鑑定評価基準 各論第2章の要点整理 - 賃料に関する鑑定評価
不動産鑑定評価基準 各論第2章の要点を整理。新規賃料と継続賃料の違い、賃料を求める8つの手法(積算法・賃貸事例比較法・収益分析法・差額配分法・利回り法・スライド法等)を比較表で解説します。
はじめに ― 各論第2章が扱う「賃料の鑑定評価」
不動産鑑定評価基準(以下「基準」といいます)の各論第2章は、「賃料に関する鑑定評価」について規定しています。不動産の鑑定評価では、価格だけでなく賃料も重要な評価対象です。
賃料の鑑定評価は、地代や家賃の適正水準を判定するものであり、賃貸借契約の締結や更新、賃料改定の場面で必要となります。また、収益還元法において対象不動産の収益を把握する際にも、賃料水準の的確な判断が求められます。
各論第2章を理解するうえで最も重要な概念は、新規賃料と継続賃料の区分です。この2つは求めるべき賃料の性質が根本的に異なり、適用すべき手法もそれぞれ異なります。試験においても、新規賃料と継続賃料の違い、及びそれぞれを求める手法の特徴は最頻出の論点です。
本記事では、各論第2章の全体像を整理し、新規賃料と継続賃料の違い、賃料を求める各手法の特徴と適用方法、試験対策上の暗記のポイントまでを体系的に解説します。
新規賃料と継続賃料の違い
新規賃料とは
新規賃料とは、新たに賃貸借契約を締結する場合に成立するであろう適正な賃料をいいます。まだ賃貸借関係が成立していない状態で、当事者間で新たに合意される賃料の水準を求めるものです。
新規賃料は、不動産の経済価値に即した賃料であり、市場における需給関係や、対象不動産の収益性等を反映して形成されます。新規賃料は「正常賃料」として求められることが一般的です。
継続賃料とは
継続賃料とは、既に賃貸借契約が締結されている不動産について、契約の更新や賃料改定の際に成立するであろう適正な賃料をいいます。既存の賃貸借関係を前提として、その関係を継続するにあたっての適正賃料を求めるものです。
継続賃料の特徴は、現行の賃貸借契約の内容や経緯が考慮される点にあります。新規賃料のように市場の需給関係だけで決まるものではなく、契約の経緯、当事者間の事情、現行賃料の水準等が価格形成に影響を与えます。
新規賃料と継続賃料の比較
| 比較項目 | 新規賃料 | 継続賃料 |
|---|---|---|
| 定義 | 新たに賃貸借契約を締結する場合の賃料 | 既存の賃貸借関係を継続する場合の賃料 |
| 前提 | 賃貸借関係が未成立 | 賃貸借関係が既に存在 |
| 主な適用場面 | 新規の賃貸借契約締結、空室の募集賃料の査定 | 賃料改定、更新時の賃料、賃料増減額請求 |
| 考慮事項 | 市場の需給関係、不動産の経済価値 | 契約の経緯、現行賃料、当事者間の事情 |
| 求める手法 | 積算法、賃貸事例比較法、収益分析法、収益還元法 | 差額配分法、利回り法、スライド法、賃貸事例比較法 |
この区分は、各論第2章の理解の根幹をなすものです。新規賃料と継続賃料では、そもそも「何を求めているのか」が異なるため、当然ながら適用すべき手法も異なります。
賃料の構成要素
賃料の鑑定評価を理解するうえで、賃料がどのような要素から構成されているかを把握しておくことが重要です。
純賃料と必要諸経費等
基準では、賃料は以下のように構成されるとしています。
| 構成要素 | 内容 |
|---|---|
| 純賃料 | 不動産の経済的価値に対応する対価部分。不動産の資本に対する収益に相当する |
| 必要諸経費等 | 賃貸人が不動産を賃貸するにあたって負担する費用(減価償却費、維持管理費、公租公課、損害保険料、空室等損失相当額等) |
実際の支払賃料(実際実質賃料)は、純賃料に必要諸経費等を加算したものとして捉えられます。この構造を理解することは、積算法の適用や、賃料の妥当性の分析において不可欠です。
実質賃料と支払賃料
賃料にはさらに「実質賃料」と「支払賃料」の区分があります。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 実質賃料 | 支払賃料に権利金・敷金・保証金等の一時金の運用益・償却額を加えた、賃貸人が実質的に受領する賃料 |
| 支払賃料 | 賃借人が毎期実際に支払う賃料(月額家賃等) |
鑑定評価で求める賃料は、原則として実質賃料です。支払賃料は、実質賃料から一時金の運用益等を控除して求めます。
新規賃料を求める4つの手法
新規賃料を求める手法として、基準では以下の4つが定められています。
1. 積算法
積算法は、不動産の基礎価格に期待利回りを乗じて得た額に、必要諸経費等を加算して賃料を求める手法です。不動産の元本価値に着目した方法であり、価格を求める三方式のうち原価法に対応する位置づけにあります。
積算法は、対象不動産について、基礎価格を求め、これに期待利回りを乗じて得た額に必要諸経費等を加算して対象不動産の試算賃料を求める手法である。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 基本式 | 賃料 = 基礎価格 x 期待利回り + 必要諸経費等 |
| 基礎価格 | 対象不動産の価格(更地価格、建物及びその敷地の価格等) |
| 期待利回り | 不動産の元本に対して期待される利回り |
| 着目点 | 不動産の元本価値(費用性) |
| 長所 | 不動産の資本価値に裏付けられた理論的な賃料を求められる |
| 短所 | 期待利回りの設定が難しい。市場の需給を直接反映しにくい |
2. 賃貸事例比較法
賃貸事例比較法は、賃貸事例を収集し、事情補正・時点修正・地域要因の比較・個別的要因の比較等を行って賃料を求める手法です。価格を求める三方式のうち取引事例比較法に対応します。
賃貸事例比較法は、まず多数の新規の賃貸借等の事例を収集して適切な事例の選択を行い、これらに係る実際実質賃料に必要に応じて事情補正及び時点修正を行い、かつ、地域要因の比較及び個別的要因の比較を行って求められた賃料を比較考量し、これによって対象不動産の試算賃料を求める手法である。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 基本的な考え方 | 類似の賃貸事例の賃料水準から、対象不動産の適正賃料を求める |
| 着目点 | 市場の賃料水準(市場性) |
| 長所 | 市場の実態を直接反映できる |
| 短所 | 適切な賃貸事例が必要。賃貸条件の比較が複雑になりやすい |
3. 収益分析法
収益分析法は、一般の企業経営に基づく総収益を分析して、対象不動産が一定期間に生み出すであろうと期待される純収益(賃料に見合う部分)を求め、これに必要諸経費等を加算して賃料を求める手法です。
収益分析法は、一般の企業経営に基づく総収益を分析して対象不動産が一定期間に生み出すであろうと期待される純収益を求め、これに必要諸経費等を加算して対象不動産の試算賃料を求める手法である。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 基本的な考え方 | 賃借人の事業収益から不動産に帰属すべき収益部分を分析して賃料を求める |
| 着目点 | 不動産の利用による事業収益(収益性) |
| 長所 | 事業用不動産の賃料について、事業収益との整合性を検証できる |
| 短所 | 企業の総収益の分析が必要であり、適用が複雑 |
4. 収益還元法(新規賃料としての適用)
収益還元法は、価格を求める手法として定められたものですが、新規賃料を求める場面においても適用が考えられます。対象不動産の価格を前提として、不動産が生み出す収益から賃料を求めるアプローチです。
収益還元法の詳細については、収益還元法をわかりやすく解説を参照してください。
継続賃料を求める4つの手法
継続賃料を求める手法として、基準では以下の4つが定められています。
1. 差額配分法
差額配分法は、対象不動産の経済賃料(新規賃料水準)と現行賃料の差額を求め、この差額について、契約の内容、契約締結の経緯等を総合的に勘案して、当事者間で配分すべき部分を決定し、これを現行賃料に加減して賃料を求める手法です。
差額配分法は、対象不動産の経済賃料と実際実質賃料との間に発生している差額について、契約の内容、契約締結の経緯等を総合的に勘案して、当該差額のうち賃貸人等に帰属する部分を適切に判定して得た額を実際実質賃料に加減して試算賃料を求める手法である。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 基本式 | 継続賃料 = 現行賃料 + 差額のうち賃貸人に帰属する部分 |
| 差額 | 経済賃料(新規賃料相当額) - 現行賃料 |
| 着目点 | 新規賃料水準と現行賃料の乖離幅 |
| 特徴 | 差額の配分割合が評価者の判断に委ねられる部分が大きい |
差額配分法のポイントは、差額の全額を賃貸人に帰属させるのではなく、契約の経緯等を総合的に勘案して適切に配分する点にあります。差額の配分については、一般的に2分の1とする考え方もありますが、基準上は一律の割合が定められているわけではなく、個別の事情に応じた判断が求められます。
2. 利回り法
利回り法は、対象不動産の基礎価格に継続賃料利回りを乗じて得た額に必要諸経費等を加算して賃料を求める手法です。積算法と同様の構造を持ちますが、利回りとして「期待利回り」ではなく「継続賃料利回り」を用いる点が異なります。
利回り法は、基礎価格に継続賃料利回りを乗じて得た額に必要諸経費等を加算して試算賃料を求める手法である。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 基本式 | 賃料 = 基礎価格 x 継続賃料利回り + 必要諸経費等 |
| 継続賃料利回り | 直近合意時点における基礎価格に対する純賃料の割合を踏まえ、変動率等を考慮して求める |
| 着目点 | 不動産の元本価値と従前の賃料水準のバランス |
利回り法における「継続賃料利回り」は、直近合意時点(前回の賃料改定時等)における純賃料の基礎価格に対する割合を基礎として求めます。期待利回りとは異なり、既存の契約関係における賃料と元本価格の関係を反映した利回りです。
3. スライド法
スライド法は、直近合意時点における現行賃料を基礎として、変動率を用いて賃料を求める手法です。
スライド法は、直近合意時点における純賃料に変動率を乗じて得た額に価格時点における必要諸経費等を加算して試算賃料を求める手法である。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 基本式 | 賃料 = 直近合意時点の純賃料 x 変動率 + 必要諸経費等 |
| 変動率 | 土地価格の変動率、物価変動率、賃料指数の変動率等を総合的に勘案 |
| 着目点 | 従前の賃料水準からの変動 |
| 特徴 | 現行賃料の水準を出発点とし、変動率により調整するため、大幅な賃料変動は生じにくい |
スライド法は、直近合意時点からの経済変動を反映して賃料を改定するという、比較的シンプルな考え方に基づいています。変動率の選択が結果に大きく影響するため、どの指標を採用するかが評価上の重要な判断ポイントとなります。
4. 賃貸事例比較法(継続賃料への適用)
賃貸事例比較法は、新規賃料を求める手法として前述しましたが、継続賃料を求める場面においても適用が可能です。ただし、継続賃料に適用する場合には、継続賃料の事例を収集する必要があり、新規賃料の事例をそのまま用いることは適切ではありません。
継続賃料としての賃貸事例比較法の適用にあたっては、事例の賃貸借契約の内容や経緯が、対象不動産の賃貸借契約と類似していることが求められます。
新規賃料と継続賃料の手法比較総括表
| 比較項目 | 新規賃料の手法 | 継続賃料の手法 |
|---|---|---|
| 元本価値に着目 | 積算法 | 利回り法 |
| 市場の賃料水準に着目 | 賃貸事例比較法 | 賃貸事例比較法 |
| 収益性に着目 | 収益分析法 | ― |
| 差額に着目 | ― | 差額配分法 |
| 変動に着目 | ― | スライド法 |
| 共通する手法 | 賃貸事例比較法 | 賃貸事例比較法 |
この表からわかるように、積算法と利回り法は対応関係にあります。いずれも基礎価格に利回りを乗じて賃料を求める構造ですが、用いる利回りの性質が異なります。一方、差額配分法とスライド法は継続賃料に特有の手法であり、「既存の賃貸借関係」を前提とするからこそ存在する手法です。
地代と家賃の違い
各論第2章では、賃料を「地代」と「家賃」に分けて規定しています。
| 区分 | 対象不動産 | 特徴 |
|---|---|---|
| 地代 | 土地の賃料 | 土地の利用対価。借地権に基づく地代が典型 |
| 家賃 | 建物及びその敷地の賃料 | 建物の利用対価。オフィス賃料、住宅家賃等 |
地代と家賃では、基礎価格の求め方や必要諸経費等の内容が異なります。地代の場合は更地価格が基礎価格となり、家賃の場合は建物及びその敷地の価格が基礎価格となります。
地代の評価における留意点
| 留意点 | 内容 |
|---|---|
| 基礎価格 | 更地価格を基礎とする |
| 権利金等の授受 | 権利金等の一時金の授受の有無が賃料水準に影響する |
| 借地契約の内容 | 契約期間、更新条件、建物再築条件等が評価に影響 |
家賃の評価における留意点
| 留意点 | 内容 |
|---|---|
| 基礎価格 | 建物及びその敷地の価格を基礎とする |
| 賃貸条件 | 契約面積、共益費、敷金・保証金等の条件が多岐にわたる |
| 管理の状態 | 建物の維持管理状態が賃料水準に影響する |
継続賃料の評価における特有の考慮事項
継続賃料の評価は、新規賃料の評価と比較して、以下のような特有の事項を考慮する必要があります。
| 考慮事項 | 内容 |
|---|---|
| 直近合意時点 | 前回の賃料が合意された時点。継続賃料の評価の起点となる |
| 現行賃料の水準 | 現在支払われている賃料の水準 |
| 契約の内容と経緯 | 契約締結時の事情、過去の賃料改定の経緯 |
| 賃貸人・賃借人間の信頼関係 | 継続的な契約関係における当事者間の関係 |
| 経済事情の変動 | 直近合意時点から価格時点までの経済変動 |
これらの考慮事項は、新規賃料では考慮されない要素です。継続賃料が「既存の賃貸借関係を前提とする」とはどういうことかを、これらの考慮事項を通じて具体的に理解することが重要です。
各論第2章と総論第7章の関係
各論第2章は、総論第7章で定められた賃料を求める手法の具体的な適用方法を示しています。両者の関係を整理すると以下のとおりです。
| 総論第7章の規定 | 各論第2章での具体化 |
|---|---|
| 賃料を求める手法の総論的な定義 | 地代・家賃それぞれの具体的な適用方法 |
| 新規賃料を求める手法の枠組み | 新規地代・新規家賃の具体的な評価方法 |
| 継続賃料を求める手法の枠組み | 継続地代・継続家賃の具体的な評価方法 |
| 試算賃料の調整 | 各手法から得られた試算賃料の調整方法 |
総論第7章が賃料評価の「原則」を定めているのに対し、各論第2章はその「具体的な適用」を定めています。この関係は、価格に関する総論第7章と各論第1章の関係と同様であり、基準の体系的理解において重要です。
鑑定評価の三方式の全体像については、鑑定評価の3手法を徹底比較も参照してください。
試験での出題ポイント
短答式試験での出題ポイント
短答式試験では、各論第2章に関して以下の論点が頻出です。
- 新規賃料と継続賃料の区分: 両者の定義の違いを正確に理解しているか
- 各手法の定義の正誤判定: 積算法、差額配分法、利回り法、スライド法等の定義を正確に把握しているか
- 各手法と賃料の種類の対応: どの手法が新規賃料用でどの手法が継続賃料用かを正確に区別できるか
- 実質賃料と支払賃料: 鑑定評価で求める賃料が原則として実質賃料であることを理解しているか
- 継続賃料利回りと期待利回りの違い: 利回り法と積算法で用いる利回りの性質の違いを理解しているか
- 差額配分法における差額の配分: 差額の全額を一方に帰属させるのではなく、適切に配分する点を理解しているか
論文式試験での出題ポイント
論文式試験では、以下のような出題が想定されます。
- 新規賃料と継続賃料の違いとその理由: なぜ両者を区別するのか、その理論的根拠を論じる問題
- 継続賃料を求める各手法の特徴と比較: 差額配分法・利回り法・スライド法・賃貸事例比較法の特徴を対比して説明する問題
- 試算賃料の調整: 各手法から得られた試算賃料をどのように調整するかを論じる問題
- 積算法と利回り法の対応関係と相違点: 両者の構造的な類似性と利回りの性質の違いを説明する問題
- 賃料評価と価格評価の関連: 賃料を求める手法と価格を求める三方式の対応関係を体系的に説明する問題
継続賃料の評価は実務でも困難な分野であり、試験でも深い理解を問う論述問題が出題される傾向にあります。
暗記のポイント
ポイント1:新規賃料4手法と継続賃料4手法をセットで覚える
新規賃料と継続賃料の手法は、以下のように対応させて覚えると効率的です。
| 新規賃料の手法 | 継続賃料の手法 | 対応関係 |
|---|---|---|
| 積算法 | 利回り法 | 基礎価格 x 利回りの構造が共通 |
| 賃貸事例比較法 | 賃貸事例比較法 | 同名だが、用いる事例の性質が異なる |
| 収益分析法 | ― | 新規賃料にのみ存在 |
| ― | 差額配分法 | 継続賃料にのみ存在 |
| ― | スライド法 | 継続賃料にのみ存在 |
| 収益還元法 | ― | 新規賃料にのみ適用 |
ポイント2:各手法の「基本式」を覚える
各手法の基本式は、手法の本質を端的に表しています。
| 手法 | 基本式 |
|---|---|
| 積算法 | 基礎価格 x 期待利回り + 必要諸経費等 |
| 差額配分法 | 現行賃料 +(経済賃料 - 現行賃料)x 配分率 |
| 利回り法 | 基礎価格 x 継続賃料利回り + 必要諸経費等 |
| スライド法 | 直近合意時点の純賃料 x 変動率 + 必要諸経費等 |
ポイント3:継続賃料特有の手法の「着目点」を覚える
継続賃料にのみ存在する差額配分法とスライド法は、以下のキーワードで覚えます。
- 差額配分法: 「新規賃料水準との差額を配分する」
- スライド法: 「現行賃料を変動率でスライドさせる」
- 利回り法: 「継続賃料利回りで賃料を求める」
ポイント4:「直近合意時点」は継続賃料のキーワード
継続賃料の評価では、「直近合意時点」が繰り返し登場します。これは、前回の賃料が合意された時点を意味し、利回り法・スライド法の起点となる重要な概念です。
- 利回り法: 直近合意時点における基礎価格に対する純賃料の割合を踏まえる
- スライド法: 直近合意時点における純賃料に変動率を乗じる
「直近合意時点」は継続賃料の評価に特有の概念であり、新規賃料では登場しません。
ポイント5:実質賃料と支払賃料の関係を整理する
| 区分 | 内容 | 計算の関係 |
|---|---|---|
| 実質賃料 | 支払賃料 + 一時金の運用益・償却額 | 鑑定評価で求める賃料 |
| 支払賃料 | 毎期実際に支払う賃料 | 実質賃料 - 一時金の運用益・償却額 |
鑑定評価で求めるのは「実質賃料」であり、「支払賃料」はそこから一時金の運用益等を控除して求めます。
まとめ
本記事では、不動産鑑定評価基準 各論第2章の要点として、賃料に関する鑑定評価の全体像を整理しました。最後に、本記事のポイントをまとめます。
- 各論第2章は、賃料に関する鑑定評価を規定した章であり、新規賃料と継続賃料の区分が最も重要な概念です
- 新規賃料は新たに賃貸借契約を締結する場合の適正賃料であり、積算法・賃貸事例比較法・収益分析法・収益還元法で求めます
- 継続賃料は既存の賃貸借関係を前提とした適正賃料であり、差額配分法・利回り法・スライド法・賃貸事例比較法で求めます
- 積算法と利回り法は「基礎価格 x 利回り + 必要諸経費等」という共通の構造を持ちますが、用いる利回りの性質が異なります(期待利回り vs. 継続賃料利回り)
- 差額配分法は新規賃料水準と現行賃料の差額を配分する手法、スライド法は現行賃料を変動率で調整する手法であり、いずれも継続賃料に特有の手法です
- 賃料は純賃料と必要諸経費等から構成され、鑑定評価で求めるのは原則として実質賃料です
- 継続賃料の評価では、直近合意時点、契約の経緯、現行賃料の水準等の特有の考慮事項があり、新規賃料とは異なる視点が求められます
各論第2章は、価格の鑑定評価(各論第1章)と並ぶ重要な分野です。新規賃料と継続賃料の手法を対比しながら体系的に整理し、試験での論述に備えてください。