売渡し請求とは?マンションの建替え等の円滑化に関する法律での意味を図でわかりやすく解説
組合が、建替えに参加しない旨を回答した区分所有者に対し、その区分所有権と敷地利用権を時価で売り渡すよう求める請求です(15条)。つまり、反対した人の権利を組合が時価で買い取って、全員参加の形で建替えを進めるための仕組みです。
売渡し請求とは
建替え決議は5分の4以上の多数で成立するので、反対した区分所有者が残ります。反対した人の部屋がそのまま残っていては建物を壊せないため、区分所有法は決議に賛成した人からの売渡し請求を用意し、この法律はさらに、組合が主体となって反対者に請求できる道を定めました。組合は設立認可の公告の日から2月以内に、建替えに参加しない旨を回答した区分所有者へ、区分所有権と敷地利用権を時価で売り渡すよう請求できます(15条1項)。請求すると相手の承諾がなくても時価での売買が成立したものと扱われ、反対者の権利が組合に集まります。

参加しないと答えた人の権利を、組合が時価で買い取る。
請求できるのは設立認可の公告の日から2月以内です
組合は、設立認可の公告の日から2月以内に売渡し請求ができます(15条1項)。起点は認可の申請の日でも認可の日でもなく、公告の日です。組合は認可によって成立しますが、公告があるまでは組合の成立を第三者に対抗できないので(13条・14条2項)、外に向けた請求は公告を起点に数えます。公告の日が区分所有法63条3項の催告の回答期間の満了より前なら、満了の日から数えます。マンション敷地売却組合の売渡し請求も、同じく認可の公告の日から2月以内です(124条1項)。

申請でも認可でもなく、公告の日から2月。
相手は参加しない旨を回答した区分所有者です
請求の相手は、区分所有法63条の催告に対して建替えに参加しない旨を回答した区分所有者(同条5項に規定する者)と、その承継人です(15条1項)。回答の後に建替えに同意して建替え合意者等になった人は、組合員になるので請求の相手から外れます。建替え決議の後にその区分所有者から敷地利用権だけを取得した人の敷地利用権も、同じように請求できます。条文に明文はありませんが、売渡し請求は相手の承諾を待たずに一方的な意思表示で時価の売買を成立させる権利(形成権)と解されています。裁判所が明渡しの期限を許与できることなどは、区分所有法63条6項以下を準用して定めています(15条3項)。
建替え決議の日から1年以内という上限もあります
売渡し請求は、建替え決議等の日から1年以内にしなければなりません(15条2項)。公告から2月という短い期限と、決議から1年という上限が重なる構造です。組合の設立が遅れて決議から1年を過ぎると、正当な理由がない限り請求できなくなります。権利変換計画の総会の議決に賛成しなかった組合員に対しても、組合は議決の日から2月以内に同じ売渡し請求ができ、逆に組合員の側からは買取請求ができます(64条1項・3項)。
組合は、前条第一項の公告の日(…)から二月以内に、…建替えに参加しない旨を回答した区分所有者(その承継人を含み、その後に建替え合意者等となったものを除く。)に対し、区分所有権及び敷地利用権を時価で売り渡すべきことを請求することができる。
出典: マンションの建替え等の円滑化に関する法律 15条1項
実務ではこう使う
売渡し請求の「時価」は、区分所有権と敷地利用権を一体とした市場価値で、鑑定評価が求められる場面です。建替え決議後の物件は建替えを前提に取引されるため、再建後の効用と事業の負担を織り込んだ価格になります。反対者との交渉や裁判で、この時価の根拠を示す評価書が使われます。
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