専門職業家としての注意とは?不動産鑑定評価基準での意味を図でわかりやすく解説
不動産の鑑定評価に当たって不動産鑑定士が払わなければならない、専門職業家にふさわしい水準の注意です。つまり、一般の人と同じ程度に見るだけでは足りず、法律で地位を認められた専門家として見るべきものを見る義務です。
専門職業家としての注意とは
家を買う人が内覧をするとき、見るのは間取りや日当たり、駅までの道のりでしょう。鑑定士が同じ家を見るときは、それに加えて、境界の杭、前面道路の種類、法令上の規制、賃貸借契約の中身、土壌汚染の可能性まで確かめます。買い手なら見過ごしてよいことも、鑑定士が見過ごせば評価額が狂うからです。この、専門家にふさわしい水準で見る義務を、基準は専門職業家としての注意と呼び、五つの遵守事項の四つ目に置いています。

評価書を頼りにする人がいるから、専門職業家の水準で見る。
求められる注意は、市場参加者ではなく専門職業家の水準です
市場参加者は、総論第5章で正常価格の前提として出てくる、市場で売り買いをする人のことです。総論第3章は、価格形成要因を市場参加者の観点から把握するよう求めるので、鑑定士は市場の人がどう見るかを確かに踏まえます。ただ、それは価格の読み方の話で、払うべき注意の水準は別です。買い手が見過ごしてよいことも鑑定士は見過ごせないので、基準は注意の水準を市場参加者ではなく専門職業家に置きます。

買い手は日当たりを見て、鑑定士は境界と規制まで確かめる。
専門家の調査結果を使うときも、判断の責任は鑑定士にあります
総論第8章は、専門職業家としての注意を尽くしてもなお価格に重大な影響を与える要因が判明しない場合には、原則として他の専門家が行った調査結果等を活用する、と定めます。第8章はここまでしか書いていませんが、活用するかどうか、どう使うかを決めるのは鑑定士自身で、結果を引き写せば責任も移るという関係ではない、と読めます。各論第3章の留意事項が、証券化対象不動産のエンジニアリング・レポートについて、鑑定士が主体的に責任を持って活用の有無を判断すると書いているのと同じ考えです。

専門家の報告書でも、使うかどうかを決めて責任を持つのは鑑定士。
根拠は、法律で認められた専門家の地位です
基準は、鑑定士は十分に能力のある専門家としての地位を不動産の鑑定評価に関する法律によって認められ、付与される、と書きます。地位を与えられているからこそ、社会的公共的意義を理解し、的確かつ誠実な鑑定評価で社会一般の信頼と期待に報いなければなりません。専門職業家としての注意は、良心に従い誠実に評価するという責務と同じ根から出ています。
不動産の鑑定評価に当たっては、専門職業家としての注意を払わなければならないこと。
出典: 総論第1章 第4節
実務ではこう使う
土壌汚染や建物の劣化について専門業者の報告書を受け取ったら、その調査範囲と方法を読み、評価にどう反映するかを鑑定士自身が決めて評価書に書きます。報告書の結論だけを引き写して「専門家の意見による」と済ませるのは、注意義務を果たしたことになりません。現地調査で見落としがあれば、報告書があっても鑑定士の責任です。
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