個別的要因とは?不動産鑑定評価基準での意味を図でわかりやすく解説
不動産に個別性を生じさせ、その価格を個別的に形成する要因です。つまり、同じ地域の中で、この土地・この建物だけの値段の違いを生む、一つひとつの事情です。
個別的要因とは
同じ住宅街の同じ坪数でも、角地で日当たりのよい整った形の土地と、細い通路で道路につながる奥まった土地では、値段が違います。建物なら、築年数や耐震性、修繕の行き届き方で違います。地域の水準は同じでも、この不動産だけの事情が値段を上下させます。その事情を基準は個別的要因と呼び、土地、建物、建物及びその敷地の区分に応じて例示しています。

土地は形と道路付け、建物は築年と耐震、敷地との組合せは配置。三つの区分の個別的要因。
個別的要因は、地域の水準の中でその不動産の位置を決めます
地域要因は、その地域の土地ならどれにも効く事情で、地域の値段の水準を決めます。個別的要因は、その水準の中で、この不動産が上に寄るのか下に寄るのかを決めます。周りの状況であっても、隣に高層ビルが建って日当たりが悪い、というのはその一区画だけの事情なので、「隣接不動産等周囲の状態」として個別的要因に置かれています。地域全体に及ぶか、その不動産だけに及ぶかが、地域要因との境目です。
例示は、土地・建物・建物及びその敷地の区分で分かれます
土地に関する個別的要因は、宅地(住宅地・商業地・工業地)、農地、林地に分けて例示され、見込地及び移行地は転換後・移行後の種別の要因をより重視します。建物に関する個別的要因は、建築の年次、面積・構造、設計・設備の機能性、施工の質、耐震性などの性能、維持管理の状態、有害な物質の使用、環境との適合、公法上・私法上の規制の9項目が各用途に共通し、住宅・事務所ビル・商業施設・物流施設ごとに特に見る点が加わります。建物及びその敷地に関する個別的要因は、敷地内の建物・駐車場・通路・庭の配置や建物と敷地の規模の対応関係、修繕計画・管理計画の良否で、賃貸用なら賃貸経営管理の良否も入ります。土地だけでも建物だけでもなく、組み合わさって初めて出る事情が三つ目の区分です。
同じ要因でも、種別によって効き方の程度が違います
接面街路の幅員は、住宅地・商業地・工業地に共通する例示です。しかし住宅地では、広すぎる道路は通過する車の騒音で快適性を下げることがあり、商業地では広い道路が見つけやすさと集客を高めて収益性に効きます。基準に着眼点の語はありませんが、例示を読むと、住宅地は快適性と利便性、商業地は収益性、工業地は費用の経済性と生産の効率性に効く事情が並んでいると読めます。だから同じ要因でも、効き方が種別ごとに違います。

同じ広い道路でも、住宅地では騒音、商業地では集客。効き方は種別で変わる。
敷地内の配置は、土地でも建物でもなく組合せの要因です
建物をどこに置き、駐車場と通路と庭をどう配置したか、建物の大きさが敷地に釣り合っているかは、土地だけを見ても建物だけを見ても出てきません。土地と建物を組み合わせた結果として現れる事情なので、基準は「建物及びその敷地に関する個別的要因」として別に置いています。修繕計画・管理計画の良否とその実施の状態、賃貸用不動産の賃貸経営管理の良否も、同じ区分に入ります。

建物をどこに置き、駐車場と庭をどう配置したか。土地と建物の組合せで初めて出る事情。
個別的要因とは、不動産に個別性を生じさせ、その価格を個別的に形成する要因をいう。
出典: 総論第3章 第3節
実務ではこう使う
実務では、個別的要因は個別分析で扱い、現地で間口・奥行・接道・高低差・周囲の状況を確かめ、法務局と役所で規制や埋蔵文化財の情報を集めます。取引事例比較法では事例と対象の個別的要因を比べて格差率を出し、原価法では建物の要因が減価修正に効きます。評価書には、最有効使用の判定に影響した要因を明示します。
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