/ 行政法規

大規模の修繕とは?建築基準法での意味を図でわかりやすく解説

建築物の主要構造部(壁、柱、床、はり、屋根、階段)の一種以上について行う過半の修繕です。つまり、建物の骨格にあたる部分を半分より多く直す工事のことで、同じ範囲を造り替えるのが大規模の模様替で、どちらも新築と同じように建築確認の対象になります。

大規模の修繕とは

築30年の家で、屋根の瓦を全部葺き替える、傷んだ柱の大半を取り替える、といった工事を考えてみます。新しく建てるわけではありませんが、建物を支える部分にここまで手を入れると、安全は新築と同じように確かめる必要があります。建築基準法は、壁、柱、床、はり、屋根、階段という主要構造部の一種以上について、その過半、つまり半分より多くを修繕することを大規模の修繕と呼びます(2条14号)。傷んだ部分を元どおりに直すのが修繕、材料や仕様を変えて造り替えるのが模様替で、過半に及べば大規模の模様替です(2条15号)。外壁の塗り替えや間仕切りの変更は、主要構造部の過半に触れないので当たりません。

大規模の修繕の図解:屋根の過半を葺き替えれば大規模の修繕、外壁の塗り替えは違う。

屋根の過半を葺き替えれば大規模の修繕、外壁の塗り替えは違う。

主要構造部の一種以上の過半で、塗り替えや間仕切りは入りません

「一種以上」なので、屋根だけの過半でも当たり、壁と柱の両方を直す必要はありません。「過半」は半分より多いことで、屋根の面積や柱の本数で見て半分を超えるかどうかで判断します。主要構造部から除かれる間仕切壁、最下階の床、ひさし、屋外階段の工事は、どれだけ大きくても大規模の修繕になりません(2条5号)。外壁の塗り替えも、壁という構造部を直すのではなく表面の仕上げを塗り直すだけなので、主要構造部の修繕には当たりません。

確認が要るのは1号・2号の建築物で、3号には要りません

6条1項は、1号(用途部分200㎡超の特殊建築物)と2号(2以上の階数または延べ面積200㎡超)の建築物について、建築するときだけでなく、大規模の修繕や大規模の模様替をするときも建築確認を求めています。3号(都市計画区域や準都市計画区域の中のその他の建築物)は建築するときだけで、大規模の修繕には確認が要りません。1号・2号は建物そのものが大きいか危険の大きい用途なので工事の中身まで見る必要があり、3号は場所の理由で確認の対象になっているだけなので、建てるときの一度で足りるという考えです。延べ面積200㎡ちょうどの平家は「超える」に当たらず、2号ではなく3号の建築物です。

大規模の修繕の図解:同じ柱の取り替えでも、2階建ては確認が要り、200㎡の平屋は要らない。

同じ柱の取り替えでも、2階建ては確認が要り、200㎡の平屋は要らない。

確認済証の交付を受けた後でなければ、工事に着手できません

6条8項は、確認済証の交付を受けた後でなければ、建築、大規模の修繕、大規模の模様替の工事はすることができない、と定めています。確認は計画の段階で法令に合うかを見る仕組みなので、先に工事を始めてしまうと意味がなくなるからです。工事が終われば、建築のときと同じく完了検査の申請も要ります(7条1項)。

既存不適格でも、大規模の修繕に着手すると現行の規定がかかります

3条2項は、法改正の前からある建物に新しい規定を適用しない(既存不適格)と定めています。ところが3条3項3号は、増築、改築、移転、大規模の修繕、大規模の模様替の工事に着手すると、その建築物と敷地に現行の規定を適用するとしています。骨格に手を入れるほどの工事をするなら、そのついでに今の安全水準まで引き上げてもらう、という考えです。既存不適格の建物の用途を変えるときも、劇場から映画館のような類似の用途の間の変更で、修繕や模様替をしないか、するとしても大規模でなければ、現行の規定を準用しません(87条3項2号)。ここでも工事の規模が分かれ目になります。

大規模の修繕の図解:既存不適格の建物も、大規模の修繕に着手すれば今の基準で直す。

既存不適格の建物も、大規模の修繕に着手すれば今の基準で直す。

大規模の修繕 建築物の主要構造部の一種以上について行う過半の修繕をいう。/大規模の模様替 建築物の主要構造部の一種以上について行う過半の模様替をいう。

出典: 建築基準法 2条14号・15号

実務ではこう使う

築古の賃貸マンションや倉庫の評価では、大規模の修繕に当たる工事を予定していると、確認申請と現行基準への適合が必要になり、工事費と工期が変わります。修繕履歴の中に確認済証のない大規模の修繕があれば、遵法性の個別的要因として評価書に記載します。

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