権利変換計画とは?マンションの建替え等の円滑化に関する法律での意味を図でわかりやすく解説
施行マンションの区分所有権と敷地利用権を、施行再建マンションのどの区分所有権と敷地利用権に置き換えるかを、価額とともに一人ずつ定める計画です。つまり、古い301号室の権利が新しい何号室の権利にいくらで変わるかを書いた、建替えの権利の対応表です。
権利変換計画とは
マンションを建て替えると、古い建物は無くなり、住民が持っていた「301号室とその敷地の持分」という権利も、そのままでは行き先がありません。そこで施行者は、一人ひとりの古い権利を、新しいマンションのどの部屋とどれだけの敷地の持分に置き換えるか、その価額はいくらかを一つの計画にまとめます。これが権利変換計画で、担保権や借家権の行き先、権利を失う人への補償、権利が切り替わる日(権利変換期日)もここに書きます。組合は総会の議決と関係権利者の同意を得て都道府県知事等の認可を受け、認可の公告と通知によって権利変換の処分が行われます(57条・68条)。

古い部屋の権利を新しい部屋の権利へ、一人ずつ対応させる。
定めるのは権利の対応と価額で、事業計画とは別の書類です
権利変換計画には、施行再建マンションの配置設計、再建マンションの権利を与えられる者の氏名と住所、その者の従前の区分所有権・敷地利用権とその価額、与えられる権利の明細と価額の概算額、担保権等の登記に係る権利の行き先、借家権を与えられる者と部分、権利を失う者とその価額、保留敷地の帰属、権利変換期日などを定めます(58条1項)。一方、組合の設立時に定める事業計画は、施行マンションの状況、敷地の区域、再建マンションの設計の概要、事業施行期間、資金計画といった事業の骨格を書くもので、権利の価額は含みません(10条1項)。誰の権利がいくらかを書くのは権利変換計画だけです。
価額の基準日は、認可の公告の日から起算して30日を経過した日です
従前の区分所有権と敷地利用権の価額は、近傍類似の土地や近傍同種の建築物に関する同種の権利の取引価格等を考慮して定める相当の価額で、その基準日は56条1項の30日の期間を経過した日です(62条)。この30日は、設立認可の公告があった日から起算して、権利変換を希望せず金銭の給付を希望する旨を申し出られる期間です(56条1項)。申出の期間が閉じた日に、誰が権利を残し誰が金銭で出るかが固まるので、その日を価額の基準に置きます。再建マンションの権利の価額の概算額も、事業に要する費用と同じ日の取引価格等を基準に定めます(63条)。

公告から30日の申出期間が閉じた日が、価額の基準日。
認可の申請には総会の議決と、組合員以外の権利者の同意が要ります
組合が認可を申請するときは、あらかじめ総会の議決を経るとともに、施行マンションやその敷地について権利を有する者のうち組合員を除く者と、隣接施行敷地の権利者の同意を得なければなりません(57条2項)。組合員は総会の議決でまとめて意思を示すので、個別の同意は組合員以外の権利者から取ります。区分所有権等以外の権利、つまり抵当権などを持つ者から同意が得られないときは、その理由と損害を与えないための措置を書いた書面を添えて申請できます(57条3項)。区分所有権等には借家権が含まれるので(45条3項)、借家権者の同意はこの書面では代えられません。総会の議決は組合員の議決権と持分割合の各5分の4以上で、変更も同じで、あわせて審査委員の過半数の同意が要ります(30条3項・67条)。

組合員は議決、組合員以外は同意。借家権者の同意は書面で代えられない。
借家権者には再建マンションの借家権を与え、家賃は協議で決めます
施行マンションの区分所有者から賃借権の設定を受けている者には、借家権の取得を希望しない旨を申し出た者を除き、その区分所有者に与えられる再建マンションの部分について賃借権が与えられるように定めます(60条4項)。与えるのは借家権であって、区分所有権や敷地利用権ではありません。家賃その他の借家条件は、再建マンションの区分所有権を与えられる者と借家権を与えられる者が協議し、工事完了の公告の日までに成立しないときは、施行者が審査委員の過半数の同意を得て裁定できます(83条1項・2項)。
施行者は、前条の規定による手続に必要な期間の経過後、遅滞なく、権利変換計画を定めなければならない。この場合においては、国土交通省令で定めるところにより、都道府県知事等の認可を受けなければならない。
出典: マンションの建替え等の円滑化に関する法律 57条1項
実務ではこう使う
権利変換計画の価額は、鑑定士が従前資産と従後資産を評価して作る数字です。基準日が設立認可の公告から30日を経過した日に固定されるため、価格時点をその日に置き、近傍類似の取引事例と再建後の専有部分の効用比を根拠に評価します。事業に要する費用を織り込んだ概算額と、従前の権利の価額の差が、各区分所有者の清算金や補償金の元になります。
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