各省各庁の長とは?国有財産法での意味を図でわかりやすく解説
衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、各省大臣、最高裁判所長官及び会計検査院長のことです(4条2項)。つまり国有財産を所管する各機関のトップで、所管に属する行政財産を管理し(5条)、普通財産の貸付けや売払いで相手方に向けた行為(解除、用途指定、延納の特約など)もこの名で行います。
各省各庁の長とは
国の財産はひとまとめに財務省が持っているわけではなく、国会、内閣、各省、裁判所、会計検査院がそれぞれ所管しています。それぞれのトップを国有財産法は「各省各庁の長」とまとめて呼び、自分の所管する行政財産を管理させます。一方で、使っていない普通財産は財務大臣が管理し処分し、国有財産全体の制度や調整(総括)も財務大臣が担います。誰が何をするかの役割分担が、この法律を読むときの土台です。

使っている省が管理し、使っていない財産は財務大臣がまとめて扱う。
行政財産は各省各庁の長が、普通財産は財務大臣が受け持ちます
5条は各省各庁の長にその所管の行政財産の管理を、6条は財務大臣に普通財産の管理と処分を命じます。条文に理由は書いていませんが、行政財産は使っている機関が管理するのがいちばん確実で、使っていない普通財産は一か所に集めて売払いや貸付けを進めるのが効率的だからと読めます。財務大臣はさらに、制度を整え、事務を統一し、増減と現在額を明らかにする「国有財産の総括」を行います(4条1項・7条)。
用途廃止や取得があれば、財務大臣に引き継ぎます
各省が庁舎を使わなくなって用途を廃止したり、物納などで普通財産を取得したりしたときは、その各省各庁の長は財務大臣に引き継がなければなりません(8条1項本文)。ただし政令で定める特別会計に属するものと、引き継ぐことを適当としないものとして政令で定めるものは引き継がず、6条にかかわらず所管する各省各庁の長が管理し処分します(8条1項ただし書・2項)。普通財産の管理と処分が「原則として財務大臣」であって「全部が財務大臣」ではないのは、この例外があるからです。

使わなくなった財産は財務大臣へ。特別会計のものは手元に残る。
契約の相手方に向けた行為は、所管する各省各庁の長が行います
管理と処分の権限は財務大臣にあっても、条文の中で契約の相手方に向けて行為をするのは「当該財産を所管する各省各庁の長」と書かれています。貸付契約の解除(24条)、無償貸付の解除(22条3項)、売払いの用途指定(29条)、延納の特約(31条)がそれです。財務大臣が所管する普通財産では、財務大臣自身が各省各庁の長の一人として行います。
所管換は各省各庁の長の間の移動で、財務大臣に協議します
所管換は、ある省の国有財産を別の省の所管に移すことです(4条2項)。受けようとする各省各庁の長は、今の所管の長と財務大臣に協議します(12条)。ただし、13条により国会の議決を経る場合や政令で定める場合は、財務大臣への協議は要りません(12条ただし書)。同じ省の中の部局間で移すのは所属替と呼び、所管換とは区別します(4条3項)。
この法律において「国有財産の所管換」とは、衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、各省大臣、最高裁判所長官及び会計検査院長(以下「各省各庁の長」という。)の間において、国有財産の所管を移すことをいう。/各省各庁の長は、その所管に属する行政財産を管理しなければならない。/普通財産は、財務大臣が管理し、又は処分しなければならない。
出典: 国有財産法 4条2項・5条1項・6条1項
実務ではこう使う
国有地の鑑定評価の依頼者は、普通財産なら財務大臣の下にある財務局や財務事務所、行政財産の余裕部分の貸付けなら所管する省庁の地方支分部局になります。評価書の依頼者欄と、価格の用途(売払い、貸付料、交換)を取り違えないように確認します。所管換や用途廃止の予定は、その土地が近く市場に出るかどうかを読む手がかりになります。
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