価格形成要因からの除外とは?不動産鑑定評価基準での意味を図でわかりやすく解説
価格形成に影響があるといわれている事項でも、原因や因果関係が明確でないか、通常の調査で存否の端緒すら確認できず、しかも価格形成に大きな影響を与えないと判断されるときに、その事項を価格形成要因から外して鑑定評価を行うことです。つまり、根拠も手がかりもなく、値段も大きく動かさない事柄は、要因の表から外してよ...
価格形成要因からの除外とは
現地で聞き込みをすると、『昔この辺りは工場だったらしい』『あの家は縁起が悪いと聞いた』といった話が出てくることがあります。鑑定士は価格に効く事情を価格形成要因として一つずつ調べますが、うわさの域を出ない話まで全部を調べ尽くすことはできません。基準の留意事項は、原因や因果関係がはっきりしない事項や、通常の調査では存否の手がかり(端緒)すら見つからない事項について、価格に大きな影響を与えないと判断できるなら、価格形成要因から外して評価してよいと定めています。これが価格形成要因からの除外です。

根拠も手がかりもなく、値段も大きく動かさない話は、要因の表から外す。
除外には、二つの入口と一つの共通の条件があります
留意事項が挙げる入口は二つです。一つは、一般的な社会通念や科学的知見に照らして原因や因果関係が明確でない場合、つまり本当に価格に効くのかどうかが世の中でも科学でも定まっていない事柄です。もう一つは、不動産鑑定士の通常の調査において存否の端緒すら確認できない場合、つまり普通に調べても「ある」という手がかりが何一つ出てこない事柄です。どちらの入口から入っても、その事項が対象不動産の価格形成に大きな影響を与えることがないと判断されることが要ります。手がかりがあるのに調べずに外すことも、大きく効きそうな事項を外すことも、この定めの外です。

入口は「因果関係が不明」か「端緒すら無い」のどちらか、扉は「大きな影響がない」の一つ。
調査範囲等条件を付けた要因も、除外できます
除外できる場面はもう一つあります。依頼目的や依頼者の事情で調査に制約があるとき、鑑定士は条件設定に係る一定の要件を満たし、依頼者の同意を得て、調査範囲等条件を設定して鑑定評価を行うことができます(総論第8章第6節)。この場合は、条件を設定したその価格形成要因を除外して評価してよいと留意事項は定めています。うわさの話の除外が鑑定士自身の判断で行うものであるのに対し、こちらは依頼者との合意のうえで調べない範囲を決めた結果としての除外です。
除外と推定は、要因が判明しないときの別の道です
専門職業家としての注意を尽くしてもなお重大な要因が十分に判明しないとき、基準はまず他の専門家が行った調査結果等の活用を原則とし、制約があるときは想定上の条件や調査範囲等条件の設定、又は自己の調査分析能力の範囲内での影響の程度の推定を認めています(総論第8章第6節)。専門家の活用と推定は、その要因が価格に効くことを前提に、影響の程度をつかんで評価に織り込む道です。除外は反対に、大きな影響を与えないと判断される事項を要因の表から外す道で、影響の程度を数字で見積もる推定とは出発点が違います。調査範囲等条件の設定は、依頼者と合意して調べない範囲を決めたうえで、その要因を除外する道です。
価格形成に影響があるであろうといわれている事項について、一般的な社会通念や科学的知見に照らし原因や因果関係が明確でない場合又は不動産鑑定士の通常の調査において当該事項の存否の端緒すら確認できない場合において、当該事項が対象不動産の価格形成に大きな影響を与えることがないと判断されるときには、価格形成要因から除外して鑑定評価を行うことができるものとする。
出典: 総論第8章 第6節
実務ではこう使う
近隣で昔に工場があったという話だけがあり、登記や役所の資料、現地の観察のどこにも汚染の記録も痕跡もなく、住宅地としての価格を大きく動かすものでもないと判断できれば、その事項は価格形成要因から除外して評価を進めます。調べた範囲と除外の理由は評価書に書いておき、読み手が判断をたどれるようにします。依頼者の事情で調査を省くときは、先に調査範囲等条件として合意し、その要因を除外します。
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