鑑定評価基準の一問一答100問
鑑定評価基準の一問一答100問を収録。短答式試験頻出の正誤判定問題を総論第1章から各論まで網羅。条文の微妙な改変を見抜く力を養う演習集で、各問に誤りの箇所の指摘と正しい条文を併記。穴埋め50選と合わせて暗記精度を高められます。
一問一答で短答式試験を攻略する
不動産鑑定士の短答式試験では、鑑定評価基準の条文に関する正誤判定が中心的な出題形式です。条文の一部を微妙に改変した選択肢を見抜くためには、基準の文言を正確に覚えていることが不可欠です。
本記事では、鑑定評価基準の全体像から各論までを網羅する100問の一問一答を用意しました。各問は「正しい」か「誤り」かを判断する形式で、解答には誤りの箇所の指摘と正しい条文を併記しています。穴埋め練習問題50選と合わせて取り組むことで、基準の暗記精度をさらに高めることができます。
総論第1章:基本的考察(問1〜10)
問1 不動産の鑑定評価は、その対象である不動産の経済価値を算定し、これを貨幣額をもって表示することである。
誤り。「算定」ではなく「判定」が正しい。鑑定評価の定義における最頻出の引っかけ問題である。
不動産の鑑定評価は、その対象である不動産の経済価値を判定し、これを貨幣額をもって表示することである。
― 不動産鑑定評価基準 総論第1章第3節
問2 不動産の価格は、効用、相対的稀少性及び有効需要の三者の相関結合によって生ずる不動産の経済価値を、貨幣額をもって表示したものである。
正しい。価格の三面性に関する正確な記述である。
問3 土地の自然的特性として、地理的位置の固定性、不動性、永続性、可分性、個別性等がある。
誤り。「可分性」ではなく「不増性」が正しい。土地の自然的特性は「固定的であって硬直的」なものである。
問4 不動産の鑑定評価とは、不動産の価格に関する専門家の判断であり、意見であるといってよい。
正しい。基準原文の記述のとおりである。
問5 不動産鑑定士は、自己の能力の限度を超えていると思われる不動産の鑑定評価であっても、依頼者の要請がある場合にはこれを引き受けなければならない。
誤り。自己の能力の限度を超えている場合や、公平な鑑定評価を害するおそれのあるときは、原則として引き受けてはならない。
問6 不動産の価格と賃料との間には、いわゆる元本と果実との間に認められる相関関係を認めることができる。
正しい。価格(元本)と賃料(果実)の関係は基準の重要概念である。
問7 不動産の現実の取引価格等は、一般的・画一的に形成されるのが通常である。
誤り。「個別的に形成されるのが通常」が正しい。不動産の取引価格は個別的な事情に左右されがちなものである。
問8 土地の人文的特性として、用途の多様性、併合及び分割の可能性、社会的及び経済的位置の可変性等がある。
正しい。人文的特性は「可変的であって伸縮的」なものである。
問9 不動産の属する地域は固定的なものであり、変化しないものである。
誤り。不動産の属する地域は固定的なものではなく、常に拡大縮小、集中拡散、発展衰退等の変化の過程にある。
問10 不動産の価格は、通常、現在の状況のみに基づいて形成される。
誤り。不動産の価格は「通常、過去と将来とにわたる長期的な考慮の下に形成される」。今日の価格は昨日の展開であり、明日を反映するものである。
総論第2章:種別及び類型(問11〜20)
問11 不動産の種別とは、その有形的利用及び権利関係の態様に応じて区分される不動産の分類をいう。
誤り。これは「類型」の定義である。種別は「不動産の用途に関して区分される不動産の分類」をいう。種別と類型の完全整備で両概念の違いを確認できる。
問12 宅地地域とは、居住、商業活動、工業生産活動等の用に供される建物、構築物等の敷地の用に供されることが合理的と判断される地域をいう。
正しい。宅地地域の定義として正確である。
問13 更地とは、建物等の定着物がなく、かつ、使用収益を制約する権利の付着していない土地をいう。
誤り。「土地」ではなく「宅地」が正しい。更地はあくまで宅地の類型の一つである。
問14 借地権とは、民法に基づく土地の賃借権をいう。
誤り。「借地借家法(廃止前の借地法を含む。)に基づく借地権(建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権)」が正しい。
問15 区分所有建物及びその敷地とは、建物の区分所有等に関する法律第2条第3項に規定する専有部分並びに共用部分の共有持分及び敷地利用権をいう。
正しい。基準原文の定義のとおりである。
問16 見込地とは、宅地地域内において、ある用途から他の用途へと転換しつつある地域のうちにある土地をいう。
誤り。見込地は「宅地地域、農地地域、林地地域等の相互間において」転換しつつある地域の土地をいう。宅地地域内の細分間の移動は「移行地」である。
問17 建付地とは、建物等の用に供されている敷地で建物等及びその敷地が同一の所有者に属している宅地をいう。
正しい。建付地の定義として正確である。
問18 自用の建物及びその敷地には、借地権付建物が含まれる。
誤り。自用の建物及びその敷地は、建物所有者とその敷地の所有者とが同一人であることが要件であり、借地権付建物は別の類型である。
問19 地域の種別は、宅地地域、農地地域、林地地域の三種類に限られる。
誤り。「宅地地域、農地地域、林地地域等に分けられる」であり、三種類に限定されてはいない。
問20 宅地の類型は、更地、建付地、借地権、底地に分けられる。
誤り。これらに加えて「区分地上権等」も含まれる。
総論第3章:価格形成要因(問21〜30)
問21 価格形成要因は、一般的要因と個別的要因の二つに分けられる。
誤り。「一般的要因、地域要因及び個別的要因」の三つに分けられる。価格形成要因の解説で詳しく確認できる。
問22 一般的要因は、自然的要因、社会的要因、経済的要因及び行政的要因に大別される。
正しい。一般的要因の四分類は正確に覚えておく必要がある。
問23 地域要因とは、不動産に個別性を生じさせ、その価格を個別的に形成する要因をいう。
誤り。これは「個別的要因」の定義である。地域要因は「一般的要因の相関結合によって規模、構成の内容、機能等にわたる各地域の特性を形成し、その地域に属する不動産の価格の形成に全般的な影響を与える要因」をいう。
問24 住宅地域の地域要因には、洪水、地すべり等の災害の発生の危険性が含まれる。
正しい。住宅地域の地域要因の例示として基準に明記されている。
問25 商業地の個別的要因には、商業地域の中心への接近性が含まれる。
正しい。商業地固有の個別的要因として基準に明記されている。
問26 情報通信基盤の整備の状態は、住宅地域の地域要因には含まれない。
誤り。「情報通信基盤の整備の状態」は住宅地域の地域要因として明示的に列挙されている。
問27 建物に関する個別的要因として、有害な物質の使用の有無及びその状態がある。
正しい。アスベスト等を念頭に置いた要因である。
問28 賃貸用不動産に関する個別的要因には、賃貸経営管理の良否が含まれる。
正しい。賃借人の状況、貸室の稼働状況等が具体例として挙げられている。
問29 価格形成要因の分析に当たっては、要因の現状のみを把握すれば足りる。
誤り。価格形成要因を把握するとともに、「その推移及び動向並びに諸要因間の相互関係を十分に分析」しなければならない。
問30 転換し又は移行しつつある地域については、常に転換後又は移行後の種別の地域の地域要因をより重視すべきである。
誤り。転換又は移行の程度の低い場合には、「転換前又は移行前の種別の地域の地域要因をより重視すべき」である。
総論第4章:価格に関する諸原則(問31〜40)
問31 最有効使用は、現実の社会経済情勢の下で主観的にみて合理的かつ合法的な最高最善の使用方法に基づくものである。
誤り。「主観的」ではなく「客観的にみて」が正しい。最有効使用の原則で詳しく解説している。
問32 ある不動産についての現実の使用方法は、常に最有効使用に基づいているものである。
誤り。現実の使用方法は「必ずしも最有効使用に基づいているものではなく」、不合理な使用のために十分な効用を発揮していない場合がある。
問33 不動産の価格に関する諸原則は、孤立しているものではなく、直接的又は間接的に相互に関連しているものである。
正しい。諸原則の相互関連性に関する基準の記述のとおりである。
問34 収益逓増及び逓減の原則では、ある単位投資額を継続的に増加させると、これに伴う収益は常に増加し続ける。
誤り。「ある点までは増加するが、その後は減少する」のが収益逓増及び逓減の原則である。
問35 寄与の原則は、不動産の最有効使用の判定に当たっての不動産の追加投資の適否の判定等に有用である。
正しい。寄与の原則の実務的な意義に関する正確な記述である。
問36 代替の原則は、不動産の価格が代替可能な他の不動産又は財の価格と独立して形成されることを示す。
誤り。「相互に関連して形成される」が正しい。代替の原則は取引事例比較法の理論的根拠でもある。
問37 予測の原則によれば、不動産の価格は、価格形成要因の変動についての市場参加者による予測によって左右される。
正しい。予測の原則の内容として正確である。
問38 均衡の原則は、不動産の最有効使用の判定において活用される原則の一つである。
正しい。「不動産の最有効使用を判定するためには、この均衡を得ているかどうかを分析することが必要」とされている。
問39 適合の原則は、当該不動産がその環境に適合していることの必要性を示す原則である。
正しい。適合の原則の内容として正確である。
問40 競争の原則によれば、超過利潤は競争を抑制する傾向を持つ。
誤り。超過利潤は競争を「惹起し」、競争は超過利潤を「減少させ」、終局的にはこれを消滅させる傾向を持つ。
総論第5章:鑑定評価の基本的事項(問41〜55)
問41 鑑定評価の基本的事項として確定すべきものは、対象不動産と価格時点の二つである。
誤り。「対象不動産、価格時点及び価格又は賃料の種類」の三つを確定しなければならない。
問42 独立鑑定評価とは、不動産の構成部分を鑑定評価の対象とする場合をいう。
誤り。独立鑑定評価は土地及び建物等が結合している場合にその土地のみを更地として対象とするものである。構成部分を対象とするのは「部分鑑定評価」である。対象確定条件の解説で各条件の違いを確認できる。
問43 正常価格における市場参加者は、売り急ぎ、買い進み等をもたらす特別な動機のないことが要件とされる。
正しい。正常価格の前提となる市場参加者の要件として正確である。
問44 正常価格における「相当の期間」とは、対象不動産の取得に際し必要となる情報が公開され、需要者層に十分浸透するまでの期間をいう。
正しい。留意事項における相当の期間の定義として正確である。
問45 限定価格を求める場合の例として、借地権者が底地の併合を目的とする売買に関連する場合がある。
正しい。基準に例示されている限定価格を求める場合の一つである。
問46 特定価格は、市場性を有しない不動産について求める価格である。
誤り。特定価格は「市場性を有する不動産について」求めるものである。市場性を有しない不動産について求めるのは「特殊価格」である。4つの価格の違いを確認。
問47 特殊価格の例として、文化財の指定を受けた建造物について鑑定評価を行う場合がある。
正しい。特殊価格を求める場合の典型例として基準に例示されている。
問48 将来時点の鑑定評価は、原則として行うべきである。
誤り。将来時点の鑑定評価は「原則として行うべきではない」。ただし、特に必要がある場合で妥当性を欠かないときは設定できる。
問49 賃料の価格時点は、賃料の算定の期間の期末となる。
誤り。賃料の価格時点は「賃料の算定の期間の収益性を反映するものとしてその期間の期首」となる。
問50 正常賃料とは、正常価格と同一の市場概念の下において新たな賃貸借等の契約において成立するであろう経済価値を表示する適正な賃料をいう。
正しい。正常賃料の定義として正確である。
問51 継続賃料とは、不動産の賃貸借等の継続に係る不特定多数の当事者間において成立するであろう経済価値を表示する賃料をいう。
誤り。「不特定多数」ではなく「特定の当事者間」が正しい。継続賃料は既存の契約関係を前提とする。
問52 対象確定条件を設定するに当たっては、鑑定評価書の利用者の利益を害するおそれがないかどうかの観点から妥当性を確認しなければならない。
正しい。対象確定条件の設定にあたっての基本的な判断基準である。
問53 想定上の条件を設定する場合には、実現性の観点のみから妥当性を判断すればよい。
誤り。鑑定評価書の利用者の利益を害するおそれがないかどうかの観点に加え、「特に実現性及び合法性の観点から妥当なものでなければならない」。
問54 証券化対象不動産の鑑定評価においては、想定上の条件を自由に設定できる。
誤り。証券化対象不動産等の鑑定評価が利用者の利益に重大な影響を及ぼす可能性がある場合には、原則として条件設定をしてはならない。
問55 条件設定をする場合、依頼者との間で当該条件設定に係る合意がなくても鑑定評価を行うことができる。
誤り。条件設定をする場合は「依頼者との間で当該条件設定に係る鑑定評価依頼契約上の合意がなくてはならない」。
総論第6章:地域分析及び個別分析(問56〜65)
問56 類似地域とは、近隣地域と同一の特性を有する地域をいう。
誤り。「同一の」ではなく「類似する特性を有する地域」が正しい。類似地域はあくまで類似性に基づいて判定される。
問57 住宅地の同一需給圏は、一般に都心への通勤可能な地域の範囲に一致する傾向がある。
正しい。基準原文の記述のとおりである。ただし、地縁的選好性により範囲が狭められる傾向があることにも注意。
問58 近隣地域と同一需給圏内に存する類似地域とは、必ず隣接しているものである。
誤り。「隣接すると否とにかかわらず」、地域要因の類似性に基づいて代替、競争等の関係が成立する。
問59 個別分析において、個々の不動産の最有効使用は、近隣地域の標準的使用との相互関係とは無関係に判定される。
誤り。個々の不動産の最有効使用は「一般に近隣地域の地域の特性の制約下にある」ため、標準的使用との相互関係を明らかにして判定する必要がある。
問60 最有効使用の判定に当たっては、使用収益が将来相当の期間にわたって持続し得る使用方法であることが必要である。
正しい。最有効使用の判定上の留意点として基準に明記されている。
問61 対象不動産に係る市場の特性を把握する必要はない。
誤り。地域分析において「対象不動産に係る市場の特性」を把握することは重要であり、市場参加者の属性や需給動向を的確に把握する必要がある。
問62 現実の建物の用途等が更地としての最有効使用に一致していない場合でも、建物及びその敷地と更地の最有効使用の内容は必ず一致する。
誤り。「建物及びその敷地と更地の最有効使用の内容が必ずしも一致するものではない」。更地としての最有効使用の実現に要する費用等を勘案する必要がある。
問63 建物の取壊しが最有効使用と判定される場合には、建物の取壊し費用等は考慮不要である。
誤り。「現実の建物の用途等を継続する場合の経済価値と建物の取壊しや用途変更等を行う場合のそれらに要する費用等を適切に勘案した経済価値を十分比較考量すること」が求められる。
問64 高度商業地の同一需給圏は、一般に広域的に形成される傾向がある。
正しい。高度商業地は広域的な商業背後地に基づく商業収益に関して代替性が及ぶため、広域的な範囲となる。
問65 大工場地の同一需給圏は、全国的な規模となる傾向がある。
正しい。高度の輸送機関に関して代替性を有する産業基盤指向型工業地等の同一需給圏は全国規模となる。
総論第7章:鑑定評価の方式(問66〜85)
問66 鑑定評価の三方式とは、原価方式、比較方式及び利回り方式である。
誤り。「利回り方式」ではなく「収益方式」が正しい。三方式の徹底比較を参照。
問67 原価法は、対象不動産が土地のみである場合には適用できない。
誤り。土地のみの場合でも「再調達原価を適切に求めることができるときはこの手法を適用することができる」。
問68 置換原価とは、対象不動産と同等の有用性を持つものに置き換えて求めた原価をいう。
正しい。再調達原価を直接求めることが困難な場合に用いられる概念である。
問69 減価修正の方法には、耐用年数に基づく方法と観察減価法があり、いずれか一方のみを適用すればよい。
誤り。「これらを併用するものとする」とされている。
問70 経済的残存耐用年数とは、価格時点において、対象不動産の用途や利用状況に即し、物理的要因及び機能的要因に照らした劣化の程度並びに経済的要因に照らした市場競争力の程度に応じてその効用が十分に持続すると考えられる期間をいう。
正しい。経済的残存耐用年数の定義として正確であり、耐用年数に基づく方法において特に重視されるべきものである。
問71 取引事例は、投機的取引であると認められる事例を含んでもよい。
誤り。取引事例等は「投機的取引であると認められる事例等適正さを欠くものであってはならない」。
問72 取引事例比較法における事情補正とは、取引時点と価格時点の価格水準の変動を修正することである。
誤り。これは「時点修正」の説明である。事情補正は、取引に含まれる特殊な事情が価格に影響しているときに行う補正である。
問73 収益還元法は、賃貸用不動産の価格を求める場合にのみ有効である。
誤り。収益還元法は「賃貸用不動産又は賃貸以外の事業の用に供する不動産の価格を求める場合に特に有効」であり、さらに「自用の不動産といえども賃貸を想定することにより適用される」。
問74 直接還元法は、一期間の純収益を還元利回りによって還元する方法である。
正しい。直接還元法の基本的な定義として正確である。
問75 DCF法は、連続する複数の期間に発生する純収益及び復帰価格を、その発生時期に応じて現在価値に割り引き、それぞれを合計する方法である。
正しい。DCF法の仕組みで計算過程を確認できる。
問76 還元利回りと割引率は同一の概念である。
誤り。還元利回りは将来の収益に影響を与える要因の変動予測と不確実性を含むものであり、割引率はそのうち収益見通しで考慮された変動予測に係るものを除くものである。還元利回りの解説参照。
問77 純収益とは、不動産の総収益をいう。
誤り。純収益とは「不動産に帰属する適正な収益」であり、総収益から資本・労働・経営への貢献度に応じた分配分を控除した残余の部分をいう。
問78 積算法は、基礎価格に期待利回りを乗じて得た額に必要諸経費等を加算して試算賃料を求める手法である。
正しい。新規賃料を求める積算法の定義として正確である。
問79 差額配分法は、新規賃料を求める手法の一つである。
誤り。差額配分法は継続賃料を求める手法の一つである。継続賃料の求め方で4手法の比較を確認できる。
問80 スライド法は、直近合意時点における純賃料に変動率を乗じて得た額に価格時点における必要諸経費等を加算して試算賃料を求める手法である。
正しい。スライド法の定義として正確である。
問81 配分法は、取引事例比較法の適用方法の一つとして規定されている。
正しい。異類型の取引事例から対象不動産と同類型の部分の事例資料を求める方法として規定されている。
問82 収益分析法で求められる純収益は、減価償却前のものとする。
誤り。収益分析法の収益純賃料は「減価償却後のもの」とされている。
問83 開発法は、更地の面積が近隣地域の標準的な土地の面積に比べて大きい場合等において適用される。
正しい。開発法の解説で適用場面と計算手順を確認できる。
問84 継続賃料利回りは、期待利回りと同じものである。
誤り。継続賃料利回りは、直近合意時点における基礎価格に対する純賃料の割合を踏まえ、継続賃料固有の価格形成要因に留意しつつ総合的に比較考量して求めるものであり、期待利回りとは異なる。
問85 賃貸事例比較法は、新規賃料を求める場合にも継続賃料を求める場合にも適用される。
正しい。新規賃料・継続賃料の両方について賃貸事例比較法が規定されている。
総論第8章・第9章と各論(問86〜100)
問86 試算価格の調整において、各試算価格を単純に算術平均して鑑定評価額を決定すべきである。
誤り。調整は「各試算価格の再吟味及び各試算価格が有する説得力に係る判断を行い」決定に導く作業であり、単純平均ではない。
問87 鑑定評価の手法の適用に当たっては、複数の鑑定評価の手法を適用すべきである。
正しい。複数の手法の適用が困難な場合でも、「その考え方をできるだけ参酌するように努めるべき」とされている。
問88 鑑定評価報告書は、鑑定評価額のみを記載すれば足りる。
誤り。鑑定評価報告書には、鑑定評価額のほか、鑑定評価の条件、対象不動産の確認に関する事項、鑑定評価額の決定の理由の要旨など、多数の記載事項が求められる。
問89 鑑定評価の手順として、資料の収集及び整理は、対象不動産の確認の前に行う。
誤り。手順の順序は「鑑定評価の基本的事項の確定→依頼者等の確認→処理計画の策定→対象不動産の確認→資料の収集及び整理」である。
問90 正常価格又は正常賃料を求めることができる不動産について限定価格を求めた場合は、正常価格を併記しなければならない。
正しい。かっこ書きで正常価格又は正常賃料の額を併記しなければならないと規定されている。
問91 更地の鑑定評価額は、比準価格のみに基づいて決定する。
誤り。更地の鑑定評価額は「比準価格並びに土地残余法による収益価格を関連づけて決定」し、再調達原価が把握できる場合は積算価格も関連づける。
問92 貸家及びその敷地の鑑定評価額は、積算価格を標準として決定する。
誤り。貸家及びその敷地の鑑定評価額は「実際実質賃料に基づく純収益等の現在価値の総和を求めることにより得た収益価格を標準」として決定する。
問93 自用の建物及びその敷地の鑑定評価額は、積算価格、比準価格及び収益価格を関連づけて決定する。
正しい。三手法の試算価格を総合的に関連づけて決定する。
問94 証券化対象不動産の鑑定評価では、原価法を適用しなければならない。
誤り。証券化対象不動産では「DCF法を適用しなければならない」。直接還元法による検証を併せて行い、比準価格及び積算価格は検証手段として用いる。
問95 底地の鑑定評価額は、借地権割合を更地価格から控除して求めた価格のみに基づいて決定する。
誤り。底地の鑑定評価額は「実際支払賃料に基づく純収益等の現在価値の総和を求めることにより得た収益価格及び比準価格を関連づけて決定する」。底地の鑑定評価を参照。
問96 借家権の鑑定評価は、借家権の取引慣行の有無にかかわらず同一の手法で行う。
誤り。借家権の鑑定評価額は「借家権の取引慣行がある場合」について規定されており、取引慣行の有無によって手法が異なる。
問97 建物及びその敷地の継続賃料を求める場合、「底地に対する利回りの推移」を考慮する。
誤り。建物及びその敷地の場合は「建物及びその敷地に対する利回り」と読み替える。
問98 宅地の正常賃料の鑑定評価額は、積算賃料のみに基づいて決定する。
誤り。「積算賃料、比準賃料及び配分法に準ずる方法に基づく比準賃料を関連づけて決定する」。新規賃料の求め方を確認。
問99 エンジニアリング・レポートは、証券化対象不動産の鑑定評価においてのみ活用される概念である。
正しい。エンジニアリング・レポートは各論第3章(証券化対象不動産)において規定された概念であり、通常の鑑定評価では他の専門家の調査結果等の活用として扱われる。
問100 継続賃料の鑑定評価額の決定に当たっては、契約当事者間の公平に留意する。
正しい。継続賃料は「契約当事者間の公平に留意の上決定する」と規定されている。
試験での出題ポイント
短答式試験で特に狙われる論点
上記100問の中でも、以下のパターンは特に出題頻度が高い論点です。
- 定義の微妙な改変:「判定」vs「算定」、「種別」vs「類型」の入れ替え
- 「原則として」の有無:条件設定の制限、将来時点の鑑定評価等
- 適用場面の取り違え:新規賃料と継続賃料、正常価格と特定価格
- 手法の定義の混同:三方式の試算価格名、各賃料手法の区別
暗記のコツ
- 誤りの選択肢を分析する:なぜ誤りなのかを理解することで、正しい条文が記憶に定着する
- 関連する条文をセットで覚える:例えば四種類の価格の定義は、対比しながらまとめて暗記する
- 繰り返し解く:間違えた問題に印をつけ、翌日に復習する
まとめ
本記事では、鑑定評価基準の条文に基づく一問一答100問を出題しました。短答式試験の正誤判定力を鍛えるためには、正しい条文と誤りのパターンの両方を知ることが不可欠です。
各問の解説で指摘した「よくある改変パターン」を意識しながら繰り返し演習することで、本番の試験で微妙な選択肢も確実に見分けられるようになります。穴埋め練習問題50選で条文の正確な暗記を固め、本記事の一問一答で実戦的な正誤判定力を身につけてください。さらに学習を深めたい方は、鑑定評価基準の頻出論点ランキングや論文試験で使える重要フレーズ30選もご活用ください。