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不動産鑑定における時点修正とは?価格変動の反映方法

時点修正は取引事例比較法で取引時点と価格時点の価格水準の変動を反映する手続き。多数の事例の時系列分析と一般的要因(経済動向・金利・建築着工等)を総合的に勘案して修正率を算定します。地価公示・地価調査の活用方法、価格上昇・下落局面での修正の方向、選択要件との関係まで解説します。

時点修正とは

不動産鑑定評価における時点修正とは、取引事例比較法の適用において、取引事例に係る取引の時点と価格時点が異なる場合に、その間の価格水準の変動を反映して取引価格を修正する手続きです。

取引事例等に係る取引等の時点が価格時点と異なることにより、その間に価格水準に変動があると認められる場合には、当該取引事例等の価格等を価格時点の価格等に修正しなければならない。

不動産鑑定評価基準 総論第7章第1節

不動産の価格は、経済情勢の変化、地域の発展・衰退、金利の変動、法制度の改正など、さまざまな要因により時間とともに変動します。取引事例の取引が行われた時点と、評価の基準となる価格時点との間に価格水準の変動がある場合、その変動を適切に反映しなければ正確な比準価格を求めることができません。


取引事例比較法における時点修正の位置づけ

時点修正は、取引事例比較法の適用手順において事情補正の次に行われます。

手順内容
1. 取引事例の収集・選択4つの要件を満たす事例を選択
2. 事情補正特殊な事情の影響を除去
3. 時点修正取引時点と価格時点の価格水準差を修正
4. 地域要因の比較地域間の要因比較
5. 個別的要因の比較個別不動産間の要因比較

時点修正が可能であることは、取引事例の選択における4つの要件の一つです。したがって、価格変動の把握が困難な極端に古い事例は、そもそも事例として選択すべきではありません。


時点修正率の求め方

基本的な求め方

時点修正に当たっては、事例に係る不動産の存する用途的地域又は当該地域と相似の価格変動過程を経たと認められる類似の地域における土地又は建物の価格の変動率を求め、これにより取引価格を修正すべきである。

不動産鑑定評価基準 総論第7章第1節

時点修正率は、以下の手順で求めます。

  1. 時系列分析:価格時点以前に発生した多数の取引事例について時系列的な分析を行う
  2. 一般的要因の勘案:国民所得の動向、財政事情及び金融情勢、公共投資の動向、建築着工の動向、不動産取引の推移等の社会的・経済的要因の変化を総合的に勘案する
  3. 行政的要因の考慮:土地利用の規制、税制等の行政的要因の変化等の一般的要因の動向を総合的に勘案する

活用すべき資料

資料活用方法
地価公示標準地の価格変動率を参考
都道府県地価調査基準地の価格変動率を参考
取引事例の時系列分析同一地域内の取引価格の推移を分析
売り希望価格・買い希望価格適切な取引事例が乏しい場合の参考資料
市場の需給動向需給バランスの変化を把握

計算イメージ

例えば、取引時点が1年前で、その間に当該地域の地価が3%上昇した場合の時点修正は次のようになります。

$$修正後の価格 = 取引価格 × \frac{価格時点の指数}{取引時点の指数} = 取引価格 × \frac{103}{100}$$

時点修正が重要となる局面

価格上昇局面

不動産市場が上昇局面にあるときは、過去の取引価格が価格時点における水準より低くなるため、増額方向の時点修正が必要です。

価格下落局面

不動産市場が下落局面にあるときは、過去の取引価格が価格時点における水準より高くなるため、減額方向の時点修正が必要です。

安定局面

価格水準に変動がない場合は、時点修正は不要(修正率100/100)です。


時点修正の留意点

用途的地域ごとの分析

時点修正率は、地域の用途によって異なります。住宅地・商業地・工業地では価格変動の傾向が異なるため、事例不動産の存する用途的地域に即した変動率を把握する必要があります。

地域によって変動率が異なる場合

同じ用途地域であっても、都心部と郊外部、都市規模の違い等によって価格変動率が異なる場合があります。事例が存する地域の価格変動を的確に把握することが求められます。

価格変動の著しい時期

市場における不動産の取引価格の上昇が著しいときは、取引価格と収益価格との乖離が増大することがあります。このような局面では時点修正の精度が特に重要となり、収益還元法が先走りがちな取引価格に対する有力な検証手段となります。


試験での出題ポイント

短答式試験

  • 時点修正の定義と目的
  • 時点修正率の求め方(時系列分析 + 一般的要因の勘案)
  • 活用すべき資料(地価公示、地価調査等)
  • 時点修正が取引事例の選択要件の一つであること
確認問題

時点修正率は、地価公示の変動率のみによって決定する。

確認問題

時点修正をすることが可能であることは、取引事例の選択における要件の一つである。

論文式試験

  • 時点修正の意義と取引事例比較法における位置づけ
  • 時点修正率の算定方法と留意点
  • 価格変動が著しい局面における時点修正の重要性

まとめ

時点修正は、取引事例比較法において取引時点と価格時点の間に生じた価格水準の変動を適切に反映する手続きです。多数の取引事例の時系列分析と一般的要因の動向を総合的に勘案して時点修正率を求め、地価公示地価調査等の資料も活用します。

事情補正とともに、取引事例の取引価格から正常な価格水準を導くための基礎的な手続きであり、地域要因個別的要因の比較と合わせて精度の高い比準価格の算定に不可欠です。

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