時要届出区域では応急措置をした者が事後14日以内に届け出ます(12条3項)。要措置区域に事後届出の規定はありません。
売買は届出の対象ではありません
届出の対象は、土地の形質の変更という「土を動かす行為」です。土地を売買しても、契約書の上で持ち主が変わるだけで土は動かないので、面積が大きくても契約の前に届け出る規定はなく、調査して報告する規定もありません。条文に理由は書いていませんが、汚れた土地が知らずに買われることを防ぐ役目は、届出ではなく、区域の指定を公示し台帳で誰でも調べられるようにすること(6条・15条)が担っていると読めます。

紙の上で持ち主が変わっても土は動かないから、売買に届出は要らない。
土地の形質の変更であって、その対象となる土地の面積が環境省令で定める規模以上のものをしようとする者は、当該土地の形質の変更に着手する日の三十日前までに、環境省令で定めるところにより、当該土地の形質の変更の場所及び着手予定日その他環境省令で定める事項を都道府県知事に届け出なければならない。ただし、次に掲げる行為については、この限りでない。一 前条第一項ただし書の確認に係る土地についての土地の形質の変更 二 軽易な行為その他の行為であって、環境省令で定めるもの 三 非常災害のために必要な応急措置として行う行為
出典: 土壌汚染対策法 4条1項
実務ではこう使う
開発を前提とする土地の評価では、造成面積が3,000㎡を超えるかで届出と調査命令の可能性が変わり、工期と費用の見立てに影響します。区域指定された土地では、基礎工事や地下埋設物の撤去も形質の変更に当たり、届出や汚染土壌の処理費が発生します。売買そのものに届出は要らないので、取引の可否ではなく、取引後の利用に伴う負担として価格に織り込みます。
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