/ 鑑定理論

配分法に準ずる方法とは?不動産鑑定評価基準での意味を図でわかりやすく解説

宅地を含む複合不動産の賃貸借等の事例に係る実際実質賃料から、宅地以外の部分に対応する実際実質賃料相当額を控除する等により、宅地の比準賃料を求める方法です。つまり、建物付きで貸されている家賃から建物の分を差し引いて、土地だけの賃料を取り出します。

配分法に準ずる方法とは

住宅地で土地だけを貸している事例は、なかなか見つかりません。周りにあるのは、家が建った状態で貸されている貸家ばかりです。そこで、貸家の家賃のうち建物に対応する分を差し引けば、残りが土地の賃料に当たると考えて、土地だけの賃貸事例を作り出します。これが配分法に準ずる方法で、価格の場面で建物付きの取引価格から土地の価格を取り出す配分法の、賃料版です。こうして得た比準賃料は、宅地の正常賃料を決めるときに、積算賃料や比準賃料と並んで関連づける側に置かれます。

配分法に準ずる方法の図解:隣の貸家の家賃から建物の分を差し引いて、土地だけの賃料を取り出す。

隣の貸家の家賃から建物の分を差し引いて、土地だけの賃料を取り出す。

事例は、契約内容の類似性と敷地の最有効使用の程度で選びます

留意事項は、事例資料の選択に当たって、賃貸借等の契約内容の類似性及び敷地の最有効使用の程度に留意すべきだとしています。契約内容が違えば、一時金の有無や期間、特約で家賃の水準そのものが変わり、差し引いた残りも対象の宅地と対応しなくなります。敷地の最有効使用の程度が違えば、同じ広さの土地でも敷地いっぱいに3階建てが建つ貸家と、庭の広い平屋の貸家では、家賃のうち土地に帰属する割合が変わります。二つがそろって似ている事例でないと、建物の分を差し引いた残りが対象の宅地の賃料水準を表さない、という理屈です。

配分法に準ずる方法の図解:契約の条件と敷地の使われ方の両方が近い貸家を、事例に選ぶ。

契約の条件と敷地の使われ方の両方が近い貸家を、事例に選ぶ。

留意するのは最有効使用の「程度」で、状態にある事例に限りません

留意事項の語は敷地の最有効使用の「程度」であって、最有効使用の状態にある事例でなければならないとは書いていません。敷地を使い切っていない貸家でも、その使われ方の程度が対象と近ければ事例に選び、程度の差があれば、それを踏まえて比準します。最有効使用の状態にある事例だけに限ると、住宅地では使える事例がほとんど残らず、この方法が成り立たなくなると考えられます。宅地の正常賃料自体が、賃貸借等の契約内容による使用方法に基づく経済価値に即応する賃料として求めるものなので、最有効使用を事例の要件にする筋合いもありません。

宅地の正常賃料では、関連づける側の比準賃料です

宅地の正常賃料の鑑定評価額は、積算賃料、比準賃料及び配分法に準ずる方法に基づく比準賃料を関連づけて決定します。純収益を適切に求めることができるときの収益賃料と、賃貸事業分析法で得た宅地の試算賃料は、比較考量する側です。土地だけの賃貸事例が少ない宅地では、複合不動産の事例から土地の賃料を取り出すこの方法が主役の一つに置かれている、と読めます。建物及びその敷地の正常賃料には、この方法は出てきません。

(3) 配分法に準ずる方法に基づく比準賃料は、宅地を含む複合不動産の賃貸借等の契約内容が類似している賃貸借等の事例に係る実際実質賃料から宅地以外の部分に対応する実際実質賃料相当額を控除する等により求めた比準賃料をいうものであるが、宅地の正常賃料を求める場合における事例資料の選択に当たっては、賃貸借等の契約内容の類似性及び敷地の最有効使用の程度に留意すべきである。

出典: 各論第2章 第1節

実務ではこう使う

住宅地の地代を求めるときは、周辺の貸家の家賃から建物に対応する賃料相当額を差し引いて土地の賃料を取り出し、対象の宅地と比準します。差し引く建物分は、建物価格に期待利回りを乗じ、償却費や修繕費などの経費を加えて査定します。事例は契約の期間や一時金の有無、特約が対象と近く、敷地の使われ方も似たものを選び、選んだ理由を評価書に書きます。

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