過去時点とは?不動産鑑定評価基準での意味を図でわかりやすく解説
鑑定評価を行った年月日より前の日を価格時点とする場合です。対象不動産の確認等が可能で、かつ、鑑定評価に必要な要因資料及び事例資料の収集が可能な場合に限り行うことができます。
過去時点とは
相続税の申告や遺産分割の調停では、「3年前の父が亡くなった日の値段」のように、過ぎた日の価格を求められます。過去のことなので、当時の登記や航空写真、当時の地価公示や取引事例をたどれば確かめられます。このように鑑定評価を行う日より前に価格時点を置くのが過去時点です。ただし、当時の姿を確かめられ、当時の資料もそろう場合に限られます。何もかも予測になる将来時点とは、ここが違います。

3年前の日の値段でも、当時の資料がそろえば確かめられる。
対象の確認と資料の収集の両方ができる場合に限ります
留意事項は、過去時点の鑑定評価は、対象不動産の確認等が可能であり、かつ、鑑定評価に必要な要因資料及び事例資料の収集が可能な場合に限り行うことができる、と定めています。二つの要件は「かつ」で結ばれています。当時の建物の姿や権利関係を確かめられても、当時の地域の資料や取引事例が集まらなければ価格は出せず、資料があっても対象を確かめられなければ何の価格か分かりません。片方だけでは足りません。

当時の姿を確かめる資料と、当時の要因資料と事例資料の両方がそろって初めて行える。
事情変更があれば、価格時点に近い資料で確かめます
価格時点から鑑定評価を行う日までの間に、建物が建て替わったり、周りの街が変わったりしていることがあります。留意事項はこの事情変更のある場合、価格時点における対象不動産の確認等については、価格時点に近い時点の確認資料等をできる限り収集し、それを基礎に判断すべきとしています。集めるのは価格時点に近い資料で、鑑定評価を行う日に近い資料ではありません。今の姿を見ても当時の値段は分からないからです。事情変更があるから行えない、というわけではなく、確かめ方を工夫せよという指示です。

今は建て替わっていても、価格時点に近い当時の写真と図面で確かめる。
過去は確かめられるので、将来時点とは扱いが違います
将来時点の鑑定評価は、対象の確定も要因の分析も最有効使用の判定もすべて想定と予測になり、資料も鑑定評価を行う日までのものしかないので、原則として行うべきではないとされています。過去時点は、確認と資料の二つの要件を満たせば行えます。基準は過去でも将来でも「何年前まで」「何年先まで」という期間の線は引いておらず、行えるかどうかは要件で決まります。
過去時点の鑑定評価は、対象不動産の確認等が可能であり、かつ、鑑定評価に必要な要因資料及び事例資料の収集が可能な場合に限り行うことができる。
出典: 総論第5章 第2節
実務ではこう使う
相続税の申告や遺産分割の調停で過去の一時点の価格を依頼されたら、当時の登記、航空写真、公図、建物の図面や写真で対象を確認し、当時の地価公示や取引事例を集めます。建物が建て替わっているなど事情変更があれば、価格時点に近い時点の資料をできる限り集めて判断し、その旨を評価書に書きます。当時の資料がどうしても集まらなければ、引き受けられない旨を依頼者に説明します。
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