市場参加者の観点とは?不動産鑑定評価基準での意味を図でわかりやすく解説
価格形成要因を把握するときに基準が求める見方で、対象不動産を実際に売り買いする人(市場参加者)の目で要因を見ることです。つまり、鑑定士の感覚ではなく、その不動産の買い手や売り手が値段を決めるときに何を見るかから出発します。
市場参加者の観点とは
同じ一棟の賃貸マンションでも、投資家は利回りと空室の少なさを見て値段を決め、自分で住む人は日当たりや間取りを見ます。倉庫なら物流会社が高速道路の出口までの距離を見ます。不動産は用途や規模によって買う人の種類が変わり、買う人が変われば気にする要因も変わります。だから基準は、鑑定士が自分の感覚で要因を並べるのではなく、この不動産を売り買いするのは誰で、その人は何を見て値段を決めるのか、という立ち位置から要因を把握しなさいと求めます。これが市場参加者の観点です。

同じマンションでも、投資家と住む人では見るところが違う。
市場参加者には、買い手だけでなく売り手も含まれます
値段は、買い手が払ってもよい額と、売り手が手放してもよい額が重なったところで決まります。だから要因を見る目は、需要者(買い手)だけでは足りず、供給者(売り手)も含めた市場参加者の目でなければなりません。同じ市場参加者という語は正常価格の定義にも出てきて、そこでは売り急ぎも買い進みもない者と説明されているとおり、売り手と買い手の双方を指します。第3章の観点も同じ広さの語で、買い手の側だけに狭めた語ではありません。

買い手と売り手の両方が市場参加者。
どのような買い手が買うのか、まで具体的に考えます
基準は、同一需給圏の範囲が不動産の種類、性格及び規模に応じた需要者の選好性によって異なると定めています(総論第6章)。つまり、不動産はその種類や規模に応じて買い手の種類が異なり、それぞれの市場が形成されます。ワンルームの一棟は投資家、郊外の戸建ては子育て世帯、大型の倉庫は物流会社、というように市場ごとに主役が違います。だから「市場参加者」と一言で済ませず、需要者の選好性に照らして、この不動産を買うのはどのような人かまで想定し、その人が重視する要因を拾います。第6章の地域分析で市場参加者の属性及び行動を把握し、市場の特性をつかむのは、この観点を具体化する手順です。

用途と規模が違えば、買い手の顔ぶれも見る要因も変わる。
把握したあと、推移・動向と相互関係の分析まで続きます
市場参加者の観点で要因を把握したら、その推移及び動向、諸要因間の相互関係を十分に分析し、効用・相対的稀少性・有効需要の三者に及ぼす影響を判定します。要因を並べただけでは、それが今後どう動き、互いにどう絡むかが分からないからです。同じ見方は地域要因や建物の個別的要因にも及び、市場参加者が取引の際に着目する個別的要因が建物の用途毎に異なることにも留意します。
したがって、不動産の鑑定評価を行うに当たっては、価格形成要因を市場参加者の観点から明確に把握し、かつ、その推移及び動向並びに諸要因間の相互関係を十分に分析して、前記三者に及ぼすその影響を判定することが必要である。
出典: 総論第3章
実務ではこう使う
実務では、依頼を受けた段階で、この物件の買い手は実需の個人か、投資家か、事業会社かを想定し、その層が重視する要因を優先して調べます。同じ一棟の賃貸マンションでも、投資家なら利回りと稼働率、居住目的なら日照や間取りが先に来ます。評価書の市場分析の欄で、想定した市場参加者と要因の対応を説明できるようにしておきます。
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