/ 鑑定理論

経済価値とは?不動産鑑定評価基準での意味を図でわかりやすく解説

不動産の経済価値とは、効用、相対的稀少性、有効需要の三者の相関結合によって生ずる、その不動産の値打ちそのものです。つまり、金額で表す前の値打ちそのもので、それを貨幣額をもって表示したものが価格です。

経済価値とは

家を売ろうとする人は「うちにはどれだけの値打ちがあるだろう」と考え、買い手も「この家にそれだけの値打ちがあるか」と考えます。この値打ちそのものが経済価値で、それを円の額で言い表したものが価格です。基準は、不動産の価格を、効用、相対的稀少性、有効需要の三者の相関結合によって生ずる経済価値を貨幣額をもって表示したもの、と定めます。値打ちがもとにあり、貨幣額はその表し方です。鑑定評価の仕事は、この経済価値を判定して貨幣額で表示することです。

経済価値の図解:値打ちがもとにあり、それを円の額で言い表したものが価格。

値打ちがもとにあり、それを円の額で言い表したものが価格。

価格は、経済価値を貨幣額で表示したものです

経済価値と価格は同じものではなく、価格は経済価値の表し方です。基準は三者の「相関結合」によって生ずると書くだけですが、これは効用と稀少性と有効需要が互いに関わり合って初めて値打ちが生まれる、という意味に読めます。だとすれば、どれか一つが欠ければ経済価値は生じません。役に立つ物でもいくらでも手に入るなら値は付かず(相対的稀少性)、欲しい人がいても買える力がなければ値は付きません(有効需要)。

経済価値は、四つの要因の相互作用で決まります

基準は、この経済価値は基本的には三者を動かす自然的、社会的、経済的及び行政的な要因の相互作用によって決定される、と定めます。地盤や日当たり、人口の動き、金利や景気、用途地域の指定といった要因が、効用、相対的稀少性、有効需要をそれぞれ動かし、その結果として経済価値が決まります。同じ節の冒頭では、土地と人との関係が現れた不動産のあり方が経済価値の本質を決定づける、とも書きます。要因があり方と三者を動かし、三者の相関結合で経済価値が生じ、価格として表示される、という一続きの流れです。そして価格は、要因の影響の下にあると同時に、選択指標として要因に影響を与える二面性を持ちます。

経済価値の図解:新駅の決定という一つの要因が三者を動かし、経済価値が動いて値札が書き換わる。

新駅の決定という一つの要因が三者を動かし、経済価値が動いて値札が書き換わる。

鑑定評価は、対象不動産の経済価値を判定することです

基準は、不動産の鑑定評価はその対象である不動産の経済価値を判定し、これを貨幣額をもって表示することだ、と定めます。「その対象である」と言うとおり、判定には特定の不動産があります。不動産を特定せず、ある地域の相場としての賃料水準を求めるだけの行為は、鑑定評価ではありません。基準はこれを、社会の一連の価格秩序の中で対象不動産の価格の占める適正なあり所を指摘すること、とも言い換えています。

経済価値は、価格としても賃料としても表示されます

第2節が挙げる価格の特徴の一つ目は、不動産の経済価値は一般に交換の対価である価格として表示されるとともに、用益の対価である賃料としても表示される、というものです。売るときの値打ちと貸すときの値打ちは、同じ経済価値の二つの表し方です。価格と賃料の間には元本と果実の間に認められる相関関係があり、価格から賃料を、賃料から価格を求める手法が総論第7章にあります。

不動産の価格は、一般に、その不動産に対してわれわれが認める効用、その不動産の相対的稀少性及びその不動産に対する有効需要の三者の相関結合によって生ずる不動産の経済価値を、貨幣額をもって表示したものである。

出典: 総論第1章 第1節

実務ではこう使う

評価書の結論の欄に書くのは貨幣額ですが、そこに至るまでに鑑定士が判定しているのは、対象不動産の値打ちそのものです。原価法、取引事例比較法、収益還元法で試算価格を出して調整するのは、同じ経済価値を別の角度から測っているからです。数字だけがあって理由を説明できない評価書は、経済価値の判定になっていません。

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