投機的取引とは?不動産鑑定評価基準での意味を図でわかりやすく解説
基準にも土地基本法にも定義はありませんが、一般には、土地を使う目的がなく、値上がりによる転売の差益だけを目当てにする取引をいいます。基準は、土地は土地基本法の基本理念に即して利用及び取引が行われるべきで、特に投機的取引の対象とされてはならない、と定めます。
投機的取引とは
同じ更地が一年のうちに三度も持ち主を変え、そのたびに値段だけが跳ね上がり、家を建てたい人には手の届かない値段になる。かつての地価高騰のときに実際に起きたことです。土地は増やせず、すべての生活と活動の基盤なので、土地基本法は、公共の福祉を優先すること、投機的取引の対象とされてはならないことなどを基本理念に掲げました。基準は総論第1章第4節の冒頭でこれを受け、不動産鑑定士はこのような土地についての基本的な認識に立って鑑定評価を行わなければならない、と書きます。鑑定士の責務の出発点です。

土地は生活と活動の基盤だから、値段だけを転がす取引の対象にしない。
使う目的があるかどうかで、投資と投機は分かれます
賃貸事務所ビルを買い、テナントに貸して賃料を得て、数年後に売る。基準は投資と投機の線引きを書いていませんが、土地基本法の基本理念が土地の適正な利用を求めるものである以上、建物と敷地の利用を伴うこうした通常の投資は、投機的取引ではないと読めます。土地基本法も、土地の取引そのものを禁じてはおらず、使う目的のない転売の連鎖を問題にしています。だから、投資期間が短いという理由で依頼を断る決まりはなく、基準が鑑定士に引受けを控えるよう求めるのは、能力の限度を超える場合や縁故・特別の利害関係がある場合など、公平な鑑定評価を害するおそれのあるときです。

貸して使う投資だから、数年後に売る予定でも投機ではない。
鑑定士は、この認識を評価の出発点に置きます
鑑定評価額は、売買や担保、課税の指標として社会で使われます。投機で跳ね上がった値段を鑑定士がそのまま相場として追認すれば、評価が投機を後押しすることになります。基準が五つの遵守事項より前にこの一文を置くのは、鑑定士の仕事の前提として、土地は使うためのものだという認識を据えるためです。
投機的な事例は、補正せずに最初から外します
総論第7章は、取引事例等は投機的取引であると認められる事例等、適正さを欠くものであってはならない、と定めます。事情補正は、売り急ぎのような特殊な事情を含む事例を正常な状態に直す作業ですが、投機的取引は適正さそのものを欠くので、補正して使う対象ではありません。第1章の認識が、第7章の事例の選択でこう現れます。

投機と分かる事例は、補正して使わず選択の段階で外す。
土地は、土地基本法に定める土地についての基本理念に即して利用及び取引が行われるべきであり、特に投機的取引の対象とされてはならないものである。
出典: 総論第1章 第4節
実務ではこう使う
取引事例を集めるとき、同じ土地が短期間に何度も転売され、そのたびに価格が跳ねている記録があれば、投機的取引の疑いがあるとして事例から外します。依頼者が投資目的の法人であっても、建物を使って収益を得る通常の投資なら、依頼を受けて構いません。評価書に土地基本法の理念を書き添えることはありませんが、この認識は事例の選び方と価格の判断に常に効いています。
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