社会的及び経済的位置の可変性とは?不動産鑑定評価基準での意味を図でわかりやすく解説
土地の場所そのものは動かなくても、その土地が社会や経済の中で占める位置づけは変わり得るという、土地の人文的特性の一つです。つまり、住所は同じでも、駅や道路ができれば土地の立場は変わります。
社会的及び経済的位置の可変性とは
田んぼの中の土地に駅ができれば、その土地は駅前の一等地になります。反対に、旧道沿いの店の前を通っていた車がバイパスに流れれば、店の土地は人の流れから外れます。土地は一ミリも動いていないのに、街の中での立場だけが変わっています。この、場所は同じでも社会や経済の中での位置づけが変わるという性質が社会的及び経済的位置の可変性で、基準は人文的特性の三つ目に挙げ、まとめて「可変的であって伸縮的である」と締めています。

店は動いていないのに、バイパスができて人の流れが変わる。
地理的位置は固定ですが、社会的及び経済的位置は可変です
基準は自然的特性に地理的位置の固定性を、人文的特性に社会的及び経済的位置の可変性を置いていて、二つは対で読めます。地理的位置は緯度と経度で表される土地そのものの場所で、人がどうしようと動きません。社会的及び経済的位置は、駅に近い一等地か、人の流れから外れた土地かという街の中での立場で、駅や道路や人口の動きで変わります。「固定的であって硬直的」は自然的特性の締めで、「可変的であって伸縮的」は人文的特性の締めです。
人が働きかけるから、位置づけが変わります
駅を作り、道路を通し、街を開くのは人です。土地の位置づけが変わるのは、土地そのものが変わるからではなく、人が土地とその周りに働きかけるからです。人が働きかけるときに人と土地との関係として生じてくる性質なので、人文的特性に分けられます。人の働きかけ次第で位置づけが動くという意味で、可変的であって伸縮的です。

大型店を建てたのは人。土地は何もしていないのに、人が集まる場所になる。
地域は固定的ではなく、常に変化の過程にあります
この特性は、第2節の後半にある価格の特徴の三つ目につながります。基準は、不動産の属する地域は固定的なものではなく、常に拡大縮小、集中拡散、発展衰退等の変化の過程にある、と定めます。だから、今の利用形態が最適でも、時の経過に伴って持続できるかを常に検討しなければなりません。その結果、不動産の価格は過去と将来とにわたる長期的な考慮の下に形成され、今日の価格は昨日の展開であり明日を反映するものになります。

旧市街の商店街は縮み、郊外の新しい住宅地は広がる。
人文的特性として、用途の多様性(用途の競合、転換及び併存の可能性)、併合及び分割の可能性、社会的及び経済的位置の可変性等を有し、可変的であって伸縮的である。
出典: 総論第1章 第2節
実務ではこう使う
地域分析では、鉄道の新駅や道路の開通、大型店の出店予定を調べ、対象不動産の位置づけがこれからどう動くかを書きます。昔からの商店街が幹線道路の付け替えで人通りを失った地域では、過去の取引事例をそのまま使えません。場所が同じでも立場が変わることを、時点修正と地域要因の変動の予測で織り込みます。
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