/ 鑑定理論

契約内容による使用方法とは?不動産鑑定評価基準での意味を図でわかりやすく解説

正常賃料を求めるときの前提で、賃貸借等の契約内容によって定まるその不動産の使い方のことで、基準はこの使用方法に基づく宅地又は建物及びその敷地の経済価値に即応する賃料を求めるとしています。つまり、最有効使用や地域の標準的な契約ではなく、その契約で決めた使い方を前提に賃料を出します。

契約内容による使用方法とは

地代や家賃の依頼が来たら、鑑定士は現地を見る前に契約書を開きます。用途は事務所に限るのか、建てられる建物の構造や階数に制限があるのか、転貸はできるのかによって、借り手がその不動産から得られる価値が変わるからです。土地や建物の価格は最有効使用(一番値打ちの出る使い方)を前提に求めますが、賃料は契約で使い方が決まっているので、その使い方で得られる価値に見合う額を求めます。この前提を基準は「賃貸借等の契約内容による使用方法」と呼び、宅地でも建物及びその敷地でも同じ形で定めています。

契約内容による使用方法の図解:賃料の評価は、契約書で決まった使い方を読むところから始まる。

賃料の評価は、契約書で決まった使い方を読むところから始まる。

前提は最有効使用ではなく、契約内容による使用方法です

正常価格は最有効使用を前提に求めますが、正常賃料は賃貸借等の契約内容による使用方法に基づく経済価値に即応する賃料として求めます。契約が住宅用に限る借地なら、周りに店が並んでいても、店を建てられる前提の地代にはなりません。留意事項も、賃貸人等の事情によって使用方法が制約され最有効使用の状態を確保できない場合には、積算賃料の基礎価格に、制約の程度に応じた経済価値の減分を考慮するとしています。契約に制約が無ければ結果として最有効使用と重なることはありますが、出発点はいつも契約の内容です。

地域の標準的な契約ではなく、その物件の契約を前提にします

正常賃料は正常価格と同じ市場の考え方で成り立つ賃料ですが、どう使う前提で賃料を出すかは、対象不動産について予定されている、その賃貸借の契約内容で決まります。同じ地域の標準的な契約内容は、賃貸事例を選ぶときや契約慣行を把握するときに参照するもので、前提の置き換えには使いません。新規賃料固有の価格形成要因に「新規賃料を求める前提となる契約内容」が挙げられているのも、その契約が前提だからです。

契約内容による使用方法の図解:参考にするのは地域の標準的な契約、前提にするのはこの物件の契約。

参考にするのは地域の標準的な契約、前提にするのはこの物件の契約。

元本は建物及びその敷地の経済価値で、更地価値ではありません

家賃は建物と敷地を一体で使うことの対価なので、元本になるのも一体としての経済価値です。留意事項は、家賃の基礎価格を、建物及びその敷地の現状に基づく利用を前提として成り立つ経済価値に即応した価格としています(総論第7章)。更地価値は建物を取り壊して最有効使用できる前提の価値なので、現に建物が建って貸されている敷地の価値とは別の物です。建物の価値と更地の価値を足しても、建物及びその敷地の経済価値にはなりません。

契約内容による使用方法の図解:家賃の元本は建物と敷地を一体で使う価値。更地の価値は別の物。

家賃の元本は建物と敷地を一体で使う価値。更地の価値は別の物。

宅地の正常賃料を求める場合の鑑定評価に当たっては、賃貸借等の契約内容による使用方法に基づく宅地の経済価値に即応する適正な賃料を求めるものとする。

出典: 各論第2章 第1節

実務ではこう使う

地代や家賃の依頼では、最初に契約書の用途、構造の制限、転貸の可否、増改築の特約を読み、その使い方で得られる価値を評価の前提に置きます。周辺が商業地でも、契約が住宅用に限っていれば住宅用途の地代として求め、評価書に「契約内容による使用方法を前提とした」と書きます。契約書案が無い新規の依頼では、前提とする契約内容を依頼者と確定してから着手します。

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