/ 鑑定理論

交換の対価・用益の対価とは?不動産鑑定評価基準での意味を図でわかりやすく解説

不動産の経済価値は、一般に、交換の対価である価格として表示されるとともに、その用益の対価である賃料として表示されます。つまり、売り買いの対価が価格、借りて使い利益を得ることの対価が賃料です。

交換の対価・用益の対価とは

同じマンションの一室に、「売値 3,000万円」と「家賃 月10万円」の二つの値札が付くことがあります。買う人は部屋を自分の物にする対価として価格を払い、借りる人は部屋を使って暮らしや商売の利益を得る対価として賃料を払います。基準は前者を交換の対価、後者を用益の対価と呼びます。用益とは、物を使って利益を得ることです。一つの不動産の経済価値が、売るときは価格、貸すときは賃料という二つの形で表れる、ということです。

交換の対価・用益の対価の図解:同じ一室に、売るときの価格と貸すときの賃料の二つの値札が付く。

同じ一室に、売るときの価格と貸すときの賃料の二つの値札が付く。

価格は交換の対価で、賃料は用益の対価です

価格は、不動産そのものを手放したり手に入れたりする交換の場面で決まる対価です。賃料は、所有権はそのままに、使って利益を得る場面で決まる対価です。だから同じ一棟のアパートに売値と家賃の二つの数字が付いても、矛盾ではありません。どちらもそのアパートの経済価値の表れ方で、対価の中身が交換か用益かで名前が変わります。

価格は全期間の値打ちで、賃料は一部の期間の値打ちです

買った人は、建物が古びて壊されるまで、土地なら期限なく、その不動産を使い続けることも貸すこともできます。価格は、この物理的、機能的又は経済的に消滅するまでの全期間にわたる使用収益の値打ちを、いま一度に払う金額です。借りた人が手に入れるのは、契約で決めた2年なり3年なりの一部の期間の使用収益だけなので、賃料はその期間分の値打ちを月ごと年ごとに払う金額になります。全部を買い取るか、一部の期間だけ借りるか、というのが価格と賃料の違いです。基準の第1章はここまでは書いていませんが、交換と用益の違いを期間で言い直すとこうなります。

交換の対価・用益の対価の図解:買えば消滅するまでの全期間、借りれば契約した一部の期間。

買えば消滅するまでの全期間、借りれば契約した一部の期間。

価格と賃料の間には、元本と果実の相関関係があります

銀行に預けた元本から毎年の利息が生まれ、元本が大きいほど利息も多くなります。基準は、価格と賃料の間にも、この元本と果実の間に認められる相関関係がある、と定めています。不動産が元本、そこから毎年生まれる賃料が果実で、預金の利息と同じ仲間です。価格の高い不動産ほど賃料も高いというこの関係があるから、賃料から価格を求める収益還元法と、価格から賃料を求める積算法が総論第7章に置かれています。

交換の対価・用益の対価の図解:預金の元本と利息のように、価格と賃料は結び付いている。

預金の元本と利息のように、価格と賃料は結び付いている。

基準が「一般に」と書くのは、市場性のない不動産があるからです

文化財に指定された建造物や寺社のように、売り買いの市場がそもそもない不動産があります。そこでは交換の対価としての価格は表れませんが、保存のための評価のように、その利用現況を前提にした経済価値を価格として求めることはあります。総論第5章の特殊価格がこれです。基準が「一般に、交換の対価である価格として表示される」と「一般に」を付けるのは、こうした例外を含みに置いているからです。

不動産の経済価値は、一般に、交換の対価である価格として表示されるとともに、その用益の対価である賃料として表示される。

出典: 総論第1章 第2節

実務ではこう使う

依頼を受けたら最初に、求めるものが価格か賃料かを確かめ、評価書の依頼目的の欄に書きます。売買のための評価なら交換の対価である価格、賃貸借のための評価なら用益の対価である賃料で、使う手法も集める資料も変わります。貸家の評価では両方を求め、賃料から逆算した価格と売買事例から求めた価格を見比べることもあります。

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