普通財産の信託とは?国有財産法での意味を図でわかりやすく解説
普通財産である土地(その土地の定着物を含む)を、国を受益者として受託者(信託銀行など)に信託し、運用させることです(28条の2)。国以外の者を受益者にはできず、信託期間は20年を超えられませんが更新できます(28条の3)。
普通財産の信託とは
都心の国有地を国が自分で開発するのは大変ですが、売ってしまえば二度と戻りません。そこで土地を信託銀行に預けてビルを建てて貸し、賃料収入を国が受け取る方法が信託です。土地の名義は受託者に移りますが、利益を受け取る「受益者」は国で、期間が終われば土地は建物ごと国に戻ります。売らずに収益を上げられる代わりに、国の財産を他人名義にする以上、対象と受益者と期間に厳しい枠があります。

売らずに預けて運用するから、賃料は国に入り、期間が終われば土地は戻る。
信託できるのは土地だけで、受益者は国に限られます
28条の2第1項は、普通財産のうち土地(その土地の定着物を含む)に限り、政令で定めるところにより信託できると定めます。建物だけの信託はできず、土地と一緒に建物を含めるときだけです。ただし書で、22条・27条・28条に当たらない無償貸付・交換・譲与を目的とする信託(1号)、国以外の者を受益者とする信託(2号)、貸付けや売払いより国の利益が下回ることが確実な信託(3号)は除かれます。国有地を他人名義にしてまで運用する目的は国の収入を増やすことなので、利益が他人に行く信託や、貸付け・売払いより儲からない信託は認めないのです。

国の土地を預けるのは国の収入のため。受益者は国だけ。
信託期間は20年を超えられず、更新できます
28条の3は、信託期間は20年を超えることができず、更新できるが更新の日から20年を超えられないと定めます。貸付期間の60年・50年以上・30年・10年とは別の数字です。条文に理由は書いていませんが、長く他人名義に置きすぎないための上限と読めます。更新で延ばせるので、20年で終わりと決まっているわけではありません。

他人名義のまま長く置かないから20年。続けるなら更新で、また20年まで。
始める前に審議会に諮問し、会計検査院に通知します
各省各庁の長は、信託の目的、受託者の選定方法、収支見積り、借入金の限度額などについて、あらかじめ財政制度等審議会又は国有財産地方審議会に諮問してその議を経なければなりません(28条の2第2項)。事前に会計検査院にも通知します(同条3項)。信託期間を更新するときなどは財務大臣に協議し、再び審議会に諮問します(28条の4)。普通財産の土地を信託するときは財務大臣への協議も要ります(14条1項9号)。
普通財産は、土地(その土地の定着物を含む。)に限り、政令で定めるところにより、信託することができる。ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。一 第二十二条…、第二十七条又は前条の規定に該当しない無償貸付、交換又は譲与をすることを信託の目的とするとき。二 国以外の者を信託の受益者とするとき。三 土地の信託をすることにより国の通常享受すると見込まれる利益が、当該土地の貸付け又は売払いをすることにより国の通常享受すると見込まれる利益を下回ることが確実と見込まれるとき。/信託期間は、二十年を超えることができない。
出典: 国有財産法 28条の2第1項・28条の3第1項
実務ではこう使う
信託の可否は、信託で国が得る利益が貸付けや売払いの利益を下回らないかで決まるため、土地の価格と貸付料の両方の鑑定評価が使われます。信託でビルが建った国有地は、土地も建物も受託者名義で、利益を受け取る受益者が国という権利関係になるので、周辺の評価で事例に使うときは注意します。信託期間20年という上限は、収益を見込む期間を決めるときの前提になります。
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