借地権設定者に帰属する経済的利益とは?不動産鑑定評価基準での意味を図でわかりやすく解説
当該宅地の実際支払賃料から諸経費等を控除した部分の賃貸借等の期間に対応する経済的利益と、その期間の満了等によって復帰する経済的利益の現在価値です。つまり、借地の間に地主の手元に残る地代と、期間が終わって戻ってくる土地を、今の値打ちに直したものです。
借地権設定者に帰属する経済的利益とは
土地を貸している地主の立場で考えます。借地の間は毎月の地代が入り、固定資産税などの経費を引いた残りが手元に残ります。そして契約の期間が終われば、土地は地主の手元に戻ってきます。この「期間中の取り分」と「いずれ戻ってくる土地」を今の値打ちに直して合わせたものが、基準のいう借地権設定者に帰属する経済的利益です。底地の価格は、借地権の価格との相互関連においてこの利益を貨幣額で表示したものです。

借地の間の地代の取り分と、期間が終わって戻ってくる土地。地主の値打ちはこの二つ。
利益は、期間に対応する利益と復帰する利益の二つで組み立てます
基準の定義は二つの部分でできています。一つは、実際支払賃料から諸経費等を控除した部分の、賃貸借等の期間に対応する経済的利益です。もう一つは、その期間の満了等によって復帰する経済的利益で、どちらも現在価値で見ます。基準が二つを並べているのは、地代の側だけでは底地の値打ちを言い尽くせないためと読めます。土地はいずれ戻ってくるという期待があるからこそ、底地は地代の利回りだけでは説明できない値段で取引される、と考えられます。
賃貸借等の期間が違えば、二つの利益の大きさも変わります
期間が長ければ地代収入に対応する利益が大きくなり、そのぶん土地が戻ってくるのは遠い先なので、復帰する利益の現在価値は小さくなります。満了が近い定期借地権の底地では反対に、復帰する利益の現在価値が大きな割合を占めます。普通借地権の底地は更新される見込みが高いので、地代側の利益が中心になります。基準は「賃貸借等の期間に対応する」と定めるだけですが、期間に応じて利益の中身が変わる、と読める定め方です。

残り30年なら地代の山が大きく、残り2年なら戻ってくる土地が大きい。
将来見込まれる一時金も、利益を構成する場合があります
基準はなお書きで、将来において一時金の授受が見込まれる場合には、当該一時金の経済的利益も借地権設定者に帰属する経済的利益を構成する場合がある、と留意させています。更新のときの更新料、借地人が家を建て替えるときの増改築承諾料、借地権を売るときの名義書替料が、地主に入る見込みの一時金です。これらは借地権の側の勘案事項(オ)「将来見込まれる一時金の額及びこれに関する契約条件」にも入っていて、借地権と底地の両方の価格に関わります。「構成する場合がある」という留保付きの定めなのは、金額やその授受の確実性が契約や慣行によって幅があるためと読めます。

更新料や承諾料など、これから地主に入る見込みの一時金も利益に数える。
復帰する利益の中身は、期間満了時の取り決めで決まります
留意事項は、定期借地権では契約期間満了時に更地として返還される場合又は借地上の建物の譲渡が行われる場合がある、と定めています。どちらになるかで復帰する利益の中身は変わり、満了時に借地上の建物を地主が有償で買い取る内容なら、戻ってくる建物及びその敷地の現在価値から建物買取費用の現在価値を差し引いて見る、と読めます。底地の鑑定評価額そのものは、実際支払賃料に基づく純収益等の現在価値の総和を求めることにより得た収益価格と比準価格を関連づけて決定し、定期借地権の付着した底地では(ク)「借地期間満了時の建物等に関する契約内容」まで勘案します。
借地権設定者に帰属する経済的利益とは、当該宅地の実際支払賃料から諸経費等を控除した部分の賃貸借等の期間に対応する経済的利益及びその期間の満了等によって復帰する経済的利益の現在価値をいう。
出典: 各論第1章 第1節
実務ではこう使う
地主から底地の売却や相続の評価を頼まれる場面で使います。契約書で地代、改定条項、期間、満了時の取り決めを確認し、地代収入の現在価値と、期間満了で戻ってくる土地の現在価値を積み上げます。買主が第三者なら地代利回りで見る投資家、借地権者なら完全所有権に戻す当事者で、同じ底地でも見方が変わります。
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