/ 鑑定理論

特別の取引関係とは?不動産鑑定評価基準での意味を図でわかりやすく解説

依頼者と関与不動産鑑定業者との間で明らかにすべき特別の関係のうち、前事業年度の借入れ・売上げ・取引額を通じたつながりです。つまり、その業者の商売がその依頼者にどれだけ頼っているかを、お金の流れで見ます。

特別の取引関係とは

町の鑑定事務所の売上げの半分より多くが、一つの銀行からの仕事だったとします。その銀行から担保の評価を頼まれたとき、評価書を読む人は「大口のお客に合わせた数字ではないか」と思うかもしれません。基準は、こうしたお金の流れを通じたつながりを特別の取引関係と呼び、依頼者と関与不動産鑑定業者(その鑑定評価に鑑定士を従事させている業者)との間にあれば、その有無と内容を明らかにするよう求めています。つながりを隠さずに書くことで、読む人が評価書の重みを自分で判断できるようにする仕組みです。

特別の取引関係の図解:売上げの半分より多くが一つの依頼者なら、そのつながりを明らかにする。

売上げの半分より多くが一つの依頼者なら、そのつながりを明らかにする。

目安は借入れ・売上げ・取引額の三つで、前事業年度で見ます

留意事項が掲げる目安は三つです。依頼者からの借入れが業者の負債の過半を占める場合、依頼者からの売上げが業者の売上げの過半を占める場合、依頼者との取引額が業者の鑑定評価等業務の受注額の半分に当たる額を超える場合で、これらと同等以上の取引関係も含みます。どれも当該不動産鑑定業者の前事業年度の数字で判定し、明らかにすべき内容は、その負債・売上げ・取引額の割合と、該当することになった事項です。留意事項は前事業年度で見る理由を書いていませんが、決算で固まった数字なら誰が見ても同じ判定になるためと考えられます。

特別の取引関係の図解:借入れは負債の過半、売上げは過半、取引額は受注額の半分超。どれも前事業年度の数字で見る。

借入れは負債の過半、売上げは過半、取引額は受注額の半分超。どれも前事業年度の数字で見る。

売上げには、鑑定評価以外の仕事の分も入れます

売上げの目安には「鑑定評価等業務に係る売上げ以外のものを含む」という括弧書きが付いています。コンサルティングや調査の報酬など、鑑定評価ではない仕事の売上げも、分母にも分子にも入れて数えます。留意事項は理由を書いていませんが、鑑定評価以外の仕事でその依頼者にもたれかかっていても評価の公平さに響くため、と読めます。鑑定評価の売上げだけで数えると、その依存が見えなくなります。

出資や人のつながりは、別の特別の関係として扱います

留意事項は、依頼者と業者との特別の関係を、資本的関係・人的関係・取引関係の三つに分けて別々に定めています。資本的関係は出資や議決権、子会社・関連会社といった持ち分のつながりで、人的関係は依頼者やその代表者が業者やその代表者と同じ人であるようなつながりです。取引関係は借入れ・売上げ・取引額というお金の流れだけを見ます。依頼者からの出資が業者の資本の過半を占めていれば資本的関係に当たり、人的関係があるからといって取引関係があることにはなりません。

特別の取引関係の図解:出資は資本的関係、社長の兼務は人的関係、お金の流れが取引関係。三つは別の引き出し。

出資は資本的関係、社長の兼務は人的関係、お金の流れが取引関係。三つは別の引き出し。

三つは最低限で、判断に響く関係は他にも明らかにします

留意事項は、明らかにすべき特別の関係とその内容を「最低限」次に掲げるものとし、ただし書きで、依頼目的や、依頼者・提出先等のほか関係者の判断に与える大きさ等にかんがみ必要な特別の関係も明らかにするとしています。三つの目安に届かなくても、受注の四割がその依頼者に集まっているような場合は、評価書を読む人の判断に響くと判断すれば明らかにします。目安は入口であって、これだけ書けば足りるという上限ではありません。

当該不動産鑑定業者の前事業年度において、当該依頼者からの借入れが当該不動産鑑定業者の負債の過半を占める場合、当該不動産鑑定業者の売上げ(鑑定評価等業務に係る売上げ以外のものを含む。)において当該依頼者からの売上げが過半を占める場合、当該依頼者と当該不動産鑑定業者の取引額が当該不動産鑑定業者の鑑定評価等業務における受注額の半分に相当する額を超える場合その他これらと同等以上の取引関係がある場合の当該関係であり、これらの場合において明らかにすべき内容は、当該負債、売上げ又は取引額の割合その他当該関係に該当することとなった事項とする。

出典: 総論第8章 第2節

実務ではこう使う

事務所の決算が固まったら、依頼者ごとの売上げの割合と借入先を一覧にしておきます。特定の金融機関や不動産会社からの受注が半分を超えていれば、その依頼者の案件では評価書に「前事業年度の売上げに占める割合〇%」と割合まで記載します。目安に届かなくても、読む人の判断に響く集中があれば同じように書きます。

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