/ 鑑定評価基準・理論解説

不動産鑑定における資料収集と分析の手順

鑑定評価の信頼性を左右する資料収集。確認資料・要因資料・事例資料の3分類ごとに、具体的な資料名と入手先を一覧で整理。取引事例の選択要件(事情補正・時点修正・要因比較)や資料の信頼性検証のチェックポイントまで解説します。

資料収集の位置づけ

不動産鑑定評価の手順において、資料の収集及び整理は対象不動産の確認の後に行われる重要なステップです。収集する資料の質と量が鑑定評価の信頼性を大きく左右します。


資料の3分類

鑑定評価に必要な資料は、以下の3つに分類されます。

分類 内容 具体例
確認資料 対象不動産の確認に用いる資料 登記事項証明書、公図、測量図
要因資料 価格形成要因の分析に用いる資料 都市計画図、人口統計、経済指標
事例資料 鑑定評価手法の適用に用いる資料 取引事例、賃貸事例、造成事例

確認資料の収集

物的確認に用いる資料

資料 入手先
登記事項証明書 法務局
公図・地積測量図 法務局
建物図面 法務局
建築確認通知書 依頼者提供
固定資産課税台帳 市区町村

権利の態様の確認に用いる資料

資料 入手先
登記事項証明書(権利部) 法務局
賃貸借契約書 依頼者提供
管理規約(マンション) 依頼者・管理組合提供

要因資料の収集

一般的要因に関する資料

要因 資料
経済的要因 GDP統計、金利動向、不動産市場レポート
社会的要因 人口統計、世帯数推移
行政的要因 都市計画法の規制内容、国土利用計画法

地域要因に関する資料

要因 資料
交通接近条件 最寄駅からの距離、道路の整備状況
環境条件 周辺の土地利用状況、騒音・振動の程度
行政的条件 用途地域、建ぺい率・容積率

個別的要因に関する資料

要因 資料
画地条件 間口・奥行、形状、接道状況
建物の条件 築年数、構造、設備の状態
利用の状況 現況の利用方法、テナントの入居状況

事例資料の収集

取引事例

収集項目 内容
取引価格 売買代金
取引時点 いつの取引か
取引の事情 特殊な事情の有無
所在・面積等 物件の概要
用途地域等 法的規制

賃貸事例

収集項目 内容
賃料水準 支払賃料、実質賃料
契約内容 契約期間、一時金の有無
物件の概要 所在、面積、構造

造成事例・建築事例

原価法の適用に必要な再調達原価の算定のための資料です。


資料分析の留意点

資料の信頼性の検証

検証項目 内容
出所の確認 資料の入手先と信頼性
時点の確認 資料が価格時点に対応しているか
正確性の確認 記載内容に誤りがないか
整合性の確認 複数の資料間で矛盾がないか

取引事例の検証

取引事例の選択にあたっては、以下の要件を満たす事例を選ぶ必要があります。

  1. 事情補正が可能な事例であること
  2. 時点修正が可能な事例であること
  3. 地域要因の比較・個別的要因の比較が可能な事例であること

試験での出題ポイント

短答式試験

出題パターン 正しい理解
資料の3分類 確認資料、要因資料、事例資料
確認資料の例 登記事項証明書、公図、測量図
要因資料の内容 価格形成要因の分析に用いる資料
事例資料の例 取引事例、賃貸事例、造成事例

まとめ

不動産鑑定評価における資料収集は、確認資料・要因資料・事例資料の3分類に基づいて体系的に行います。収集した資料の信頼性を検証し、価格時点との整合性を確認することが重要です。

対象不動産の確認、価格形成要因の解説、取引事例の選択と併せて理解してください。

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