/ 鑑定理論

守秘義務とは?不動産鑑定評価基準での意味を図でわかりやすく解説

不動産鑑定士が、正当な理由がなくて、その職務上取り扱ったことについて知り得た秘密を他に漏らしてはならない、という義務です。つまり、仕事で預かった依頼者の事情は、裁判所の照会のようなきちんとした理由がない限り、外に出しません。

守秘義務とは

鑑定評価を頼むとき、依頼者は登記や賃貸借契約だけでなく、売却の予定、相続の争い、借入れの事情といった、外に出したくないことまで鑑定士に見せます。値段を正しく出すには、それを見せてもらうしかないからです。鑑定士がそれを職務上取り扱った秘密として守るのが守秘義務です。基準は、不動産の鑑定評価に関する法律に規定されているとおり、と断ったうえで、良心に従い誠実に評価すること、専門職業家としての社会的信用を傷つけないことと並べてこの義務を書き、そのうえで五つの遵守事項に進みます。

守秘義務の図解:売却の予定も借入れの事情も、職務で知った秘密は外に出さない。

売却の予定も借入れの事情も、職務で知った秘密は外に出さない。

漏らしてよいのは、正当な理由があるときだけです

基準の文は「正当な理由がなくて」漏らしてはならない、です。裁判所からの照会や法令に基づく求めのように、正当な理由があれば必要な範囲で答えます。反対に、知人に聞かれた、業者の宣伝に使いたい、という理由では漏らせません。この義務は法律に根拠があるので、依頼者と機密保持の誓約書を交わしたかどうかで生まれたり消えたりはしません。誓約書は依頼者との約束を書面で確かめるものにすぎず、義務そのものは誓約書が無くても最初からあります。

守秘義務の図解:裁判所の照会には答え、知人の雑談には答えない。

裁判所の照会には答え、知人の雑談には答えない。

鑑定評価を行った事実そのものも、秘密に含まれます

基準は「職務上取り扱ったことについて知り得た秘密」とだけ書き、評価を行った事実が秘密に当たるとは明記していません。ただ、この広い言い方は、評価額や資料だけでなく、あの物件について鑑定評価が行われた、という事実も含むと読めます。評価が行われたと分かれば、売却や担保の準備が進んでいると外から読めるからです。だから、所属する業者の広告に対象不動産の名称を実績として載せることは、正当な理由のない開示に当たると考えられます。

守秘義務の図解:評価をした事実も秘密だから、実績の広告に物件名は出せない。

評価をした事実も秘密だから、実績の広告に物件名は出せない。

守秘義務は、依頼者に寄る義務ではありません

守秘義務は、依頼者から預かった情報を守る義務です。評価の中身を依頼者の望みに寄せる義務ではなく、基準が守秘義務の後に続ける遵守事項の三つ目は、いかなる理由にかかわらず公平妥当な態度を保持すること、です。情報は守り、値段は資料と分析で決めた数字のまま出す、この二つがそろって鑑定士の姿になります。

そのためには、まず、不動産鑑定士は、同法に規定されているとおり、良心に従い、誠実に不動産の鑑定評価を行い、専門職業家としての社会的信用を傷つけるような行為をしてはならないとともに、正当な理由がなくて、その職務上取り扱ったことについて知り得た秘密を他に漏らしてはならないことはいうまでもなく、さらに次に述べる事項を遵守して資質の向上に努めなければならない。

出典: 総論第1章 第4節

実務ではこう使う

評価書の写しや対象不動産の資料は、依頼者の許可なく第三者に渡しません。実績を紹介するときも、依頼者名や物件名が分かる形では出さず、種類と地域くらいにとどめます。裁判所からの照会のように正当な理由がある場合だけ、必要な範囲で開示します。

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