/ 鑑定理論

建物及びその敷地の一部を対象とする正常賃料とは?不動産鑑定評価基準での意味を図でわかりやすく解説

貸室や一区画など、建物及びその敷地の一部を対象として求める正常賃料で、当該建物及びその敷地の全体と当該部分との関連について総合的に比較考量して求めます。つまり、その区画の家賃は、ビル全体の中でその区画がどんな位置にあるかを踏まえて決めます。

建物及びその敷地の一部を対象とする正常賃料とは

家賃の相談で一番多いのは「このビルの3階の一区画をいくらで貸せるか」という依頼です。一棟まるごとの家賃ではなく、建物及びその敷地の一部だけの正常賃料を求めることになります。同じビルの中でも、1階の道路に面した区画と、エレベーターから遠い上の階の奥の区画では、借り手が払える家賃は違います。だから基準は、その部分だけを切り離して見るのではなく、当該建物及びその敷地の全体と当該部分との関連を総合的に比較考量して求める、と定めています。

建物及びその敷地の一部を対象とする正常賃料の図解:区画の家賃は、ビル全体の中でその区画がどこにあるかで決まる。

区画の家賃は、ビル全体の中でその区画がどこにあるかで決まる。

その部分だけでなく、全体との関連を総合的に比較考量します

一区画の家賃は、その区画の広さや内装だけでは決まりません。ビル全体の賃料水準や稼働の状況の中で、その区画が何階のどの位置にあるか、日当たりや眺望、入口からの近さがどう違うかで決まります。実務ではこれを階層別・位置別の効用の違いとして数字にし、全体の水準から区画の水準を導きます。基準は「総合的に比較考量」とだけ定めています。全体の家賃を面積で機械的に割り振るのではなく、区画ごとの効用の差を織り込むことだと読めます。

手法の骨組みは、建物及びその敷地の正常賃料と同じです

この定めは、建物及びその敷地の正常賃料の定めに付いた「なお書き」です。土台は同じで、積算賃料と比準賃料を関連づけて決定し、純収益を適切に求めることができるときは収益賃料を比較考量します。賃貸借の契約内容による使用方法に基づく経済価値に即応する賃料を求める点も変わりません。一部を対象とするときは、この骨組みの上に、全体との関連を見る作業が加わります。

建物及びその敷地の一部を対象とする正常賃料の図解:積算賃料と比準賃料を関連づける土台の上に、全体との関連を見る作業が乗る。

積算賃料と比準賃料を関連づける土台の上に、全体との関連を見る作業が乗る。

証券化対象不動産でも、賃料なら各論第2章によります

各論第3章は、表題のとおり証券化対象不動産の「価格」に関する鑑定評価を定めた章で、DCF法の適用など収益価格を求める過程を細かく定めています。基準は、賃料の鑑定評価をこの章の対象から外すとは明記していませんが、章の定めはすべて価格を求める手順について書かれています。だから、いま証券化対象不動産として運用されているオフィスビルでも、その一区画の正常賃料を求める依頼なら、各論第2章の賃料の定めによります。分かれ目は対象がどんな不動産かではなく、求めるものが価格か賃料かです。

建物及びその敷地の一部を対象とする正常賃料の図解:求めるものが賃料なら、証券化対象不動産でも各論第2章の本を開く。

求めるものが賃料なら、証券化対象不動産でも各論第2章の本を開く。

なお、建物及びその敷地の一部を対象とする場合の正常賃料の鑑定評価額は、当該建物及びその敷地の全体と当該部分との関連について総合的に比較考量して求めるものとする。

出典: 各論第2章 第2節

実務ではこう使う

オフィスビルの空き区画の募集賃料の相談では、まずビル全体の賃料水準と稼働状況を把握し、階層別・位置別の効用比を使って対象区画の水準を出します。そのうえで同じビルや近隣ビルの成約事例と比準し、積算賃料と関連づけて結論を出します。角部屋か、エレベーターからの距離、日照や眺望の違いは、全体との関連のなかで具体的に説明します。

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