処理計画の策定に当たっての確認事項とは?不動産鑑定評価基準での意味を図でわかりやすく解説
証券化対象不動産の鑑定評価で、処理計画を策定するに当たって、あらかじめ依頼者に対し確認する六つの事項です。つまり、作業に入る前に依頼者と段取りを詰めておく事柄で、確認した内容は処理計画に反映し、変わったら計画も変えます。
処理計画の策定に当たっての確認事項とは
引っ越しの見積りに来た業者は、荷物の量、エレベーターの有無、希望日を先に聞いてから、人手とトラックを決めます。証券化対象不動産の鑑定評価も同じで、関係者が多く資料も多いので、行き当たりばったりでは作業が回りません。そこで基準は、処理計画を策定する前に依頼者へ確認する事項を六つ決めています。依頼目的と依頼が必要となった背景、対象がどの法律の不動産取引に係るか、エンジニアリング・レポート(建物・設備・環境の専門家が作った調査報告書)などの資料の項目と入手時期、その作成者から説明を受けられるか、内覧を含む実地調査の範囲、その他必要な事項です。

処理計画を作る前に、依頼者と六つの事項を確認する。
確認は処理計画を作る前に、あらかじめ行います
基準は「あらかじめ、依頼者に対し」確認し、確認された事項は処理計画に反映すると定めています。計画に反映するためには、計画より先に確認が済んでいなければなりません。総論第8章の手順では、基本的事項の確定と依頼者等の確認の次に処理計画の策定が来るので、この確認はその流れの中で行う作業です。証券化対象不動産の鑑定評価だとあらかじめ分かっている場合でも、依頼目的、条件及び依頼が必要となった背景は依頼者に明瞭に確認します(総論第8章第1節)。確認した事項に変更があれば処理計画も変更しますが、これは総論第8章第3節にも同じ定めがあり、証券化対象不動産に限った話ではありません。

確認は「あらかじめ」。報告書を書く段になってからでは遅い。
六つの中に、資料の入手時期と作成者の説明の有無が入ります
六つのうち三つ目と四つ目は、どちらもエンジニアリング・レポートに関わる項目です。三つ目は、レポートやDCF法に要る資料の主な項目と入手時期で、資料は依頼者が用意するものなので、いつ届くかで作業の順番が決まります。四つ目は、レポートを作成した者から説明を受けられるかどうかで、基準はこれを三つ目とは別の独立した項目にしています。基準に理由は書かれていませんが、留意事項がレポートの全部の提供と作成者から直接説明を受ける機会を求めていることから、報告書の前提や限界は作成者に聞かなければ分からないためと考えられます。
担当鑑定士以外が確認しても、責任は担当鑑定士にあります
留意事項は、この確認を対象不動産の鑑定評価を担当する不動産鑑定士以外の者が行う場合もあり得るとしています。事務所の所員や別の鑑定士が依頼者への聞き取りを行うことは構いません。ただし、確認は鑑定評価の一環なので、担当する不動産鑑定士が責任を有します。自分で行うことと、責任を持つことは別で、基準が求めているのは後者です。

聞き取りは他の者に任せても、責任は担当鑑定士にある。
再評価でも、内覧を含む実地調査の範囲を確認します
従前に鑑定評価を行った証券化対象不動産を再評価する場合でも、各論第3章に従って鑑定評価を行います(第1節留意事項)。二回目だからこの確認を省けるという定めはなく、内覧を含む実地調査の範囲もあらかじめ依頼者に確認して処理計画を策定します。総論第8章の要件を満たせば内覧を省略できることはありますが、それは確認した結果として範囲が変わるだけで、確認そのものが不要になるわけではありません。
処理計画の策定に当たっては、あらかじめ、依頼者に対し、証券化対象不動産の鑑定評価に関する次の事項を確認し、鑑定評価の作業の円滑かつ確実な実施を行うことができるよう適切かつ合理的な処理計画を策定するものとする。
出典: 各論第3章 第3節
実務ではこう使う
受任の打合せで、依頼者がアセットマネジャーなのかレンダーなのかを聞き、対象が投資法人の取得物件なのか私募ファンドの信託受益権なのかを確かめます。エンジニアリング・レポートの入手予定日と作成会社から説明を受ける機会、内覧に立ち会う管理会社の日程まで決めて書き留め、それを処理計画の土台にします。後で入手日や内覧の範囲が変われば、計画のほうを作り直します。
関連用語
アプリで学習
基準ビューワー × 穴埋めドリルで効率的に学ぶ
鑑定評価基準の原文をスマホで閲覧しながら、穴埋めドリルや論証トレーニングで知識を定着。 短答式・論文式どちらの対策にも対応しています。
年額プランなら1日わずか27円