不増性とは?不動産鑑定評価基準での意味を図でわかりやすく解説
土地は人が新しく作って総量を増やすことができないという、土地の自然的特性の一つです。つまり、欲しい人が増えても土地の面積は増えず、基準が自然的特性を「固定的であって硬直的」と締めるのは、この供給の硬さを含んだ言い方と読めます。
不増性とは
人気のパンなら店は翌日もっと多く焼き、売れる車なら工場が増産します。土地はそうはいきません。駅前に住みたい人がどれだけ増えても、駅前の土地の面積は一坪も増えません。埋立てや造成で使える土地が少し生まれることはありますが、欲しい人の数に合わせて工場で作るようなことはできません。この、人が土地の総量を増やせないという性質が不増性で、基準は自然的特性の一つに挙げ、まとめて「固定的であって硬直的である」と締めています。

パンは明日もっと焼けるが、駅前の土地は一坪も増えない。
欲しい人が増えても、土地の供給は伸びません
一般の財は、価格が上がれば作り手が増産して供給が増え、やがて価格は落ち着きます。土地は価格が上がっても面積を増やせません。基準は自然的特性をまとめて「固定的であって硬直的」と締めるだけで、供給のことまでは書いていませんが、不増性をこの言葉で読めば、土地の供給が需要に合わせて伸びないという硬さになります。総論第4章の需要と供給の原則も、不動産の需要と供給及び価格の形成には自然的特性と人文的特性の反映が認められるとだけ定めていて、土地の供給が伸びないことはその反映の一つと読めます。
相対的稀少性は、不増性を価格の側から見た言葉です
総論第1章第1節は、価格を生む三つのものの一つに相対的稀少性を挙げています。稀少とは、欲しい人の数に比べて土地が足りないことです。足りないままなのは、不増性があって供給を増やせないからです。基準は第1節で相対的稀少性を、第2節で不増性を別々に書くだけで、二つを結び付けてはいません。ただ、同じ事実を土地の側から言えば不増性、価格の側から言えば相対的稀少性と読むと、第2節と第1節はこの一点でつながります。
面積は増えませんが、使い方の余地は人が広げられます
不増性は土地の面積の話です。同じ面積の土地に高い建物を建てて床を増やしたり、畑を宅地に変えたりすることはできます。畑を宅地に変えるのは用途の多様性(用途の転換)という人文的特性で、床を増やすのも人が土地に働きかけて使い方を広げることです。どちらも土地そのものが増えたわけではありません。土地は面積としては固く、使われ方としては柔らかいということで、自然的特性の硬さと人文的特性の伸び縮みは同じ土地の二つの面です。

土地の面積は同じでも、上に積めば床は増える。
自然的特性として、地理的位置の固定性、不動性(非移動性)、永続性(不変性)、不増性、個別性(非同質性、非代替性)等を有し、固定的であって硬直的である。
出典: 総論第1章 第2節
実務ではこう使う
地域分析では、その用途の土地の供給がどれだけ限られているかを、空き地の量や開発の余地から読み取ります。都心の駅前のように新たな供給がほとんどない地域では、需要が少し増えるだけで価格が大きく動きます。反対に、造成中の分譲地が多く残る地域では、不増性の効き方は弱くなります。
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