/ 鑑定理論

エンジニアリング・レポートの活用とは?不動産鑑定評価基準での意味を図でわかりやすく解説

エンジニアリング・レポートの内容を鑑定評価に活用するか否かを、不動産鑑定士が主体的に責任を持って判断し、その判断及び根拠を、定められた項目ごとに鑑定評価報告書に記載することです。

エンジニアリング・レポートの活用とは

健康診断の結果を持って来た患者に、医者は数値を鵜呑みにせず、検査の方法や日付を見て、自分の診察と照らして判断します。エンジニアリング・レポートを受け取った鑑定士も同じで、報告書を使うかどうか、どの項目を使うかを自分で決め、その理由を評価書に書きます。留意事項は、活用の有無は不動産鑑定士が主体的に責任を持って判断するものとし、内容の適切さや正確さの判断では必要に応じて建築士等他の専門家の意見も踏まえて検証するよう努めるべきとしています。専門家の報告書を受け取る側にも、判断と説明の責任があるということです。

エンジニアリング・レポートの活用の図解:使うか使わないかは鑑定士が決め、迷う項目は建築士にも聞く。

使うか使わないかは鑑定士が決め、迷う項目は建築士にも聞く。

活用の有無は鑑定士が主体的に判断し、専門家の意見も聞きます

報告書を使うかどうかは、依頼者や作成者ではなく鑑定士が決め、その結果に鑑定評価の一環として責任を持ちます。主体的に判断することと、他の人の意見を聞くことは矛盾しません。耐震性や有害物質は鑑定士の専門の外にある領域なので、報告の正確さを見極めるには建築士等の専門家の目が要ることがあります。意見を聞いた上で最後に自分で判断し、責任を負うのが鑑定士です。

判断と根拠を、定められた表の項目ごとに報告書に記載します

活用するか否かの検討に当たっては、その判断及び根拠を鑑定評価報告書に記載しなければならず、少なくとも基準の表の項目ごとに定められた内容を書きます。表の区分は、基本的属性(作成者の名称等、調査が行われた日及び作成された日)、入手経緯・対応方針等(入手先の氏名及び職業等、入手した日、作成者からの説明の有無等、対応方針等)、専門性の高い個別的要因の調査(八つの項目それぞれを報告書で対応するか鑑定士の調査で対応するかの別)、そして鑑定士の判断(対応の内容と根拠)の四つです。調査日は報告の中身がいつの状態か、作成日はいつまとまったか、入手日は鑑定士がいつからそれを使えたかを示し、三つそろって実地調査や価格時点との時間関係が読めます。基準は理由を書いていませんが、入手先を氏名だけでなく職業まで書くのは、依頼者本人か、アセットマネジャーか、レンダーかで報告の中立性の見方が変わるためと考えられます。

エンジニアリング・レポートの活用の図解:日付は調査日・作成日・入手日の三つ、入手先は氏名と職業。

日付は調査日・作成日・入手日の三つ、入手先は氏名と職業。

活用しないと決めた報告書も、対応方針を書きます

表の項目「入手した報告書について鑑定評価を行う上での対応方針等」は、活用するかしないかを決める前の項目なので、活用の有無にかかわらず記載すると読めます。使わないと決めたなら、なぜ使わず何で代えたかが読み手にとって重要で、書かなければ入手した報告を無視したように見えるからです。基準は、提出がない場合や不十分な場合のただし書の場面でも同様に記載するとしています。留意事項は、表や別表の項目は必要最小限度のものを定めたもので、必要に応じて項目・内容を追加して確認しなければならないとしています。

エンジニアリング・レポートの活用の図解:使わない報告書でも、なぜ使わないかと何で代えたかを書く。

使わない報告書でも、なぜ使わないかと何で代えたかを書く。

(3)エンジニアリング・レポートの内容を鑑定評価に活用するか否かの検討に当たっては、その判断及び根拠について、鑑定評価報告書に記載しなければならない。

出典: 各論第3章 第4節

実務ではこう使う

届いた建物状況調査報告書を読み、修繕計画の前提や耐震診断の方法に疑問があれば建築士に意見を聞き、活用する項目としない項目を決めます。評価書には作成者と委託者、調査日・作成日・入手日、入手先の氏名と職業、説明を受けたか、八つの調査項目それぞれを報告書で対応したか自分で調べたかと、その理由を表にして載せます。

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