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不動産鑑定士試験で確実に暗記すべき鑑定評価基準の36の重要箇所

不動産鑑定士試験で確実に暗記すべき鑑定評価基準の36の重要箇所を厳選。価格の三要素、鑑定評価の定義、正常価格・限定価格・特定価格・特殊価格の定義、最有効使用、三方式の意義など、短答式・論文式の両方で問われる核心的な条文と暗記ポイントを整理します。

はじめに

鑑定評価基準は総論9章+各論3章の膨大な条文から構成されますが、試験で問われる箇所には明確な偏りがあります。本記事では、短答式・論文式の両方で確実に暗記すべき36の重要箇所を厳選しました。

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総論第1章:不動産の鑑定評価に関する基本的考察

箇所1:不動産の価格の三要素

不動産の価格は、一般に、(1)その不動産に対してわれわれが認める効用、(2)その不動産の相対的稀少性、(3)その不動産に対する有効需要の三者の相関結合によって生ずる不動産の経済価値を、貨幣額をもって表示したものである。
不動産鑑定評価基準 総論第1章第1節

暗記ポイント: 「効用」「相対的稀少性」「有効需要」の3つを正確に。「相関結合」もキーワード。

箇所2:不動産の鑑定評価の定義

不動産の鑑定評価は、その対象である不動産の経済価値を判定し、これを貨幣額をもって表示することである。

暗記ポイント: 「経済価値を判定」「貨幣額をもって表示」。

箇所3:土地の特性

土地は他の一般の諸財と異なって次のような特性を持っている。(1)自然的特性として、地理的位置の固定性、不動性、永続性、不増性、個別性等を有し...。(2)人文的特性として、用途の多様性、併合及び分割の可能性、社会的及び経済的位置の可変性等を有し...。
不動産鑑定評価基準 総論第1章第2節

暗記ポイント: 自然的特性5つ(固定性・不動性・永続性・不増性・個別性)と人文的特性3つ(多様性・併合分割・可変性)。


総論第2章:不動産の種別及び類型

箇所4:種別と類型の定義

不動産の種別とは、不動産の用途に関して区分される不動産の分類をいい、不動産の類型とは、その有形的利用及び権利関係の態様に応じて区分される不動産の分類をいう。
不動産鑑定評価基準 総論第2章

暗記ポイント: 種別=「用途」、類型=「有形的利用」+「権利関係」。種別と類型の完全整備も参照。


総論第3章:不動産の価格を形成する要因

箇所5:価格形成要因の定義

不動産の価格を形成する要因とは、不動産の効用及び相対的稀少性並びに不動産に対する有効需要の三者に影響を与える要因をいう。
不動産鑑定評価基準 総論第3章

暗記ポイント: 三要素(効用・稀少性・有効需要)に「影響を与える」要因。価格形成要因の解説も参照。

箇所6:一般的要因・地域要因・個別的要因の分類

一般的要因は「自然的要因」「社会的要因」「経済的要因」「行政的要因」の4分類です。


総論第5章:鑑定評価の基本的事項

箇所7:正常価格の定義

正常価格とは、市場性を有する不動産について、現実の社会経済情勢の下で合理的と考えられる条件を満たす市場で形成されるであろう市場価値を表示する適正な価格をいう。
不動産鑑定評価基準 総論第5章第3節

暗記ポイント: 「市場性を有する」「合理的と考えられる条件を満たす市場」「市場価値を表示」がキーワード。

箇所8:限定価格の定義

限定価格とは、市場性を有する不動産について、不動産と取得する他の不動産との併合又は不動産の一部を取得する際の分割等に基づき正常価格と同一の市場概念の下において形成されるであろう市場価値と乖離することにより、市場が相対的に限定される場合における取得部分の当該市場限定に基づく市場価値を適正に表示する価格をいう。

箇所9:特定価格の定義

特定価格とは、市場性を有する不動産について、法令等による社会的要請を背景とする評価目的の下で、正常価格の前提となる諸条件を満たさない場合における不動産の経済価値を適正に表示する価格をいう。

箇所10:特殊価格の定義

特殊価格とは、文化財等の一般的に市場性を有しない不動産について、その利用現況等を前提とした不動産の経済価値を適正に表示する価格をいう。

正常価格・限定価格・特定価格・特殊価格で4つの価格を詳しく解説しています。

箇所11:最有効使用の定義

不動産の価格は、その不動産の効用が最高度に発揮される可能性に最も富む使用を前提として把握される価格を標準として形成される。この場合の最有効使用は、現実の社会経済情勢の下で客観的にみて、良識と通常の使用能力を持つ人による合理的かつ合法的な最高最善の使用方法に基づくものである。

暗記ポイント: 「客観的にみて」「良識と通常の使用能力を持つ人」「合理的かつ合法的」「最高最善」。

確認問題

正常価格の定義において、「市場性を有しない不動産」も対象に含まれる。


総論第6章:地域分析及び個別分析

箇所12:近隣地域の定義

近隣地域とは、対象不動産の属する用途的地域であって、より大きな規模と内容とを持つ地域である都市あるいは農村等の内部にあって、居住、商業活動、工業生産活動等人の生活と活動とに関して、ある特定の用途に供されることを中心として地域的にまとまりを示している地域をいう。
不動産鑑定評価基準 総論第6章

箇所13:同一需給圏の定義

同一需給圏とは、一般に対象不動産と代替関係が成立して、その価格の形成について相互に影響を及ぼすような関係にある他の不動産の存する圏域をいう。

総論第7章:鑑定評価の方式

箇所14:原価法の意義

原価法は、価格時点における対象不動産の再調達原価を求め、この再調達原価について減価修正を行って対象不動産の試算価格を求める手法である(この手法による試算価格を積算価格という。)。
不動産鑑定評価基準 総論第7章第1節

箇所15:再調達原価の定義

再調達原価とは、対象不動産を価格時点において再調達することを想定した場合において必要とされる適正な原価の総額をいう。

箇所16:減価の3要因

物理的要因、機能的要因、経済的要因の3つ。各要因の具体例も暗記必須。

箇所17:取引事例比較法の意義

取引事例比較法は、まず多数の取引事例を収集して適切な事例の選択を行い、これらに係る取引価格に必要に応じて事情補正及び時点修正を行い、かつ、地域要因の比較及び個別的要因の比較を行って求められた価格を比較考量し、これによって対象不動産の試算価格を求める手法である。

箇所18:取引事例の選択要件(4要件)

(1) 近隣地域又は同一需給圏内の類似地域等に存すること
(2) 取引事情が正常又は補正可能であること
(3) 時点修正が可能であること
(4) 地域要因・個別的要因の比較が可能であること

箇所19:収益還元法の意義

収益還元法は、対象不動産が将来生み出すであろうと期待される純収益の現在価値の総和を求めることにより対象不動産の試算価格を求める手法である。

箇所20:収益還元法の適用範囲

この手法は、文化財の指定を受けた建造物等の一般的に市場性を有しない不動産以外のものには基本的にすべて適用すべきものであり、自用の不動産といえども賃貸を想定することにより適用されるものである。

暗記ポイント: 「基本的にすべて適用すべき」「自用の不動産」にも適用。

箇所21:直接還元法の算式

$P = a / R$(P:収益価格、a:一期間の純収益、R:還元利回り)

箇所22:DCF法の算式

$P = \Sigma a_k/(1+Y)^k + PR/(1+Y)^n$

箇所23:還元利回りと割引率の違い

還元利回りは...将来の収益に影響を与える要因の変動予測と予測に伴う不確実性を含むものである。割引率は...還元利回りに含まれる変動予測と予測に伴う不確実性のうち、収益見通しにおいて考慮された...変動予測に係るものを除くものである。

直接還元法の計算手順DCF法の計算手順で詳しく解説しています。

箇所24:還元利回りを求める4つの方法

(ア) 取引事例比較、(イ) 借入金と自己資金、(ウ) 土地と建物、(エ) 割引率との関係

箇所25:積算法(新規賃料)の意義

積算法は、対象不動産について、価格時点における基礎価格を求め、これに期待利回りを乗じて得た額に必要諸経費等を加算して対象不動産の試算賃料を求める手法である。

箇所26:差額配分法の考え方

正常実質賃料と現行実質賃料の差額を配分する手法。

箇所27:利回り法の算式

継続賃料 = 基礎価格 × 継続賃料利回り + 必要諸経費等

箇所28:スライド法の算式

継続賃料 = 直近合意時点の純賃料 × 変動率 + 価格時点の必要諸経費等

新規賃料の4手法継続賃料の4手法で計算例つきで解説しています。

確認問題

収益還元法は、自用の不動産には適用できない。


総論第8章:鑑定評価の手順

箇所29:試算価格の調整の意義

鑑定評価の複数の手法により求められた各試算価格の再吟味を行い、鑑定評価における各手法の適用がそれぞれ適切に行われているかどうかを検討したうえ、これらの各試算価格の調整を行い、鑑定評価額の決定に至るものとする。

試算価格の調整で詳しく解説しています。

箇所30:鑑定評価報告書の必要記載事項

主な記載事項:鑑定評価額、対象不動産の表示、所在・地番・数量等、価格時点、価格の種類、手法の適用過程、試算価格の調整、鑑定評価の条件。


各論第1章:価格に関する鑑定評価

箇所31:更地の定義と適用手法

更地とは、建物等の定着物がなく、かつ、使用収益を制約する権利の付着していない宅地をいう。

適用手法:取引事例比較法、収益還元法(更地に建物建築を想定)、原価法(造成直後の宅地の場合)、開発法

箇所32:借地権の定義

借地権とは、借地借家法に基づく借地権をいう。

箇所33:底地の定義

底地とは、宅地について借地権の付着している場合における当該宅地の所有権をいう。

更地の鑑定評価借地権の鑑定評価底地の鑑定評価で詳しく解説しています。


各論第2章:賃料に関する鑑定評価

箇所34:実質賃料の定義

実質賃料とは、賃料の種類の如何を問わず賃貸人等に支払われる賃料の算定の期間に対応する適正なすべての経済的対価をいい、純賃料及び不動産の賃貸借等を継続するために通常必要とされる諸経費等から成り立つものである。

箇所35:継続賃料固有の考慮事項

直近合意時点以降の変動要因:公租公課、土地及び建物価格、近隣の賃料、契約の経緯、賃料改定の経緯、契約内容を「総合的に勘案」し「契約当事者間の公平に留意」。


各論第3章:証券化対象不動産

箇所36:DCF法の原則適用

証券化対象不動産の鑑定評価では、DCF法の適用が原則。収益費用の項目について詳細な分析が要求される。


暗記の優先順位マトリクス

暗記レベル箇所数内容
一字一句暗記12箇所箇所7〜11, 14, 17, 19, 20, 25, 31, 34
要旨を正確に再現14箇所箇所1〜3, 5, 12, 13, 15, 16, 18, 23, 24, 29, 32, 33
キーワードを押さえる10箇所箇所4, 6, 21, 22, 26〜28, 30, 35, 36

暗記チェックリスト

以下のチェックリストを使って、自分の暗記状況を定期的に確認してください。

#箇所1回目2回目3回目
1価格の三要素
2鑑定評価の定義
3土地の特性
4種別と類型
5価格形成要因の定義
...............
36DCF法の原則適用

3回のチェックで全てマークできれば、基準の暗記は十分な水準に達しています。

確認問題

鑑定評価基準の暗記において、36箇所全てを一字一句完全に暗記する必要がある。


まとめ

本記事で厳選した36箇所は、鑑定評価基準の頻出論点を踏まえた「最低限これだけは暗記すべき」リストです。基準全体を丸暗記するのは現実的ではありませんが、この36箇所を確実に暗記することで、短答式の正誤判断と論文式の定義の記述に自信を持って臨めるようになります。

暗記の方法としては、音読暗記法による反復が効果的です。1ヶ月の暗記スケジュールに沿って計画的に進め、穴埋め練習問題一問一答で成果を確認してください。

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