不動産鑑定における未竣工建物の評価手順
建築中のマンション・造成中の宅地の価格をどう求める?未竣工建物等鑑定評価は対象確定条件の5類型の一つ。工事完了を前提とした評価の手順、設計図書に基づく完成状態の把握、条件設定の妥当性の確認ポイントまで実務的に解説します。
未竣工建物等の鑑定評価とは
未竣工建物等鑑定評価とは、造成に関する工事が完了していない土地又は建築に係る工事が完了していない建物について、当該工事の完了を前提として行う鑑定評価のことです。
造成に関する工事が完了していない土地又は建築に係る工事(建物を新築するもののほか、増改築等を含む。)が完了していない建物について、当該工事の完了を前提として鑑定評価の対象とすること。
― 不動産鑑定評価基準 総論第5章第1節
対象確定条件としての位置づけ
5つの対象確定条件の一つ
未竣工建物等鑑定評価は、対象確定条件の一つとして位置づけられています。
| 対象確定条件の類型 | 内容 |
|---|---|
| (1) 現状所与 | 現実の状態を所与として評価 |
| (2) 独立鑑定評価 | 更地として評価 |
| (3) 部分鑑定評価 | 構成部分を評価 |
| (4) 併合・分割鑑定評価 | 併合後又は分割後を評価 |
| (5) 未竣工建物等鑑定評価 | 工事完了を前提として評価 |
留意事項
未竣工建物等鑑定評価は、価格時点において、当該建物等の工事が完了し、その使用収益が可能な状態であることを前提として鑑定評価を行うものであることに留意する。
― 不動産鑑定評価基準 総論第5章第1節(留意事項)
未竣工建物等鑑定評価の場面
| 場面 | 具体例 |
|---|---|
| 分譲マンションの評価 | 建築中のマンションの完成後の価格 |
| 造成中の宅地 | 宅地造成中の土地の造成完了後の価格 |
| 事業用建物 | 建築中のオフィスビルや商業施設の完成後の価格 |
| 融資の担保評価 | 建設資金の融資における完成後の担保価値 |
| 証券化 | 開発型証券化対象不動産の評価 |
評価の手順
工事完了の想定
未竣工建物等鑑定評価は、価格時点において工事が完了していることを前提とします。したがって、評価対象は「完成後の建物及びその敷地」又は「造成完了後の土地」です。
基本的な評価の流れ
| 手順 | 内容 |
|---|---|
| 1. 条件の設定 | 工事完了を前提とする対象確定条件の設定 |
| 2. 完成状態の把握 | 設計図書等に基づく完成後の状態の把握 |
| 3. 最有効使用の判定 | 完成後の不動産の最有効使用 |
| 4. 手法の適用 | 三手法の適用 |
| 5. 試算価格の調整 | 各手法の試算価格の調整 |
| 6. 鑑定評価額の決定 | 最終的な評価額の決定 |
適用する手法
条件設定の妥当性
確認すべき事項
| 確認事項 | 内容 |
|---|---|
| 工事の確実性 | 工事が計画どおりに完了する見込みがあるか |
| 設計図書の内容 | 完成後の建物の仕様が明確か |
| 法令適合性 | 完成後の建物が法令に適合するか |
| 資金計画 | 工事資金が確保されているか |
利用者保護
鑑定評価報告書には、未竣工建物等鑑定評価であることを明示し、工事完了を前提とした評価であることを記載する必要があります。
未竣工建物の鑑定評価との関連
本記事で扱う「未竣工建物の評価手順」と、未竣工建物等の鑑定評価は同じテーマを異なる角度から解説しています。
試験での出題ポイント
| 出題パターン | 正しい理解 |
|---|---|
| 定義 | 工事が完了していない建物等を工事完了を前提として評価 |
| 対象確定条件 | 5つの対象確定条件の一つ |
| 前提 | 価格時点において使用収益が可能な状態 |
| 妥当性の確認 | 利用者の利益を害するおそれがないか |
確認問題
確認問題
まとめ
未竣工建物等鑑定評価は、工事完了を前提とした対象確定条件の一つであり、完成後の不動産の価格を求めるものです。条件設定の妥当性の確認と利用者保護の観点が特に重要です。
対象確定条件の解説、未竣工建物等の鑑定評価、鑑定評価の条件設定と併せて理解してください。