他の専門家が行った調査結果等とは?不動産鑑定評価基準での意味を図でわかりやすく解説
専門職業家としての注意を尽くしてもなお、価格形成に重大な影響を与える要因が十分に判明しない場合に、原則として活用することが必要とされる、土壌汚染調査や耐震診断のような他の専門家による調査の結果です。つまり、鑑定士の手に余る専門領域は、自分の推測で埋めずに、その道の専門家が測った結果を評価に組み込みます。
他の専門家が行った調査結果等とは
工場の跡地を評価するとき、土の中に有害物質が残っているかどうかで値段は大きく変わりますが、鑑定士が土を掘って成分を分析することはできません。基準はこの場面で、専門職業家としての注意を尽くしてもなお重大な要因が分からないときは、原則として土壌汚染の調査会社や建築の専門家など、他の専門家が行った調査結果等を活用するよう求めています。分からないまま勘で減価するのではなく、その道の専門家に測ってもらった結果を評価に組み込む、という流れです。活用するかどうかは処理計画の段階で依頼者に確かめ、活用したら報告書にその範囲と内容を書きます。

鑑定士には測れない地中の汚染を、専門家に調べてもらって評価に組み込む。
重大な要因が分からないときは、専門家の調査結果が原則です
基準の順番は、まず鑑定士自身が専門職業家としての注意を尽くして調べる、それでもなお価格形成に重大な影響を与える要因が十分に判明しないなら、原則として他の専門家の調査結果等を活用する、です。土壌汚染が存することが判明している不動産では、汚染の分布状況や除去等の措置に要する費用を、他の専門家の調査結果等を活用して把握するのが原則です。専門家の結果を使うかどうかを判断し、評価の責任を持つのはあくまで鑑定士です。
依頼者の事情で調査できないときは、条件設定か推定を選べます
基準はただし書で、依頼目的や依頼者の事情による制約がある場合の道を三つ挙げています。依頼者の同意を得て想定上の条件を設定する、同じく調査範囲等条件を設定する、又は自己の調査分析能力の範囲内でその要因の影響の程度を推定する、の三つです。条件を設定するには条件設定に係る一定の要件を、推定するには客観的な推定ができると認められることを、それぞれ満たす必要があります。専門家の資料が手に入らなければ直ちに依頼を断る、という定めではありません。

専門家に頼めないときは、条件を付けるか、自分で推定するかを依頼者と決める。
活用したら、専門家が調べた範囲と内容を報告書に明確にします
報告書には、鑑定士が自ら行った調査の範囲及び内容と、他の専門家が調査した範囲及び内容の両方を明確にします。読み手が「どこまでを誰が調べ、どこから先は分からないままか」を確かめられるようにするためです。専門家から入手した調査報告書は、必要に応じて附属資料として添付しますが、その専門家の同意が得られないときは添付しません。

報告書には、自分が調べた範囲と専門家が調べた範囲の両方を書く。
さらに、価格形成要因について、専門職業家としての注意を尽くしてもなお対象不動産の価格形成に重大な影響を与える要因が十分に判明しない場合には、原則として他の専門家が行った調査結果等を活用することが必要である。
出典: 総論第8章 第6節
その際、不動産鑑定士が自ら行った調査の範囲及び内容を明確にするとともに、他の専門家が行った調査結果等を活用した場合においては、当該専門家が調査した範囲及び内容を明確にしなければならない。
出典: 総論第9章 第2節
実務ではこう使う
工場跡地の評価では、依頼者が持つ土壌汚染調査の報告書を受け取り、調査した区画・深度・検出された物質と除去費用の見積りを読み込んで減価に反映します。評価書には「土壌汚染については○○社の調査報告書(令和○年○月)を活用。調査範囲は敷地全域の表層土壌」のように範囲と内容を書きます。報告書そのものを添付するときは、調査会社の同意を取ります。
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